既存ロボットに後付け可能な触覚センサを開発、産総研がピッキング精度向上...

既存ロボットに後付け可能な触覚センサを開発、産総研がピッキング精度向上を実現

この記事の内容をまとめると…

  • ロボットハンドに触覚センサを装着し、圧力分布を測定可能に
  • 触覚センサの信号を活用してグリッピング動作のフィードバック制御を実現
  • 既存ロボットに後付け可能なシート状センサとして社会実装を目指す

MEMSセンシング&ネットワークシステム2025、NANO TECH2025などの展示会が2025年1月29日から31日に東京ビッグサイトで開催され、産総研からも多くの研究者が出展した。柏センターの研究者たちの展示の様子を紹介する。

ロボットハンドへの触覚付与詳細

武居淳研究チーム長が「人間の身体を測るセンサ類をロボットに応用」と紹介したのが、延島大樹主任研究員のロボットハンドへの触覚付与の研究である。触覚センサを使ったロボットのグリッピングやピッキングの高度化と、作業用ロボットへの後付け装着について紹介した。

ロボットハンドの指の腹の部分に触覚センサを付与し、圧力分布を測ることができる圧力センサを実装している。物をピックアップする際に指の腹に物が接触すると、握っている時の圧力や形状分布がわかるため、触覚センサの入力信号を活用して、ピックアップ時のグリッピングを制御するフィードバック機能を検討している。

例えば、スーパーでの品出しや工場の製造ラインで、雑多な部品が向きや位置も雑多に置かれている場合に、このフィードバック機能が役立つと考えられる。ロボットハンドに1kgの分銅を持たせた後に、柔らかく軽いスポンジを持たせ、接触センサで力のかかり方を可視化することで物の重さや柔らかさを検知し、その情報から動作へのフィードバックを行うデモンストレーションを実施した。

この触覚センサを使うことで、物の柔らかさを検知したり、物を持ち上げたり移動させたりする最中に、ずり落ちそうになるのを予め検知して、より強く握るなど、ロボットのグリッピングやピッキングの高度化を図る。

実はこのセンサ、簡単に外付けできるようになっている。ロボットハンドの指の腹にシート状のセンサを貼り付けるだけなので、既に稼働している多くのロボットに、この機能を付与する形で社会実装しようというコンセプトのもと、NEDOのプロジェクトとして、さまざまな産業用ロボット開発に携わる技術組合と一緒に取り組んできた。5か年計画で進めてきて今年が最後の年になるが、ある程度デモンストレーションができる段階になり、成果がまとまってきている。

現在は、伸縮可能な配線でロボットが自由に動いても、断線したり動きを阻害したりしないような形で、センサ実装の研究をしている。

産業用ロボットを扱っているさまざまなメーカーに使ってもらいたい。産総研やNEDOプロジェクトで作った技術を活かして、現在使っているロボットに後付けでセンサを装着し、ロボットの性能を高めていきたい。

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アペルザニュース編集部です。日本の製造業、ものづくり産業の活性化を目指し、日々がんばっています。