輸出で儲ける

輸出で儲ける

1.海外にも市場を求めたエビス

奈良県大和郡山市に、歯ブラシメーカー、エビスの本社工場があります。

主力製品は「プレミアムケア」、ブラシ部の手穴を増やして歯との接触面積を広げ、磨き残しを減らせる高単価商品です。

2019年5月期の売上高は77億円、経常利益率は10%。

中小製造企業の平均経常利益率が2~3%ですから、収益力の高さがうかがえます。

1年間の生産量は8千万本、生産効率の高い工場が武器です。

 

歯ブラシ生産は関西の地場産業であり、アジアへの輸出が増えています。

エビスの売上高に占める輸出比率は10%。けん引役は高単価商品「プレミアムケア」です。

日本での販売価格は1本300円程度ですが、中国では関税や輸送費が上乗せされ、店頭では円換算にして600円程度になります。

数十円~100円程度の現地製に比べて高価です。

 

が、それでも売れています。

経済成長による所得向上に加え、富裕層の多が集まる都市部のスーパー、ドラッグストアで特設コーナーを設けるなど、地道な販売活動が実を結びました。

(出典:日本経済新聞2019年8月26日)

 

人口減少、少子化、高齢化は日本が避けられない外部環境変化です。

国内では、モノが売れにくくなります。

買い手の絶対人数が減るので当然です。

 

エビスは、海外にも市場を求めました。

600円の歯ブラシですが、いいモノはグローバルでも売れています。

エビスでの売上高に占める輸出比率は、今後、高まりそうです。

2.従来の仕事のやり方を否定する外部環境変化

・ビジネスモデルの大きな変化

・国内人口減少

これらは、従来の仕事のやり方を、断固として否定します。

 

車が発明され、日常の移動手段としての馬車が駆逐されたように、技術はビジネスモデルを変えてきました。

その自動車産業も「CASE」に直面し、儲ける仕事のやり方を大きく変えようとしています。インターネットもしかりです。

 

儲かる工場経営の要諦は、「顧客に選ばれる製品や商品」を「効率良く、生産性高く造る」ことです。

したがって、変化に乗じて、仕事のやり方を変えれば、顧客に選ばれる機会が増えます。

 

「ビジネスモデルの大きな変化」は、ぼーっとしている経営者にとっては危機ですが、積極的な経営者にとってはチャンスです。

 

挑戦する経営者は、変化をきっかけに事業を飛躍させようとしています。

弊社がご指導している企業様のなかにも、そうした事例は少なくないです。

 

・金属加工業で、従来の土木業界から航空業界へ軸足を移そうと計画している経営者

・電子機器製造業で、従来の産業機器分野に加えて、医療介護分野に挑戦しようとしている経営者。

・紙加工業で、従来品の需要が減っているので、新たな紙製品分野からの受注を取り込もうとしている経営者。

等々、皆さん、変化をきっかけに、仕事のやり方を変えようとしています。

 

「人口減少」も、「ビジネスモデルの大きな変化」と同じインパクトをもたらします。

どんなに優れた製品や商品、サービスを生み出しても、国内での提供先が少なくなるわけです。

国内市場を対象に、従来のやり方を継続しても、問題の解決には至りません。

減った分を補うには、国内以外の場所に市場を求めるしかないのです。

輸出が具体策のひとつです。

儲けようと考えるなら、新たなことへの挑戦も必要になってきます。

貴社では海外市場を考えたことがありますか?

3.腰を据えて輸出をやっている企業とそうでない企業の比較

2016年版中小企業白書では、中小企業を対象に「輸出実施企業」と「輸出非実施企業」の労働生産性を比較しています。

労働生産性の定義は次です。

 

労働生産性=国内の付加価値額/国内の従業員。

 

2001年度から2013年度まで継続して輸出を行っている企業を「輸出実施企業」、2001年度から2013年度まで一度も輸出をしていない企業を「輸出非実施企業」としています。

腰を据えて輸出をやっている企業とそうでない企業での比較です。

中小企業「輸出実施企業」と「輸出非実施企業」の労働生産性は、次のように推移しています。

(2001年度を100として)

「輸出実施企業」

01年 100

07年 126.3

09年 95.6

13年 112.7

「輸出非実施企業」

01年 100

07年 111.6

09年 98.4

13年 106.4

 

輸出実施企業は2001年から順調に労働生産性を高め、リーマンショックの影響により、2009年の労働生産性は一時的に輸出非実施企業の労働生産性を下回りましたが、その後、労働生産性を回復させました。

輸出実施企業の労働生産性は、輸出非実施企業と比べると高水準で推移しています。

輸出と生産性は相関があるようです。

4.輸出と生産性の相関

GDPに対する輸出比率の高い国は、生産性が高い傾向にあると主張しているのは、「日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義」の著者デービット・アトキンソン氏です。

著作の中で、海外大学での分析結果を紹介しています。

先進国で見ると、輸出比率と生産性との相関係数は0.845とのこと。

 

また、国別だけではなく、企業ベースでも、輸出をしている企業のほうが、輸出をしていない企業より生産性が高いことは、世界中で確認されています。

これは、先に紹介した2016年版中小企業白書と同じ結果です。

 

そして、アトキンソン氏は、もう一歩、踏み込んで分析しています。

それは……、

 

輸出をすれば、生産性が高くなるということだろうか?

 

つまり、輸出と生産性の相関が強くなる因果関係についても言及しているのです。

海外の大学で輸出と生産性の相関が強くなる因果関係が分析されています。

テーマは次です。

 

「輸出をするから生産性が高くなるのか?それとも生産性が高いから輸出が伸びるのか?」

 

鶏と卵の話。

相関関係と因果関係をごちゃごちゃにしていると浮かばないテーマです。

アメリカのThe National Bureau of Economic Researchに掲載された分析では、次のような見解が述べられています。

 

「新しく輸出を始める企業の生産性は、すでに輸出をしている企業より低いものの、輸出をしない企業より高い。

輸出を始める前、とりわけ輸出を始める年に生産性が大きく高まるが、5年が過ぎたところでは生産性向上の効果はほぼ出尽くしている。」

 

つまり、輸出をすることによって生産性が向上するのではなく、すでに生産性の高い企業が輸出をすると結論付けています。

海外に輸出をすること自体は、生産性の高さの重要な要因ではないようです。

アトキンソン氏は、輸出をしたいという意思のほうが重要で、それが生産性の高さの秘訣であると説明しています。

経営者の強い想いが儲けの源泉ということです。

5.結局、経営者の儲けようという想い次第

・ビジネスモデルの大きな変化

・国内人口減少

これらは、従来の仕事のやり方を否定します。

従来の商圏では商売の機会が少なくなり、付加価値額を積み上げる機会そのものが減るからです。

 

こうした状況に直面しても、従来商圏で逞しく儲けを拡大しようとしている経営者もいます。

成熟した固有技術分野でいわゆる“先端”とは違う業界にありながら、同業他社が廃業するのを後目に、新規受注を取り込んでいるのです。

成熟した業界であり、今後、市場が拡大することは期待できません。

そうした中でも残存者利益を享受する戦略もあります。

 

一方、商圏を変える、新たな商圏を加える戦略もありでしょう。

輸出や海外進出です。

変化に直面して、商圏の縮小が予想される中、残存者利益を狙う戦略をとるのか、商圏を変える、加える戦略を取るかは、全て、経営者の意思決定次第。

 

どちらの戦略にせよ、共通して必要なのは、製販一体で付加価値額生産性を高める仕組みづくりです。

儲かる価格を製販一体で設定する仕組みと利益に繋がる現場活動を連動させて付加価値額を積み上げる。

これが、儲かる工場経営の要諦であり、戦術です。

 

ここで重要なのは戦略であり、なぜ生産性を高めたいかです。

これが明らかでないと、利益に繋がらない、儲からない現場活動に時間を費やすことになります。

儲けよう、そして豊かな成長を実現させようという想いがなければ、どんな活動も意味をなしません。

 

儲けようと思わなければ、絶対に儲からないわけで、豊かな成長戦略は、経営者のお金の匂いへの嗅覚の鋭さ、感度の高さ次第だと感じることがしばしばです。

儲かりそうだと考えたら、即刻行動、直ぐ実践……。

 

アトキンソン氏の著書で紹介されていた、「海外に輸出をすること自体は、生産性の高さの重要な要因ではなく、輸出をしたいという意思のほうが重要で、それが生産性の高さの秘訣である。」との見解は重要です。

儲けようと思わなければ、儲かることはなく、経営者の儲かる価格を設定するぞ、利益に繋がる現場活動をするぞ、という意思がなければ、どんな取り組みも目的化してしまいます。

 

生産性向上PJが頓挫する理由の大部分はこれです。

これは、ご指導を通じて、経営者の方々と一緒に仕事をする中で感じることです。

輸出をやっている企業は、輸出をやる前から生産性が高い事実に注目して下さい。

挑戦する経営者に導かれた現場は、生産性向上のポテンシャルを大いに持っています。

 

工場経営のやり方を変えよう、生産性を高める仕事のやり方を新たに導入しよう、そうして豊かな成長を実現させよう。

こうした想いをお持ちの経営者だからこそ、弊社へご相談をされるわけで、そもそも、そうした想いがなければ、弊社へのご依頼はないのですから、弊社がご一緒する経営者の方々が、強烈な想いをお持ちなのは当然のことかも知れません。

 

ちなみに、2016年版中小企業白書によると、中小製造業における輸出企業の全体に占める割合は3.5%の水準です。

これをチャンスと考えますか?まだまだ時期尚早と考えますか?

儲けようと思わなければ、儲かることはなく、生産性向上活動が現場に定着することはありません。

繰り返し申し上げますが、輸出をやっている企業は、輸出をやる前から生産性が高いという事実に注目下さい。

 

貴社には儲けようという意思がありますか?

 

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製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)