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連載小説『改善提案名人に挑戦!』第1話チリツモ作戦(6)否定しないでよ

連載小説『改善提案名人に挑戦!』第1話チリツモ作戦(6)否定しないでよ

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第1話 チリツモ作戦

(6)否定しないでよ

kaizen06

なんでも言葉で言うのは簡単なこと。実際はいろいろな障害があって思いどおりには行かないものである。

上杉君もそんなことを何回か経験していて、キレイ事を聞いてもかえってシラケてしまうようだ。

 

「課長の言われたことをみんなに話しても、多分提案なんか出さないと思うんです」

「なんでだ?たかが0.1秒の改善だぞ」

 

「まず提案用紙に書くのが面倒臭い。

それに、出したところで大抵はボツになってしまうからヤル気が起こらない。

字が汚いとか文章が作れないからと言って出さないのがオチですよ」

 

「しかし、きみは今回出したじゃないか。なぜだ?」

「いや、斎藤君の話を聞いてちょっと遊んでみただけですよ。

それがなかったら、僕だってあんまり出す気はないもんなぁ。何か言うとすぐ、それはムリだとか下らないなんて帰ってきますからね。

文句言うヒマがあったら1つでも多く物を作れ、なんてね」

 

実際、そういう職場は少なくないのではないか。

反面、提案件数が少ないと言っては作業者の尻を叩いて、ムリヤリ数だけ出させようとする。そういうところの上司や提案事務局ほど、「部下に能力がない」とか「勉強不足で困る」とボヤいている。

 

「たとえ下らない提案だと思っても、一応は認めてほしいんです。最初から否定してほしくないんですよ」

「そのとおりだな。提案が出てきた以上はその背景になにか問題があるわけだからな」

 

そして、提案というのはむしろ改善への第一歩と考えるべきだ。

ポイントが多少ズレていても、その内容を安易に否定せず上手に育てていくことが大切だ。

そのような対話を繰り返して職場のレベルアップをはかるのが改善提案の初期の段階では必要である。少なくとも、提案者のヤル気をなくすようなやり方はすべきでない。

 

「ただ、オレの方としても言いたいことはあるぞ。もっとしつこく出せよ。たまに1個や2個の提案を出されても目に止まらないからなぁ」

「えー面倒臭いなぁ」

「だから、1人でやるなって言っただろうが」

「そうでしたネ」

(続く)

 

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出典:『改善提案名人に挑戦!-だれもがプロジェクトXだった-』面白狩り(おもしろがり)


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