「2015年の特許出願数、日本は3位」など【知財ニュースまとめ】

「2015年の特許出願数、日本は3位」など【知財ニュースまとめ】

特許出願件数: 中国が5年連続トップ – 日本は3位

世界知的所有権機関(WIPO)が、2015年の世界知的所有権統計を公表しました。同統計によりますと、各国・地域当局別の特許出願受付件数は、

中国 – 約110万件
アメリカ – 約59万件
日本 – 約32万件
韓国 – 約21万件

でした。また、特許庁が公表している特許庁ステータスレポートによると、近年、世界全体での特許出願数は増加傾向にありますが、日本での特許出願数は減少傾向にあるようです。

『時事ドットコム』(2016年11月23日)

中国での商標「和歌山」「OKAYAMA」に各県が異議を申し立てる

中国で、「和歌山」「OKAYAMA」等の商標が、第三者によって先取り出願されました。

中国の商標法では、著名な外国の地名等は登録されないよう規定されています。今回、和歌山県や岡山県も、この規定に基づいて異議を申し立てているようです。

このような中国における日本の地名や地域ブランドの先取り商標出願は、これまで何度も問題となっています(例:青森、讃岐うどん、今治タオル等)。

 

このため、特許庁においても、中国での先取り商標出願の問題に関して都道府県等に注意を呼びかけるとともに、対策マニュアルを配布する等の支援を行っています。

なお、地名や地域ブランド以外にも、東京スカイツリー、クレヨンしんちゃん等の商標が中国で先取り出願されて問題となったことがあります。

『わかやま新報』(2016年11月18日)
http://www.wakayamashimpo.co.jp/2016/11/20161118_65264.html
『山陽新聞』(2016年11月21日)
http://www.sanyonews.jp/article/450027

面接審査を拡充します~「INPITインピット近畿統括拠点(仮称)」でも面接審査が受けられるようになります~

特許出願等の審査は、通常、出願人やその代理人である弁理士と、特許庁の審査官との間での書面のやり取りによって行われます。

しかし、書面だけでは、難解な技術をうまく伝えたり、発明を誤って理解している審査官の誤解を解消することが困難な場合もあります。

このような場合に有効なのが面接審査です。面接審査では、審査官に直接、発明品やその資料を見せて技術内容の説明等を行うことができます。また、実際に対面して話をすることで、書面には記載されることがない審査官の発明に対する心証をうかがうこともできます。

 

ただし、審査官は東京の特許庁にいるため、面接審査の際には出願人、弁理士が東京の特許庁まで出向くことが一般的であり、地方の出願人にとっては負担でした。

特許庁は、今後、面接審査の利便性向上、活用を見据えた権利化支援、地域を含めたサポート体制の充実を図るため、面接審査に関する取組を拡充する方針のようです。

具体的には、定期的に審査官を配置する拠点を大阪に設けること等が決定されました。

『経済産業省』(2016年11月21日)
http://www.meti.go.jp/press/2016/11/20161121004/20161121004.html

大学生が開放特許活用 つくばで大会、商品アイデア提案

茨城県つくば市で、地域の大学生が開放特許を活用した商品アイデアを提案する「知財活用アイデア県大会」(筑波銀行・筑波総研主催)が開かれました。

最優秀賞、優秀賞ともに、富士通の開放特許を活用した商品アイデアでした。

知財活用アイデア県大会では、学生によって創出された斬新なアイデアを地域中小企業などに提供することで、新規ビジネスの創生につなげることを目指しているそうです。

『茨城新聞』(2016年11月22日)
http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14797295482512

NHK「まちかど情報室」で大企業の特許を使用したアイデア商品が紹介されました

NHK平日朝のおはよう日本内の1コーナー「まちかど情報室」で、アイデア商品「PLANT’S JEWEL」が紹介されていました。

PLANT’S JEWELは、一輪の花/一茎の植物でも華やかに飾る「植物のためのジュエリー」とのことです。

このPLANT’S JEWELには、株式会社神戸製鋼所の高機能抗菌めっき技術「ケニファイン」が施されています。このケニファインは、株式会社神戸製鋼所の特許技術(特許第4068879号)であり、近畿経済産業局にマッチング可能な開放特許として登録されています。

 

番組内では紹介されていませんでしたが、「PLANT’S JEWEL」も特許技術を有効活用した新しい製品だろうと思います。

『NHKまちかど情報室』(2016年11月25日)

機能性表示 特許戦争はじまる

2016年4月の特許の審査基準改訂にともなって食品の用途発明にも特許が認められるようになったことに関して、「特許戦争」と題して紹介されています。

特許は他社が同じもの(この場合は同じ用途の同じもの)を作ることを制限するので、機能性食品の開発競争(=特許戦争)が活発化するかもしれません。

ただし、特許制度は特定保健用食品制度(いわゆるトクホ)等のように効能を担保するための制度ではありませんから、消費者はそれぞれの制度や認証の意味を理解して商品を選択することも必要かもしれません。

『健康産業新聞』(2016年11月16日)

Checking graphs. Searching key data and analyzing.

出典:『「2015年の特許出願数、日本は3位」など【知財ニュースまとめ】』開発NEXT


弁理士。コスモス国際特許商標事務所パートナー。名古屋工業大学非常勤講師。1980年愛知県生まれ。名古屋工業大学大学院修了。知的財産権の取得業務だけでなく知的財産権を活用した製品作りの商品開発コンサルタントを行う。知財マッチングを展開し、ものづくり企業の地方創世の救世主として活躍している。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標の活用を応援するWEBマガジン「発明plus Web」( https://hatsumei-plus.jp/ )を運営している。