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分かりにくい用語とその意味(3)軸振動センサのX-Y取付け

分かりにくい用語とその意味(3)軸振動センサのX-Y取付け

今回は大型回転機械の軸振動計測に適用される非接触変位センサの取付けに関連して、軸振動センサのX-Y取付けに関する規格とX-Y取付けの目的について説明します。

軸振動センサのX-Y取付けに関する規格・規定

回転機械の回転軸における測定と評価基準について規定しているISO 7919-1(※1)<一致規格JIS B 0910(※2)>、およびアメリカ石油協会の機械保護装置に関する要求事項を記載したAPI 670(※3)規格において、回転軸の振動を測定する軸振動センサの取付けに関してはそれぞれ表3のように規定されています。

 

※1. ISO 7919-1:Mechanical vibration of non-reciprocating machines – Measurements on rotating shafts and evaluation criteria – Part 1: General guidelines

※2. JIS B 0910:非往復動機械の機械振動 – 回転軸における測定及び評価基準 – 一般的指針

※3. API Standard 670 Fourth Edition:Machinery Protection Systems

 

▼表3. 軸振動センサの取付けに関する規格
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いずれの規格でも軸振動センサは1つの測定点に2個のセンサを取付けることが基本となっていますが、より詳細に規定しているAPI 670規格の内容に沿った軸振動センサ取付けイメージを図4に示します。

これらのセンサの取付け方向をX方向、Y方向と呼んだり、センサをXセンサ(Xプローブ)、Yセンサ(Yプローブ)と呼ぶことがあり、このようなセンサの取付け方法は一般的にX-Y取付けと呼ばれています。

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▲図4. 軸振動センサの取付図

 

なお、どちらがXセンサで、どちらがYセンサかというとAPI 670では「回転方向に関わらず、マシントレインの駆動側から見てYセンサは垂直中心線より左側、Xセンサは右側」(※4)と規定されています。

したがって、仮に図4がコンプレッサ駆動用タービンのロータで、このロータ側面図の右側にコンプレッサが連結されたマシントレインがあるとした場合、ロータ断面図で垂直中心線より左側がYセンサ、右側がXセンサということになります。

※4. Referenced such that when viewed from the driver end of the machine train, the Y (vertical) probe is on the left side of the vertical center, and the X (horizontal) probe is on the right side of the vertical center regardless of the direction of shaft rotation.

軸振動センサのX-Y取付けの目的

次に図4のように、2つの軸振動センサを互いに90度の角度を持って設置することによって何が測定できるのか考えてみましょう。

図5に滑り軸受における回転軸(シャフト)の挙動のイメージを示します。

軸振動計測では、この回転軸がどのようにどのくらい動き回っているのか、回転軸の動的な挙動を捕らえるということになります。

 

軸振動計測に適用される非接触変位センサは取付金具で軸受に固定され、そのセンサの計測軸方向における回転軸の動き(変位)を捕らえることになります。

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▲図5. 軸受内の回転軸の動的な軌跡

 

図5において、矢印付きの赤い曲線は回転軸中心の動的な軌跡を示すものですが、これがきれいな円形であれば、どの方向から測定しても振動振幅は同じ値となります。

しかし、これが楕円となると、測定する方向、つまりセンサの取付け方向によってその振幅値が変わってきます。

実際の機械の軸の挙動(軸中心の動的な軌跡)は円形や楕円だけでなく、更に複雑な動きをすることがあります。

 

したがって、一方向にだけセンサを取付けていた場合には実際の振動の最大振幅を捉えることができず、振動振幅を過小評価してしまう可能性があります。

そこで、図4に示すように2つの軸振動センサを互いに90度の角度を持って設置することで、2つのセンサの計測軸から成る平面上における回転軸の挙動、軸中心の動的な軌跡を捉えることができます。

これにより理論的には軸振動の最大振幅を計測することができることになります。

 

つまり、軸振動センサのX-Y取付けの最大の目的は、軸振動をより正確に計測して、一方向取付けによる振幅値の過小評価の可能性というリスクを避けるということになります。

この他にも一方向取付けではできなかったが、X-Y取付けではできることがいくつかありますが、その当たりのことは次回説明したいと思います。

出典:『技術コラム 回転機械の状態監視や解析診断』新川電機株式会社


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