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夏と冬の熱を地下の帯水層に溜めて空調に、大阪の中心部で (石田雅也,[...

夏と冬の熱を地下の帯水層に溜めて空調に、大阪の中心部で (石田雅也,[スマートジャパン])

 日本で初めての「帯水層蓄熱利用」による空調システムを導入する場所は、JR梅田貨物駅の跡地に開発中の「うめきた2期区域」である(図1)。24万平方メートルに及ぶ跡地のうち未開発の17万平方メートルが対象で、区域全体に最先端のエネルギーシステムを導入する長期構想の先行プロジェクトとして実施する。

 「帯水層蓄熱利用」は地中熱を利用した省エネルギー技術の1つで、ビルなどの冷暖房で排出した熱を地下の浅い部分にある帯水層に溜めておく方式だ(図2)。冬には井戸からくみ上げた地下水を空調の排出熱で冷やして地下の帯水層に戻し、夏になったら冷たい地下水を井戸からくみ上げて冷房に利用する。

 と同時に別の井戸から夏の冷房の排熱で温めておいた地下水をくみ上げて暖房に利用する仕組みになっている(図3)。地中の温度は年間を通じて一定で、帯水層に溜めた熱が逃げにくい。このメリットを生かして地中に溜めた熱を有効に利用しながら、空調のエネルギー消費量を削減できる。さらに夏の冷房の排熱を空中に放出しないで済むことから、ヒートアイランド現象を緩和する効果も期待できる。

 「うめきた2期区域」で10月に開始する実証事業では、2本1組の井戸を地下に掘る工事から着手する(図4)。実証に先立って開発した熱源専用の井戸を設置する計画で、大量の地下水をくみ上げたり戻したりできる揚水・還水の機能を備えたものになる。

 この実証事業は環境省のCO2(二酸化炭素)排出削減対策の一環で取り組む。関西電力をはじめ民間企業5社を中心に、大阪市と大阪市立大学、岡山大学を加えた産学官の連携体制で実施する。2016年末までに全体の工事を完了して、2017年1月から実証運転を開始する予定だ。

 床面積が1万平方メートル以上のビルの空調に適用することを想定して、主に3つのテーマの技術的な検証を通じて実用化を目指す(図5)。開発した熱源専用井戸の性能を検証するほか、地下水を利用できる高性能のヒートポンプの制御技術、地盤沈下に対する影響評価や蓄熱効率の予測・改善技術も検証する。2018年3月末までに実証事業を終了して検証結果をまとめる。

2022年の街びらきに合わせて導入

 帯水層蓄熱利用による省エネ効果を事前に試算した結果では、床面積が3万平方メートルのオフィスビルの場合に、一般的なヒートポンプによる空調システムと比べてエネルギー消費量を35%削減できる(図6)。空調のエネルギー消費効率を示すCOP(消費電力に対する熱・冷熱量)は冷房時に5.1、暖房時に5.9になる見込みで、一般的なヒートポンプ空調の4〜6倍に向上する。帯水層の蓄熱効率は80%を想定している。

 大阪市の中心部は地上にビルが密集して冷暖房の需要が大きい。一方で地下の浅い層に大量の地下水が存在しているため、帯水層蓄熱利用のポテンシャルが高い。大阪市が地盤のデータをもとに250メートル四方単位のポテンシャルを推計したところ、市内の西側を中心に高いポテンシャルを示した(図7)。その中には「うめきた2期区域」を含む梅田エリアも含まれている。

 「うめきた2期区域」では2014年度から国土交通省が支援するモデル事業として「うめきた2期区域エネルギー構想」が始まっている。大阪市が代表になって、関西電力、大阪ガス、NTT西日本が共同で取り組む。エネルギーの地産地消を目指す長期構想で、実現に向けて2つの先行プロジェクトを実施する計画だ。そのうちの1つが「大阪らしさを活かした創蓄省エネモデルの構築」である(図8)。

 水の都とも呼ばれる大阪の豊富な水資源を利用したエネルギーの地産地消が構想の1つのテーマになっていて、帯水層蓄熱のほかにも市内にはりめぐらされている下水管がもたらす下水熱の活用を検討中だ。2022年に予定している「うめきた2期区域」の街びらきに合わせて、帯水層蓄熱や下水熱を利用したエネルギーシステムを導入していく。


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