脱海賊版を悪用した知財ビジネスが話題に【知財ニュース拾い読み】

脱海賊版を悪用した知財ビジネスが話題に【知財ニュース拾い読み】

ZDNet Japan – 2017/2/14 – https://japan.zdnet.com/article/35096487/

R 登録商標マーク アイコン Trademark copyright

記事では、中国のショッピングサイトの出品業者を狙った詐欺被害について紹介されています。

現在、中国の大手のショッピングサイトでは、海賊版や偽物の対策として、これら違法な商品を正当な権利者からの通報に基づいて削除する対応が行われています。

今回紹介されている詐欺の手口は、このような状況を逆手にとったもので、偽造した商標登録証明書を示して「違法な商品が販売されている」として訴訟の提起・ショッピングサイト運営会社への虚偽の通報をするとして、出品業者に示談金を要求するといったもののようです。

 

そもそも商標権を取得していない者は、当然、商標権に基づく権利行使を行うことができません。

また、商標登録証明書は、国の機関である中国商標局が交付する公文書にあたりますので、商標登録証明書を偽造する行為は公文書偽造に該当し、違法です。

しかしながら、訴訟や通報が偽造された商標登録証明書に基づくものであるとの事実が確認されるまでは、ショッピングサイト上から商品が削除されてしまう可能性もあります。

 

一時的にでもショッピングサイト上から商品が削除されると困ってしまうようなケースでは、金銭の要求に応じてしまう例もあるようです。

このような詐欺被害にあわないための最善の方法は、商品の販売を開始する前に、使用する商標について自ら商標権を取得しておくことです。

商標の登録状況やその権利者は、中国商標局のデータベースで公開されています。商標権を取得している商標権者は、偽造した商標登録証明書を用いた詐欺のターゲットになりにくいと考えられます。

 

また、例えターゲットになってしまったとしても、商標権を取得していれば、こちらが正当な権利者である事実を提示して対抗できます。

なお、商標権の効力は国ごとに発生します。例えば、日本で取得した商標権の効力は、中国国内にはおよびません。

例え日本で商標権を持っているとしても、記事で紹介されているような状況を鑑みれば、中国進出を考える企業では、中国でもちゃんと商標権をとっておいたほうが得策かと思います。

 

出典:『脱海賊版を悪用した知財ビジネスが話題に【知財ニュース拾い読み】』(『発明plus〔旧:開発NEXT〕)


弁理士。コスモス特許事務所パートナー。1980年愛知県生まれ。愛知大学卒業、名古屋工業大学大学院修了。LECで弁理士受験の講師を務める。オモシロ特許研究会を主宰し、知的財産権の大切さを伝えるため全国で講演を行う。自身、商標権を活かしたアイデア商品を作るベンチャー企業、TimeFactory株式会社を設立、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標・ものづくりを応援するフリーペーパー『開発NEXT』を発行、「開発NEXT Web」( http://kaihatsu-next.com/ )を運営している。