「ムダ」を楽と楽しさに変える楽々改善:【7】品質は工程でつくり込む
誰にも聞けない「トヨタ生産方式」現場改善コーチが伝授します
【7】品質は工程でつくり込む
TPSでは、「良い品質のものをつくることは何よりも優先する大前提」であると考えられています。
さらに品質より優先すべきものが「安全」です。
「安全はすべてに優先する」ことを徹底しています。
これほど品質は重要に考えられているのですが、「検査は付加価値を生まない」とも教えられています。
一見、矛盾するので、いったいどういうことなのか分からなくなります。
ひと言でいうと、「検査をしないで品質を確保する」ことなのです。
検査しないで品質をどうやって確保するのか疑問になります。
正確に言うと、完成品をまとめておいて、オフラインで検査担当が検査をすることは、付加価値を生まないということです。
不良品が見つかると、完成品をばらして手直しが必要になり、どんどん工数がかかってしまいます。
私が勤務していた会社では、この完成品の検査を行っていました。
生産していたのが小さな部品だったせいもあるのですが、完成検査と称して、良品と不良品を選別していました。
選別された不良品は、ほとんどが廃棄されるのです。もったいないですね。
不良品を調べると、先頭工程ですでに不良になったものもありました。
TPSでは、「品質は工程でつくり込む」ことを徹底しています。
多くの工程があり、多くの作業者が自動車を組んでいますが、ラインの作業者全員が検査を行うということです。
もし、ある工程で異常が発生するとラインを停めて、対策が完了するまで後工程に流さないのです。
トヨタのラインは停まらないというイメージですが、異常が発生すれば積極的に停める「ストップライン」なのです。
これは、「不良品は現行犯で捕える」という考え方がベースになっています。
不良が発生した時点で不良を捕え、対策まで行います。
作業者で手に負えない時は、上司が応援して課題を解決するそうです。
もちろん、ラインの最終工程に検査工程はありますが、実際に自動車を動かして行う機能検査を重点的に行っています。
全工程に検査があり、工数として検査時間が配分されているのです。
そのため、検査の手順と標準時間も設定されています。
例えば、目視検査の場合は目を動かす速さまで、10cm/秒などと決められているのです。
視線の軌跡も決められていて、ワークの端から端まで1往復半の目視検査を10秒で行うといった感じです。
さらに、人間は必ず失敗をするため、「ポカヨケ」を活用しています。
「ポカヨケ」とは、人が注意していなくても、間違いをしないことです。
トヨタのラインには、非常に多くのポカヨケが組み込まれているそうです。
例えば、方向性のある治具を間違った方向には取り付けらないようにする、自動検査を行う場合、不良の場合はロックがかかり取り出せない、作業忘れがあれば、次の工程がはじまらない……などです。
現場のメンバーが、現場改善で新たなポカヨケを考え、実際に使えるようにしているそうです。
自動車はドライバーの安全に大きな影響があるため、ここまでやるかという位の品質のつくり込みを行っています。
この考え方と手法は、どんな業種にも展開が可能です。
品質は最終検査だけに頼るのではなく、品質のつくり込みという考え方が重要です。
つまり、検査だけでなく、標準作業で品質を確保することも重要なのです。
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