社長が現場へ直接に向き合うことによる効果とは?

社長が現場へ直接に向き合うことによる効果とは?

トップや管理者が実践している現場に対するフォローや評価の活動は自社製品のイメージアップにつながる、つまり、顧客の信頼感を高める効果がある、という話です。

 

1.トップが現場に直接向き合う重要性

広島県広島市に本社を置く株式会社今西製作所は1921年鋳造用木型製作の会社として創業し、型技術と鋳造技術をコアに業務内容を拡大してきたメーカーです。

今西社長、自らが、人財育成の大切さを学会誌でお話しされています。

会社のHPでも人材育成のページがある等、若手人財をしっかり育てようという熱意が伝ってきます。

人財育成にはフォローと評価の体制が欠かせない

 

人づくりは、OFF-JT、OJT、自己啓発を単発で行っても効果は薄く、フォローと評価の体制と組み合わせて、はじめて機能するということに気づきます。

自分は注目されている、必要とされているという実感は、若手人財にとって、安心につながります。

トップや現場管理者が直に若手人財に向き合うことは、大きな信頼や共感を現場に醸成し、やる気を引き出すきっかけになります。

 

現場への一声は現場からの情報収集のみではなく、現場が不安や心配を払拭し仕事へ集中するのを促すことができる。

私自身のかっての経験から肝に銘じたいと考えていることでもあります。

新人へもっと一声をかけるべきだったと考えたこと

 

OFF-JT、OJTを形骸化させないために大切なのは、トップや現場管理者が現場のひとりひとりに注目すること、つまり、やりっぱなしではなく、フォローと評価もセットになった人財育成の仕組みです。

経営者の方々も現場管理者も多忙です。

多忙ですが、現場のひとりひとり、特に若手人財と直接に向き合う時間は捻出していただきたいです。

遠回りのようですが、時間をかければ、かけた分だけ、経営者の想いが現場へ浸透し、持続的発展のための基盤ができあがります。

 

工場の主役は「人」であり、人は感情で動かされるものであることを考えれば現場を自律性、機動性のあるチームに育成するために何が欠かせないかは自ずと思い浮かびます。

 

2.トップが現場に直接向き合うことで得られる他の効果<_h2>

トップが現場に直接向き合うことで、チームを構成する一人一人のやる気を引き出すことが可能になる。

そして、現場のチーム力・組織力の強化が期待できます。

トップによるフォローと評価は組織の内部へ前向きの働きかけをします。

組織内部への効果です。

フォローと評価はチーム力・組織力を強化するための大切な役割を果たすことに留意します。

 

さて、こうした組織内部への働きかけに加えて、フォローと評価には、外部に働きかける効果もあることにも注目したいです。

顧客の自社へ向けた信頼感を高める効果もあるということです。

 

先月、こんな経験をしました。

移動で飛行機に乗った時に、座席ポケットにある機内誌を手に取ってページをめくりました。

社長が現場へ直接に向き合うことによる効果とは?_01

目にしたページに「ごあいさつ」として社長の言葉が掲載されていました。

新任機長に託す想いという表題です。印象に残った箇所を抜粋します。

 

「私もこれまでの社長と同様に、機長に昇格した新任パイロットと定期的に意見をかわす場を持っています。

毎回10人未満のメンバーと約2時間を過ごすのですが、冒頭で新任機長に必ず伝えていることがあります。

それは日々の安全運行堅持への感謝に加えて、未来の機長を目指す隣席の副操縦士の人財育成への期待、そして当社や航空業界の永続的発展に向けて、お客様へのサービスの品質向上を含めて一緒に考え行動してほしい、という経営者としての想いです。

新任機長たちからは、経営を取り巻く環境は社長の普段の仕事・価値観についての質問のほか、機長として安全にかける想いや行動事例の紹介、日々の運航経験から得たお客様視点での業務改善要望など、幅広く率直に意見を交わしています。」

 

トップ自ら、機長に想いを語りかけている会社なら、まぁ安心して乗ることもできるよなぁ、と素朴に思いました。

 

飛行機が墜落する確率は交通事故にあう確率よりも断然低いと言われていますから、(とは言っても、万が一の死への恐怖を加味すると、飛行機が車より……というのは少々違うような気もしますが、それは置いておいて……)統計的には、全く心配しなくてもイイわけです。

がやっぱり、少々気になるな、というのが離陸前の正直な気持ち。

……という時に目にした社長の新任機長に託す想いでした。

素朴に、自然に、飛行機に対する安心感が増したような気持がした次第です。

現場に対するフォローや評価にトップや管理者が熱心に取り組んでいる事実をお客様に知っていただくのは、会社に対する信頼感、さらには自社製品への安心感につながるのではないでしょうか。

 

トップが直接に向き合って語り、フォローし評価している現場ではトップの想いが理解され、トップの元、一丸となっているだろうとプラスのイメージが浮かんできます。

モノづくりの現場で働く作業者へこれだけきめ細やかに対応しているならば、当然にそこから生み出さる製品の品質もイイだろうと考えたくなりませんか?

人財の安定感から高品質のイメージも生み出されます。

トップや管理者が実践している現場に対する働きかけ、フォローや評価の活動は自社製品のイメージアップにつながることにも注目です。

経営理念やHPでそうした姿勢を明文化したり、対話の場の実績を目で見る管理することで、外部へアピールするのも効果的と考えられます。

それがさらには、社内的にも現場のやる気を引き出す土壌を生み出します。

自分たちのことを気にかけてくれるトップや管理者がいれば現場は必ず呼応するからです。

 

鉄鋼業に関連したある企業の現場の掲示板で、トップの想いを直接に目にしたことがあります。

その掲示板には、各工程の日々の出来高や生産指標が貼りだされていました。

掲示されていた各工程の一覧表の実績に対して、トップや管理者が赤文字で手書きでコメントを書いていました。

「頑張ってくれてありがとう!」とか「もう一息、がんばれ」、「原因分析、対策要」等と記入されているのを目にしました。

 

毎日、こうしたコメントを目にする現場もひと踏ん張りしたくなるでしょう。

組織としての「品質」の高さを感じたことがあります。

トップが現場へ直接に働きかけている現場を目の当たりにして、工場を見学したお客様も、その現場から生み出される製品の質の高さを感じることでしょう。

フォローと評価の姿勢は組織内部にも、外部にも前向きの作用をします。

このような有能性を感じさせる機会を現場へ増やしたいです。

 

ちなみに、先の機内誌はANAの「翼の王国9月」です。

新任機長に託す想いは、渡辺修取締役社長の言葉です。

(出典:「翼の王国2016年9月号」ANA機内誌)

 

航空会社では安全、安心のイメージは絶対です。

トップが現場へ直接に働きかけていることを知ることで安心感が高まりませんか?

 

まとめ。

トップや管理者が実践している現場に対するフォローや評価の活動は自社製品のイメージアップにつながる、つまり、顧客の信頼感を高める効果がある。

 

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出展:株式会社 工場経営研究所 伊藤哉技術士事務所


製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)