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渦電流変位センサの原理と特徴 vol.2 ~ 励磁方式・取扱い上の注意...

渦電流変位センサの原理と特徴 vol.2 ~ 励磁方式・取扱い上の注意 ~

前号では渦電流変位センサの原理と特徴に関して、その概要を述べましたが、今回は同じ渦電流方式の変位センサでもキャリアの励磁方式により違いがあること、また渦電流変位センサの取扱上の注意点について述べます。

キャリアの励磁方式による違い(自励式と他励式)

渦電流式変位センサには、センサコイルを発振回路の一部(共振系)として利用する自励式と、一定振幅、一定周波数の独立した発振器を持ち、その信号をセンサに供給する他励式の2種類があります。

FKシリーズやVKシリーズは自励式であり、VCシリーズやVGシリーズは他励式です。

自励式はセンサとターゲットの距離によりキャリア周波数が変化しますが、他励式では距離に関係なく一定です。

 

このため、以下の【センサ近接による相互干渉】の中で詳しく述べますが、相互干渉が発生するようなアプリケーションにおいて他励式の場合には同期またはキャリア周波数を離すという電気回路上の対策が可能ですが、自励式の場合にはセンサ同士を機械的に離して干渉しないようにすることが必要となります。

他励式に比べ自励式の方が回路が単純で小規模であるため、変換器の小型化、耐環境性、防爆構造がとりやすいことなどから、機械の振動監視用センサとしては自励式のものが一般的です。

これに対して、より高精度、高分解能などを求める試験研究用の変位計としては他励式のものが使われることがあります。

 

表1に自励式と他励式の比較を示します。

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渦電流変位センサの取扱い上の注意

以下に渦電流変位センサを使用する場合の主な注意事項に関して述べます。

なお、下記に示す数値は一例であり、それぞれの具体的な数値は実際に使用する機種(シリーズ、型式)の取扱説明書等を参照してください。

(1)センサ近接による相互干渉

渦電流変位センサ同士が近接する場合、相互干渉によりセンサ回路にそれぞれの励磁周波数の差のビートを発生させることになります。

そのビートの周波数(つまりそれぞれの励磁周波数の差)が変換器の周波数応答の帯域内、または大きく外れていない場合、変換器出力にビートノイズが現れることになります。

これはちょうど近接した音程のわずかな周波数差による「うなり」とよく似た現象です。

 

図5は2個の渦電流変位センサを直交する角度で配置し、センサ直径 d 対センサ間の距離 x の比率( x/d )を横軸にとり、その時の変換器出力に現れるビートノイズの大きさを示したものです。

この相互干渉を避ける方法として、各センサへのキャリア周波数を完全に同期する方法とビートノイズの周波数が変位計の周波数応答よりもはるかに高くなるようにそれぞれのセンサのキャリア周波数を大きく離して設定する方法があります。

しかし、このいずれの方法も他励式に限り適用可能です。

 

他励式の場合は、キャリア周波数がセンサ回路とは独立した発振回路によって固定した周波数に決められるため上記のような方法が適用できますが、自励式の場合、励磁周波数はセンサコイルを含めて構成される発振回路によるためセンサとターゲットの距離によって変化し、任意の一定周波数に固定することができず上記のような方法を採ることができません。

したがって自励式の場合はセンサ同士を十分に離して干渉しないようにすることが必要です。

他に自励式特有の方法として、一方のセンサ設定距離(ギャップ)を変えることによってキャリア周波数をずらす、またはシステムケーブル長(センサケーブルと延長ケーブルのトータル長さ)の異なるものを組み合わせて使用することにより相互のキャリア周波数をずらすなどの方法も考えられますが、現場での現物合わせによる対処法となり確実性の面では問題があります。

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(2)センサから変換器までの専用ケーブルの変更

自励式と他励式のいずれの場合も、変換器はセンサコイル+センサケーブル+延長ケーブルで総合的に決定される回路定数(L, C, R)に対して調整されており、この回路定数が変更されるようなケーブル種類の変更やケーブル長の変更はできません。

したがって、延長ケーブルはそのシステムで規定された専用のものを使用する必要があります。

(3)ターゲット材質

渦電流式変位センサのターゲット材質は良導体であることが必要であり、通常金属をターゲットとしますが、その原理上ターゲット金属の材質による影響を受けます。

したがって実際に使用するターゲット部分の材質または類似の材質のターゲットにて調整しておく、または振動モニタ等後段の監視計器にて感度調整を行っておく必要があります。

なお、API 670規格では標準校正ターゲットとしてAISI 4140 steel (SCM440 相当)が規定されています。

 

図6にターゲット材質の違いによる特性差の例を示します。

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出典:『技術コラム 回転機械の状態監視や解析診断』新川電機株式会社


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