脱下請のための「取引条件の適正化」 – 下請法の活用

脱下請のための「取引条件の適正化」 – 下請法の活用

下請企業のための法律

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アベノミクスにより大企業の景気は良くなってきていますが、下請けメインの中小企業には景気の良さの実感がないということを耳にします。

下請け企業に好景気が行き渡らない要因の一つに、発注元企業から下請け企業への「定期的な価格の引き下げ要請」があると言われています。

中小企業1万社以上にアンケートした結果として、40%以上の企業が「定期的な価格の引き下げ要請」があると回答したそうです。

 

悪質なケースについては、発注元企業が下請け業者に対する優越的地位を濫用して下請け業者に対して代金を減額する等の行為を防止するための「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」に違反している可能性もあります。

そうはいえども、立場の弱い下請けの中小企業が法律を盾に要請を断るのは、難しいところがあります。

また、どういったケースが下請法違反に該当するのかが、あまり知られていないところもあります。

 

そのような課題に対して主に中小企業に関する行政を所管する中小企業庁では「下請適正取引ガイドライン」を公表して、下請法に違反する恐れのある事例を示すなど問題行為の未然防止に努めることに注力をしているとのことです。

また、同庁の委託事業として公益財団法人が運営する「下請かけこみ寺」では、下請法の知見を持つ相談員や弁護士などが、違法な状況がわかっても直接交渉することが難しい企業をサポートしているそうです。

下請法を所管する公正取引委員会でもWebサイトなどで案内が出されています。

制度を一度使った人は何度も利用する

日本の中小企業はモノづくりについて高い技術力を持っています。
そして品質の高い製品を供給しているからこそ日本の技術力が保たれています。
その「高い品質」に対して適正な価格が支払われるのが本来あるべき姿です。

適正な価格が支払われる状態を実現するためには、下請かけこみ寺のような中小企業の支援サービスを積極的に活用していくことも一つの手段ではないでしょうか。

 

発注元企業に対して「下請法」を根拠に取引のの改善などを主張することは、現実には難しいかと思います。

しかしながら、切り札(またはお守り)として知っているか知らないかで、最後の防波堤を持てるかの違いが生じます。

政府も、大企業向けの政策を行っている中で、補助金や下請法などの中小企業の保護政策も行っています。中小企業でも、アンテナを張って、自分が活用できそうな支援策・支援サービスを探すことが必要です。

 

下請けメインの中小企業でも、一度「下請かけこみ寺」のような制度を使った企業は、何度も相談に来るそうです。

制度の有効性を知れば、2回、3回と使うこともあるそうですので、やはり、そういった制度やサービスを知っているか知らないかで事業も大きく変わります。

発明plusでは、今後も、中小企業の製造業が役立つ制度やサービスに関する情報を提供していきます。

 

出典:『脱下請のための「取引条件の適正化」 – 下請法の活用』(『発明plus〔旧:開発NEXT〕)


弁理士。コスモス特許事務所パートナー。1980年愛知県生まれ。愛知大学卒業、名古屋工業大学大学院修了。LECで弁理士受験の講師を務める。オモシロ特許研究会を主宰し、知的財産権の大切さを伝えるため全国で講演を行う。自身、商標権を活かしたアイデア商品を作るベンチャー企業、TimeFactory株式会社を設立、資格試験の受験生向けの商品などを手掛ける。著書に『社長、その商品名、危なすぎます!』(日本経済新聞出版社)、『理系のための特許法』(中央経済社)等がある。 特許・商標・ものづくりを応援するフリーペーパー『開発NEXT』を発行、「開発NEXT Web」( http://kaihatsu-next.com/ )を運営している。