顧客に選ばれる

顧客に選ばれる

今の仕事のやり方で儲かり続けられますか?

1.儲かる工場経営の要諦

弊社の考える儲かる工場経営の要諦は、以下のように表現できます。

「顧客に選ばれる製品を効率よくつくること」

キモが2つです。

・顧客に選ばれること

・効率よくつくること

中小のモノづくり現場で設定すべき状態は、この2つに集約されます。前者のためには、例えば、値付けのノウハウや新製品の設計・開発の経験を積み上げることが欠かせません。

また、後者のためには、継続的な現場活動、例えば、たゆまぬ改善活動が重要な役割を果たします。どちらも重要ですから、両者の連動がキモです。

 

受注決定からスタートして、顧客からお金を回収するまでの導線を明らかにしないと儲けるモノづくりを実現できないのです。

ですから、弊社は「生産の流れ」体系を重視しています。

どのようなお金を生み出すことに繋がっているのかが明らかにされていないと、現場がその活動をやる必然性を感じることはありません。

ですから、改善活動だけを取り上げて、「現場に定着しません。」というご相談を受けても対応策を示すことができないのはそのためです。

 

なぜ、改善活動をやる必要があるのか?

それは、経営課題の解決のためであり、その経営問題とは煎じ詰めると、そのほとんどは、どうしたら利益を最大化できるのかへ至るはずです。

ですから、利益を生み出すのに、何をどうやって顧客に選ばれたいのか?そのためにどう効率よく造りたいのか、そして、その改善活動は、それらにどう貢献できるのか、連動を考える必要があります。

 

弊社は生産性向上と人材育成の2つを柱に付加価値額を積み上げて固定費を回収する仕組みづくりをご指導しています。

詳しくは、セミナーやご指導でご説明していますが、この仕組みづくりこそが「顧客に選ばれる製品を効率よくつくること」につながると考えているからです。

 

儲かる工場経営では、

・顧客に選ばれること

・効率よくつくること

両者は一対ですから、両者をバランスよく進める必要があるのです。

 

ソニーの創業者、盛田 昭夫氏「メイドインジャパン」という書籍が一世を風靡したことがあります。

1980年代のことです。当時、安価で品質が良い日本製品が世界中で競争力を持っていました。

「カイゼン」に代表される現場活動を拠り所した現場力が遺憾なく発揮され、効率よくつくることで、質のいい生産活動を実現し、安くて高品質製品の大量生産を実現したのです。

 

かつての日本のモノづくりはそうでした。

しかし、昨今、国力という観点で世界を眺めた時、どうやら日本は生産性や効率の面で他先進諸国に引けを取っているようです。

付加価値額人時生産性や自己資本利益率(ROE)と言った指標がそう語っています。

こうした現状を踏まえると、改めて、付加価値額をより一層多く積み上げるには、「顧客に選ばれる」ことが欠かせないと感じるのです。

 

改善活動に代表される効率よくつくる重要性は、これからも変わらないことを確認しつつ、「顧客に選ばれること」にもしっかり取り組む必要があります。

利益を生み出す付加価値額の規模は、この時点で決められるわけですから、当然と言えば、当然のことかもしれません。

2.顧客に選ばれるとは?

顧客に選ばれるとは、具体的には何でしょう。

答えのひとつにあげられるのは、顧客視点のモノヅクリではないでしょうか?

 

モノづくりの方向性をカスタマイズ度と生産性で考えてみます。

大量生産(マス・プロダクション)は生産性が高いですが、一般的にカスタマイズ度は低いです。

顧客がメーカー側の仕様に合わせています。

 

一方、オーダーメードはカスタマイズ度100%で顧客満足度もほぼ満点に近いかもしれませんが、生産性はムチャクチャ低くなります。

その分、単価は高いです。

これらのイイドコ取りをしたのがマス・カスタマイゼーションです。

オーダーメードに近い製品をリーズナブルな価格で提供しようとしています。

 

日経ものづくり2019年1月号には次のような事例が掲載されています。

・ドイツBMW、内外装部品のカスタマイズサービス

・ドイツフォルクスワーゲン、金属部品のカスタマイズ

・ドイツアディダス、シューズのカスタマイズ

・米ジレット、シェーバーのハンドル部分のカスタマイズ

・スタートトゥデイ、ZOZOTOWNのZOZOSUITでカスタマイズ

 

ZOZOスーツはしばしばメディアにも取り上げられれていますから、ご存知の方も多いと思います。

(なお、ZOZOは1月31日、2019年3月期連結業績予想を下方修正したとの報道があり、ZOZOスーツも「想定していた規模感での効果が生まれなかった」としていますが、挑戦には試行錯誤が付きものですね。今後の進化に期待です。)

このほか、軽量で強みを発揮するスポーツ用義足や数十種類に対応できる歯科矯正器具などがあり、マスカスタマイゼーションが身近になってきました。

3.技術動向に注視する

マスカスタマーゼーションの事例が増えつつある背景に、生産技術の進化があります。

マスカスタマイゼーションを生産面から支える重要な技術がAM(付加生産)/3Dプリンティングです。

 

AMとはアディティブマニュファクチャリングの略です。

この技術は従来から試作品のような個別生産を効率的に行う手段として注目されていましたが、改良が進んで実部品の製造装置としての利用が広がってきました。

 

自動車業界で量産部品で採用され始めているのがその証左です。

今後、中小製造業界も、AM/3Dプリンティング技術の技術動向に、注視する必要があります。

なぜなら、“造りにくい”製品、部品も“厭わず手”掛けるという中小の強みが、強みにならなくなる懸念があるからです。

 

AM/3Dプリンティングの基本原理は「積層造形」、断面形状を積み上げて、立体モデルを造形します。

ですから、2つのメリットがあると言われます。

 

・金型が不要であること

・形状の自由度が極めて高いこと(抜け勾配や工具との干渉を気にしなくていい)

 

多くの皆さんが現場で活用している、切削加工や射出成形、鋳造/鍛造のライバルであるということです。

現在は生産性の面で、従来技術よりも全般的にはコストパフォーマンスが悪いですが、材料との組み合わせによっては、かえってAM/3Dプリンティングのほうがお得という事例も出ています。

 

ドイツBMWが2018年4月に日本で発売したオープンカーでは、AM装置で製造したAlSi10Mg製の部品を採用しています。

従来品より40%の軽量化と10倍の強度を実現しました。

6万個でMg合金のダイカストよりもコストが安くなるとのことです。

こんな水準でマスカスタマイゼーションが進んでいます。

 

同誌では、マスカスタマイゼーションについて読者アンケートをしています。

240の回答をもとにしたデータです。

 

「自社が競争力を高めていくためにはマスカスタマイゼーションへの取り組みが必要だと思うか?(1つ選択)」

かなり思う34.6%

少しは必要だと思う22.1%

 

「マスカスタマイゼーションによって自社にどのような効果があるか?(複数選択可)」

顧客満足度を高められる41.7% 

同業者と差別化できる38.3% 

顧客に新しい価値を提供できる37.9%

 

マスカスタマイゼーションが必要との回答は55%程度です。

この数値を多いとみるか、意見が分かれるところですが、少なくとも半数に上っています。

注目すべきは、期待効果です。

「顧客に選ばれる」ためであることは間違いありません。

 

回答者が所属している企業の75%が従業員数100人以上ですから、弊社がご指導している顧客の中心ゾーンとなる100人以下とは若干事情が異なっています。

しかし、製造業は、企業の規模に関係なく、技術動向の影響を受けますから、マスカスタマイゼーション、とりわけ基盤技術となるAM/3Dプリンティングには注視したいです。

4.組み合わせる

先に、日本の生産性や効率が低迷していることに言及しました。

言われたものを単に造るモノづくりでは、もはや儲からないわけですから、皆さんが率いる中小の現場でも新たなモデルを構築する取り組みをモノづくり戦略に加える必要があります。マスカスタマイゼーションはモデルのひとつです。

モノづくりは技術の世界で戦っています。

AMが進化するなか、皆さんが持っている固有技術でも実戦可能なマスカスタマイゼーションはないでしょうか?

 

さて、クロステックという言葉があります。

クロステック(X-Tech、XT)とは、洗練された情報通信技術を駆使した革新的な製品やサービスがグローバルに広がることで既存の産業構造や競争原理が破壊・再定義され、 新たに形成されるデジタルとリアルが融合したビジネス領域を指す。(Wikipedia)

 

クロステックの一例として、トヨタ自動社が掲げている「Mobility for All」があります。

トヨタ自動車の豊田章男社長は、今を「100年に一度の大変革の時代」と考え、生き抜くために、トヨタを“自動車をつくる会社”から、“モビリティカンパニー”にモデルチェンジすることを意思表示しています。

「効率よく造る」ことに長けているトヨタ自動車が考える「顧客に選ばれる」着眼点がここにあるわけです。

サービスを提供するプラットフォーマーを目指して異業種との連携を強めていることは昨今の報道でご存じの皆さんも多いと思います。

 

デジタルとリアルの融合、コトとモノの融合、モノづくりとサービスの融合、その本質は組み合わせです。

言われたモノを造って売るだけでは、付加価値額をさらに積み上げることは難しく、豊かに成長する現場を目指したくても、将来投資の原資を積み上げられません。

 

そこで、「顧客に選ばれる」新たな仕事のやり方が求められるわけですが、クロステックはひとつの方向性を私達に示してくれます。

改革の方向性に、企業の規模は無関係です。

大手であろうが、中小であろうが、閉塞感を打ち破り、事業のステージを高めたいと考えるならやることは同じです。

 

かえって、中小の方が有利なのかもしれません。

もともと、柔軟性、小回り性、機動性は大手よりも優れているのが中小ですから。

「ウチは規模が小さいからできない。」と言っているようでは不戦敗宣言も同様であり「モッタイナイ」ことだと言わざるを得ません。

 

大手でも「顧客に選ばれる」ためには、うかうかしていられないのです。

・三井化学はAIスタートアップ企業と義歯の自動設計ソフトを開発しました。

AM/3Dプリンティング技術を活用し、材料となる専用樹脂を販売しようとしています。

・旭化成は樹脂販売に付加価値をつけるため、金型設計や生産プロセスの提案を強化しています。

価格競争を回避するためです。

・ガラス大手のAGC(旧旭硝子)はガラス工場の溶融炉向け耐熱レンガの外販といっしょに、顧客の溶融炉を温度センサーで遠隔監視するサービスを手がけています。

耐熱レンガの交換時期を提案できます。

・太陽日酸は半導体工場などで生産や保安に使う窒素設備を遠隔監視しています。

異常を検知したら、迅速な対応が可能です。

ここに上げた4つのメーカーはいわゆる素材企業ですが、こうした産業でもモノ消費からコト消費に移行しないと儲からなくなっています。

(出典:日本経済新聞2019年1月22日版)

5.結局、両者をバランスよく進めことが大切

クロステックという言葉を紹介しました。

デジタルとリアルの融合、コトとモノの融合、モノづくりとサービスの融合、デジタル技術を活用した事業の組み合わせです。

 

先に挙げたAMを活用したマスカスカスタマイゼーションもクロステックです。

コト消費に焦点を当て始めた素材企業の取り組みもクロステックを志向しています。

 

弊社がご指導している経営者から、しばしばお聞きするのも、デザインインを提案したい、後工程の加工を事業に加えたい、という言葉です。

多くの中小製造企業でも、今のままの仕事のやり方で、持続的競争優位を確立し、顧客に選ばれ続けることは難しいと考えているのではないでしょうか?

 

中小の製造現場も、言われたモノを造って供給するだけのビジネスモデルでは、存続が危うくなってきます。

「顧客に選ばれる」には?と考えるとき(安価に手にできる)デジタル技術も活用したクロステックはひとつのキーワードです。

組み合わせが、その本質です。

 

ただ、それでもやはり、弊社では、「効率よくつくること」の方にこだわりを持っています。

効率よくつくるチームがなければ、「顧客に選ばれる」ためのモノづくりモデルも、絵に描いた餅になることが多いと考えるからです。

クロステックであれなんであれ、結局「顧客に選ばれる」には、多品種小ロット型のモノづくりを極めることに本質があるからです。

高度化、複雑化するモノづくりを、スマートにこなす現場がなければなりません。

 

結局、最初の話に行き着きました。

儲かる工場経営では、

・顧客に選ばれること

・効率よくつくること

両者は一対ですから、両者をバランスよく進めます。

 

弊社は、挑戦する経営者の後押しをするため、引き続き、付加価値額を積み上げる観点で、生産性工場と人材育成の仕組みづくりをご指導して参ります。

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製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)