『ビジョナリー・ピープル』で成功について再度考える

『ビジョナリー・ピープル』で成功について再度考える

デニス・ウェイトリーの『成功の心理学』(ダイヤモンド社)を読んだときから、自分の持っている能力をとことん追求して、それにより世の中に貢献できれば、成功者になれるのだと確信できた。

これを読む前、すなわち退職前には、本音のところでは高い地位、周りの賞賛、高い給与(金)が成功の証であり、自分はひょっとして成功者どころか負け組だったのではないか、と思うこともあった。

しかし、退職して自営業になってからは、地位も賞賛も金も(本当に)どうでもよくなった。

 

今の私の悩みは、自営業者としてまだ事業収入がゼロ、すなわち世の中に貢献しようとあれこれ取り組んでいるのだが成果がないことである。

そんなとき、読んだのが、『ビジョナリー・ピープル』(ジェリー・ポラス、スチュワート・エメリー、マーク・トンプソン、英治出版)である。

原書の題名が’Success Built to Last: Creating a Life that Matters’であることを知ったのは訳者の後書きを読んだときである。

 

内容はこの原題の方が合っているが、これを日本語にするとやはり、メンタル・トレーニング的になってしまってまずいかもしれない。

最初の部分で「改めて成功を定義する」という章を設け、一般的な成功の定義、すなわち私が会社勤めしていたときに考えていたようなことからの脱却を述べている。

それが出発点になっているので、多くの成功者の事例が生き生きと伝わってくる。

 

ビジョナリー・ピープル、すなわち本書の定義する成功した人の本質は、次の3点であることが述べられる。

 

1.意義(Meaning)
2.思考スタイル(Thought)
3.行動スタイル(Action)

 

これらのうちの「意義」が全ての出発点だと思われるが、成功した人のその強さと深さは並大抵ではない。

さらに、意義だけでなく、思考・行動に結びつかなければ、本当に成功者にはなれない。

地位も名誉も金も関係なくなった私にとって、現在の仕事で成功するためには、強い思いとそれを実現するための思考・行動がまだまだ不足であると感じさせられた。

 

私なりの成功を追求していかなければ。

※2013年12月に書かれた記事です。


1948年東京生まれ 石田厚子技術士事務所代表 東京電機大学情報環境学部特別専任教授 技術士(情報工学部門) 工学博士 ◎東京大学理学部数学科卒業後、日立製作所入社。コンパイラ作成のための治工具の開発からキャリアを始める。 5年後に日立を退職し、その後14年間に5回の転職を繰り返しながら、SEなどの経験を通じてITのスキルを身に着ける。その間、33歳で技術士(情報工学部門)取得  ◎1991年、ソフトウエア開発の生産性向上技術の必要性を訴えて日立製作所に経験者採用。生産技術の開発者、コンサルタントとして国内外にサービスを提供  ◎1999年 企画部門に異動し、ビジネス企画、経営品質、人材育成を担当。57歳で「高い顧客満足を得る商品開発への影響要因とその制御」論文で工学博士取得  ◎2007〜13年、日立コンサルティングでコンサルタント育成に従事。「技術者の市場価値を高める」ことを目的とした研修を社外に実施  ◎2013年 65歳で日立コンサルティングを定年退職し、石田厚子技術士事務所を開業。技術者の市場価値を高めるためのコンサルティングと研修を実施  ◎2014年 東京電機大学情報環境学部の特別専任教授に就任