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付加価値拡大のPDCAを廻し続ける仕組みを考える

付加価値拡大のPDCAを廻し続ける仕組みを考える

付加価値拡大戦略では「キャッシュを増やす5つの正攻法」と販売戦略を組み合わせる、と言う話です。

 

1)まず、足元の現金を稼ぎ、

2)付加価値拡大戦略を立て、

3)販売戦略に基づいて検証し、

4)必要に応じて修正を加え、

5)見こんだ収益を獲得できそうならGO!

 

軌道修正できるように、段階的に進めます。

やっぱり「高付加価値製品やサービスの開発」がキモです。

1.付加価値を拡大するための2つの方針

付加価値を拡大するための方針は次の2つです。

方針の1) 売上高 ↑(増)

方針の2) 工場の生産量に比例して出費される費用項目の総額 ↓(減)

 

そして売上高を増やすためには、以下の切り口で考えます。

・高付加価値製品(サービス)を開発し単価を上げる。

・販路開拓によって販売数量を増やす。

(地域問題の解決を製品高付加価値化の切り口にする)

 

そして、付加価値の拡大を継続的に実現させます。

企業の存続と成長のためには、継続性が問われます。

ですから、モノづくりの事業を展開していくなかで、「付加価値拡大のPDCAを廻す仕組み」を構築することがどうしても必要です。

 

気合一発、踏ん張って、ヒット商品を開発できたから、ヤレヤレ、しばらく安泰だ、と考えているようでは、あっという間に競合に追いつかれます。

ウサギとカメの話ではないですが、ゆっくりでも構いません、ただ、ひたすらに休むことなく、PDCAを廻し続けることが付加価値拡大戦略の要諦です。

ですから、付加価値拡大戦略を描く時、方針の2)のみでは辛くなります。

 

これは結局のところ無駄を省く、ということですから、上限があります。

それに、コスト削減のみでは、“加える”というプラスの発想が浮かびにくくなる。

せっかくモノづくりに携わっているわけですから、モノづくりの面白さや楽しさ、達成感を味わいながら、額に汗して付加価値を拡大したいです。

 

新たなことに挑戦する取り組みの方が、現場の働きがいも高まりやすいです。

ですから、方針の1)を柱に据えます。

方針の2)で足元の現金を稼ぎ、方針の1)を下支えするイメージです。

 

方針の2)によるコスト削減や生産向上は、方針の1)を実現させる原資を獲得するために行うと経営者が現場に対しその狙いをしっかり説明することが肝心です。

経営者が目的や狙いを明確にすることにより、カイゼンへの納得感が高まります。

経営者がこうした事を、繰り返し、繰り返し現場へ説明していれば、作業中の作業者の頭の中に、ふと経営者の顔も浮かんでくるはず。

 

「将来のもうけのためだ、もうひと踏ん張り知恵を絞ろうか!」と言う雰囲気も醸成されます。

納得感は自発性や意欲を生み出すからです。

先を見通した仕事と先を見通していない仕事を比べます。

2.高付加価値製品で売上高を増やす販売戦略

方針の2)で足元の現金を稼げたら、次は高付加価値製品、サービス品の開発です。

この時、販売戦略もいっしょに考えます。

ポイントは高付加価値製品を従来製品と対比させることです。

 

下の表は、従来製品と高付加価値製品を従来市場と新規市場へ販売する時の組み合わせを示しています。

表中のコメントは販売戦略の狙いです。

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付加価値拡大を狙う時、商圏の拡大も合わせて考えます。

まず、

・従来製品で従来市場を「ヨリ深く」攻めることはできないか考えることから

スタートします。

 

まずは、今の事業展開でやり残していることはないかの振り返りです。

これで気付きがあれば、最も手っ取り早く付加価値を拡大できます。

次に、

 

・従来製品を新規市場へ投入する

・高付加価値製品を従来市場へ投入する

ことを考えます。

 

新規市場へ従来製品を投入して、従来製品対比で付加される価値が新規市場でどのように評価されそうか「探リ」を入れる。

また、従来市場へ高付加価値製品を投入して、従来製品対比で付加される価値が従来市場でどのように評価されるのか「探リ」を入れる。

 

両者の「探り」の検討結果から、

・高付加価値製品を新規市場へ投入することに挑戦する

ことを考えます。

 

網羅的に考え、目論んでいる高付加価値が市場で「選ばれる」価値になっているか否かを判断します。

試供品として提供したり、テスト販売したり、市場で探る方法はいろいろあります。

最も避けたいのは、全社挙げて開発した製品を一気に販売しようとしたが、全く売れなくて在庫の山を築いた、と言う状態に陥ることです。

 

軌道修正ができるような仕事の進め方をします。

3.付加価値拡大のPDCAを廻し続ける仕組み

付加価値拡大のPDCAを廻し続ける仕組みを考えるためのフレームワークを以下のように考えています。

1)工場の生産量に比例して出費される費用項目の総額を減らす等、

「キャッシュを増やす5つの正攻法」のうちの(1)(2)(3)(4)の活動により、まず、足元の現金を稼ぐ。

(戦略的な工場運営で「5つの正攻法」を意識する)

 

2)上記で獲得した経営資源を投入し、付加価値拡大戦略を立てる。

・狙う顧客、狙う市場を明らかにする。

・開発すべき「高付加価値」を定義する

 

3)狙った市場や定義した「高付加価値」を販売戦略に基づいて検証する。

・高付加価値製品やサービスの開発をする。

・試供品やテスト販売等を実施する。

 

4)成果がイマイチと判断されたら、

・狙う顧客、狙う市場に修正を加える。

・開発すべき「高付加価値」に修正を加える。

 

5)販売戦略に基づく検証の結果、見こんだ収益を獲得できそうならGO!

・つまり「キャッシュを増やす5つの正攻法」のうちの(5)の行う。

これを継続して廻すことで、高付加価値品を市場投入する毎に商圏を拡大させることが可能です。

 

段階的に進めるのがポイントです。

蓋をあけたらダメだったということを避け、リスクを最小限にして挑戦を重ねます。

これが付加価値拡大のPDCAを廻し続ける仕組みを考えるためのフレームワークです。

 

業種業態に応じて、具体的なプランに落とし込みます。

この中で「高付加価値製品やサービスの開発」がキモになっているのは言うまでもありません。

まとめ。

1)まず、足元の現金を稼ぎ、

2)付加価値拡大戦略を立て、

3)販売戦略に基づいて検証し、

4)必要に応じて修正を加え、

5)見こんだ収益を獲得できそうならGO!

 

軌道修正できるように、段階的に進める。

やっぱり「高付加価値製品やサービスの開発」がキモとなる。

付加価値拡大戦略では「キャッシュを増やす5つの正攻法」と販売戦略を組み合わせる。

 

出典:株式会社 工場経営研究所 伊藤哉技術士事務所

 


製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)