産業用ロボット導入が進まない訳 

産業用ロボット導入が進まない訳 

産業用ロボット導入の現状

産業用ロボットを導入すると「就業者減少への対応」だけでなく、「生産効率アップ」につながります。

しかし実際の生産現場を見ると、ロボットが行っている作業は「運搬」「組立」「スポット溶接」だけ。製造業で最も割合の多い『加工』においては相変わらず人が作業を行っています。

企業からは「加工もロボットで作業させたい」というニーズが高く、導入には国から補助金も出るというのに、なぜ導入が進まないのでしょうか?

shutterstock_542112622 (1)

優秀さを増すロボット。導入が進まない訳

まず、最近のハード(ロボットやその周辺機器)は非常に優秀で、導入に値する能力を持っています。

今までは「繰り返し精度」だけが取り柄だったのが、サーボモーターの発達により、加工で重要な「軌跡精度」や「絶対精度」が良くなってきています。

また、ロボットの先端に取り付ける周辺機器も「センサー」や「力制御」の発達で熟練者に近づいてきています。

 

そのため、運搬などの簡単な作業だけでなく、カット・研磨・バリ取り・穴あけ・ミリングなどの今まで熟練者にしかできなかった加工もできるようになってきました。

ハードはかなりの熟練者に近いレベルまできていると言えます。

足りないのは、ハードを簡単・効率的に使う『ソフトの力』。効率的に使えていないという事です。

 

その理由のひとつが「工数」の問題です。

ハードを動かすにはティーチング(教示作業)が必要です。

ティーチングには、ティーチングペンダントでロボットを実際に動かしながら行う「ティーチングプレイバック」と、パソコン上でティーチングを行う「オフラインティーチング」の2つの方法があります。

 

加工ではティーチングにかかる工数が圧倒的に多く、よほどの大ロットでない限りは手で加工した方が工数は少なくて済みます。

そのためロボット導入のメリットがなくなってしまいます。

 

次に「ティーチング技術者を育てる難しさ」があります。

加工曲線は三次元的に複雑な場合が多く、高いティーチング能力が必要です。

そのレベルに達する熟練者を育てるには、最低2年~5年はかかると言われています。

 

では、ティーチングを外注にお願いすれば良いかというと、例えばティーチングマン2人を5日呼ぶだけで100~150万円はかかり、導入企業にとって大きな負担となります。

オフラインティーチングソフトが現場で使われない訳

また、ティーチングを効率化するオフラインティーチングソフトも、購入してからほとんどが実用されていません。

オフラインティーチングソフトには色々な種類があり、多くのベンダーが存在します。選ぶ時には注意すべき点が2つあります。

それは「現場向きの機能があるか」、「ベンダーがハードにも精通しているか」です。

 

パソコン上で作成されたプログラムでロボットを動かせば現場では必ずズレが生じるものです。

それを簡単に修正できる機能、例えば「キャリブレーション機能」「位置や姿勢の修正機能」などが充実しているかが大事です。

また「そのベンダーがハードにも精通しているか」に関しては、例えば同じソフトで作成したロボットプログラムでも、ロボット側の設定によってロボットはまったく違う動きになります。

 

ロボット側も熟知した業者でないと、思い通りの動きをしなかった時に「それはソフトのせいではない」「ソフトの質問だけにして欲しい」と突っぱねられてしまいます。

ハード側のアドバイスもできてこそユーザにとって必要な業者といえます。

生産効率アップ→社員の給料アップの例

ここで弊社が携わったロボット導入の成功例をご紹介します。

その会社は、社員200名の加工会社で、ほとんどの社員が加工に携わっているにもかかわらず、産業用ロボットは1台しか導入されていませんでした。

生産技術部長も「ロボットをもっと導入したいが、うちの商品は『少ロット多品種』なので、ティーチングに1商品だけで1~2日かかってしまう」と嘆いていました。

 

そこでオフラインティーチングソフトとノウハウを使い、1商品あたりのティーチング工数を1時間まで短縮し、工数は10分の1以下まで減らすことに成功しました。

それからその会社はロボットの台数を大幅に増やし、生産効率アップと加工の失敗率を減少させ、利益率が改善して社員の給料アップも実現することができました。

いつもヘルメットをかぶって現場慣れしている業者を選ぶことが、御社のロボット導入を成功に導く近道となります。

参考:富士ロボット


富士ロボット株式会社(http://www.fuji-robot.com/)代表取締役。福井県のロボット導入促進や生産効率化を図る「ふくいロボットテクニカルセンター」顧問。47歳。サーボモータ6つを使って1からロボットを作成した経歴を持つ。多くの企業にて、自社のソフトで産業用ロボットのティーチング工数を1/10にするなどの生産効率UPや、コンサルタントでも現場の問題を解決してきた実績を持つ、産業用ロボットの導入のプロ。コンサルタントは「無償相談から」の窓口を設けている。