ものづくりニュース by aperza

机の下に隠されていた素晴らしい改善

机の下に隠されていた素晴らしい改善

前回の話の続きです。パートさんが実行してくださった改善について、その内容をご紹介しましょう。

 

印象に残っている素晴らしい改善はいくつもあるのですが、例えば、計測器メーカーのY社で改善指導をしていた時のことです。

Y社の計測器の計測部は自動化が難しくほとんどの部分が人手作業によるもので、それぞれの作業に専門の作業者がいました。

その結果、いくつかの工程に分割された作業の場合、生産ロットサイズが50個だとすると、各工程で50個ができあがるまで次の工程には行かないので、完成品ができるまでとても長い時間がかかっていました。その結果、しばしば納期遅れが出て困っていたのです。

 

ところが、その中でパートタイマーのIさんが何か言いたそうな顔で私を見ていたので、私は「Iさん、何かいいアイデアある?」と質問を投げかけました。

するとIさんは、「すみません、こんなこと言ったら工場長に怒られると思うのですが、実は本当に間に合わない時、私は一人で全部やるやり方をしているのです。これだとはやいのですが、勝手にやっているのでよほどの時しかやりませんが…」とのビックリ発言をしてくれたのです。

 

そこで私は、「Iさん、それは素晴らしいことですよ、よく言ってくださいました。ちょっと急で申し訳ないけど、今ここでやってみてくれませんか?」とお願いしました。

するとIさんは机の下から内緒の木製の作業台を出してきて、必要な部品を集めて一人作業を開始しました。

その結果何が起きたか……ですが、これまで一週間はかかると言われていた製品が1台だけですが20分でできてしまいました。

 

そこにいた工場長はびっくりしていました。そしてその日からI さん方式の改善が始まって全社のリードタイムは激減し、納期の問題はあっという間に解決したのです。

叱られるのではと心配していたIさんですが、思いっきり褒められたのは言うまでもありません。

改善4コマ-768x2252

◎現場改善No.1コンサルタント。大手自動車メーカーにて、一貫して生産効率改善(IE)を担当し、その改善手腕を見込まれて、社命にてスタンフォード大学大学院に留学。帰国後、若くしてIE責任者として、全国の主力工場を指導、抜群の成績をあげる。 ◎現在、 柿内幸夫技術士事務所の所長 として、自動車、家電、食品、IT関連メーカーなどを指導。「現場で、全社員が一緒に改善する実勢指導」という独自のノウハウで、社長・工場長はもとより、現場の人たちから絶大な信頼をよせられる。中小企業のドロ臭さと、最新鋭の工場ラインの双方を熟知した手腕に、国内だけでなく欧米、中国、アジアの工場の指導に東奔西走する毎日である。 ◎1951年東京生まれ。東京工業大学工学部経営工学科卒業、スタンフォード大学修士課程修了、慶応大学にて工学博士号取得。 ◎著書「最強のモノづくり」(御沓佳美 共著)「“KZ法”工場改善」「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「5Sでつくる高収益工場ビデオ」「図解でわかる生産の実務 現場改善」「現場改善入門」「現場の問題解決マニュアル」他多数。平成16年日本経営工学会経営システム賞受賞。工学博士、技術士(経営工学)。