現場主義・実践主義で推進し、小さくても早い効果を実感させながら、確信をもって進化
カイゼン文化が醸成されておらず、士気が上がらない現場――。こうしたケースでのカイゼン活動の立ち上げは、自転車に補助輪をつけて乗り方の練習を指導するように、段階を踏んで丁寧に進めていきます。
カイゼンポリシーは、次の3つです。
◇現場主義・実践主義で推進する!
成熟度が低ければ、より具体的におこないます
◇小さくても早い効果を実感する!
「小さなガッツポーズづくり」を推進します
◇小さなカイゼン事例の承認・賞賛をする!
「ホラ、これ見て」「よく考えたな!」などのやりとりを推進します
例えば、「刃具置き場の整理整頓」事例にて。
会議室での話はそこそこ、まずは、現場の刃具置き場へ 【現場主義】
様子を見ると、ある程度、刃具が種類別に置かれています。以前はもっとゴチャゴチャした状況だったということなので、幾分、カイゼンされているようです。
でも、サイズ別には置かれておらず、明らかに数が多すぎると、一見してわかります。
まずはこの現状について、現場担当者に尋ねました。
(現場)「分類して置いたら、明らかに必要数以上の刃具があることがわかりました。以前は、目当ての刃具を探してもなかなか見つからないので、つい購入を依頼し買い足していました。その結果がこの有様です。今は所在と個数がわかるので、必要以上に購入することはなくなりました」【小さくても早い効果を実感】
(私)「なるほど、種類別に分類して、どんどん数が増えることを防止できるようになったわけですね。それは素晴らしい!」【小さなカイゼン事例の承認・賞賛】
(私)「じゃあ、さらに整理整頓を進めましょう。どんな風にしましょうか?」
(現場)「まずサイズ別に並べて、使用中のものはこのエリアに、そして新品はココに3個だけ置きます。使用中のものが使用不可になったら、それを廃棄し、新品を1個、使用中のエリアに移します。そして新規に1個購入します」
(私)「うん、いいですね! ここでまず置き換えてみましょうか」 【実践主義】
(現場)「こんな感じでしょうか」
(私) 「まずまずのようですね。あと、機械別の分類はしなくてよいですか? それから使用不可かどうかの確認方法はどうしますか?」
(現場)「そうですね、それらも含めて、少し考えてみます」
(私) 「いつまでに、やりましょうか?」
(現場)「う~ん、忙しいんですよね。それに、こんなにありますから……」
(私) 「いいですよ、まずはほんの少し、これだけのエリアに限定して、試行・思考を重ねてみてください」
(現場)「ハイ、それなら大丈夫です。○○日までに、やっておきます」 【小さくても早い効果を実感】
(私)「そういえば、A職場の仕掛品置き場の整理整頓は、よく考えられていて、一目で工程間の流れがわかるようにカイゼンされていましたよ。参考になると思うし、一度じっくり見て、担当者の話も聞いてみたらどうですか?」 【小さなカイゼン事例の承認・賞賛】
(現場)「ハイ、そうします」
現場主義・実践主義で推進し、小さくても早い効果を実感させながら、確信をもって進化のアプローチ。どうでしょう!?
本コラムは、「組織の力をグイグイ育てるカイゼンのヒント」中の1節を加筆・修正したものです。
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