開発現場に顧客視点を組み入れる

開発現場に顧客視点を組み入れる

開発現場に顧客視点を組み入れる、という話です。

 

その商品開発、顧客に選ばれる品揃えになっていますか?

その技術開発、顧客に選ばれる品揃えを実現する技術になっていますか?

1.経営不振に陥っている植物工場

植物工場の多くが経営不振に陥っているそうです。

植物工場は、3種類あります。

  • 人口光利用型
  • 太陽光利用型
  • 太陽光と人口光の併用型

植物を育てるのに最適な条件を「意図して」作り出せます。天候に左右されず、野菜などを栽培できるわけです。

安全で均質な農産物を短期間で安定的に生産できるメリットがあります。

植物工場普及のために、政府は2008年から補助金などで後押しを始めました。

08年度末に50ヶ所だったのが今(2017年)や220ヶ所を超えています。

 

最も多いのが人口光利用型。日本はこのタイプの直物工場を世界に先駆けて事業化しました。

しかし、人口光利用型の国内植物工場の56%が赤字。黒字を確保できているのは21%にとどまります。

コスト高を吸収できなかった結果ですが、本質は売り上げが伸びなかったこと。

多様な消費者のニーズに応えられていないのが真因のようです。

(出典:日本経済新聞2017年2月20日)

 

2.開発現場で往々にして起こり得ること

技術開発や商品開発では、イノベーションへ挑戦する中長期計画を策定します。

お客様に必ず申し上げることがあります。

「顧客に選ばれないものを一生懸命に開発しても、売れません。売れないものを一生懸命に造っても、儲かりません。」

あたりまえすぎるほど、あたりまえです。そんなことはわかっています。

 

先の植物工場の事例では、同じ野菜を大量に生産しても、売り上げが限定的でした。

多様な消費者ニーズに対応できなかったようです。

  • 商品開発では、顧客に選ばれる品揃えになっていなかった。
  • 技術開発では、顧客に選ばれる品揃えを実現する技術になっていなかった。

植物工場の開発では、商品開発か技術開発かどちらかに検討不足があったと推測されます。

わかっていても、開発現場で往々にして起こり得ることかもしれません。

商品開発や技術開発に入れ込むと、その開発行為自体が目的化してしまうことがあるからです。

 

2.売れなかった開発商品

自動車部品の開発に携わっていた頃、多品種少量生産への対応に知恵を絞ったことがあります。

今はマスカスタマイゼーションというコンセプトが叫ばれる時代です。

しかし、当時、まだ多品種へのこだわりは弱く、関連技術を開発する機会はありませんでした。

ただ、今後、そうした流れが強まるであろうことは予測していました。そこで、多品種少量生産へ対応する技術に知恵を絞り始めたのです。

新たな需要を掘り起こす目論見もありました。

それまで、少品種多量生産が柱の現場でした。

従来に無い発想の技術開発に、技術者として興味がひかれたものです。

 

そして半年程度、開発業務を進めました。

柔軟性のある生産技術確立と新製品開発が目的です。

ある程度技術が仕上がり、いよいよ上市しようということになったのですが……。

残念ながら売れませんでした。開発した商品が顧客に選ばれなかったということです。

 

技術開発の経験は無駄にならないとは、そのとおりです。

しかし、売れなければ……。「生きた技術」になりません。それに、やはり達成感が今一つです。

 

3.顧客視点を組み入れた開発現場

開発時点では、どうしても開発者視点に陥りやすいです。できるかできないか。

商品開発や技術開発に入れ込むと、その開発行為自体が目的化してしまう。

ですから顧客視点のチェックが必要だということです。

顧客に選ばれる品揃えになっているか?

顧客に選ばれる品揃えを実現する技術になっているか?

経営者や開発現場のリーダーはこの視点を持ちます。

 

顧客に選ばれないものを一生懸命に開発しても、売れない。

売れないものを一生懸命に造っても、儲からない。

頭ではわかっていますが、開発の現場では往々にして忘れがです。

わかっていることと、できることとは違います。

開発現場に顧客視点を組み入れる「意識」を強く持ちます。

 

顕在化した要望に耳を傾け、潜在化する要望に目を凝らす顧客視点。

造れば売れる時代は過ぎた今、絶対に忘れてはならないことです。

うんうんうなりながら手塩にかけて育てた

製品や技術が世に出ないは現場にとっても悲しいですから。

 

その商品開発、顧客に選ばれる品揃えになっていますか?

その技術開発、顧客に選ばれる品揃えを実現する技術になっていますか?

 

まとめ。

開発現場に顧客視点を組み入れる。

 

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出典:株式会社 工場経営研究所 伊藤哉技術士事務所


製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)