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世界の再生可能エネルギーさらに加速、今後5年間の増加量を上方修正 (石...

世界の再生可能エネルギーさらに加速、今後5年間の増加量を上方修正 (石田雅也,[スマートジャパン])

 先進国を中心に世界29カ国が加盟するIEA(国際エネルギー機関)は再生可能エネルギーの中期市場予測レポート「Medium-Term Renewable Market Report(MTRMR)」の最新版をまとめた。2017〜2021年の5年間に再生可能エネルギーを利用する発電設備が全世界で8億kW(キロワット)以上も増加する予測で、前年の同レポートによる予測から13%上乗せした(図1)。

図1 再生可能エネルギーによる発電設備の増加予測(今後5年間の合計)。2015年時点の予測(左)と2016年時点の予測(右)。GW:ギガワット(=100万キロワット)。出典:IEA

 風力を中心に中国の伸びが著しく、米国やインドでも発電設備の増加にはずみがつく。年間の発電量で比較すると、中国では火力や原子力を含めた発電量全体が2015年と比べて1兆2000億kWh(キロワット時)以上も増えて、そのうち半分近くを再生可能エネルギーが占める予測だ(図2)。インドやASEAN(東南アジア諸国連合)、アフリカ諸国でも同様の傾向を示す。

図2 主要国・地域の年間発電量の増加(2015年と2021年を比較)。青:全体、緑:再生可能エネルギー。TWh:テラワット時(=10億キロワット時)。出典:IEA

 これに対してEU(欧州連合)加盟28カ国や米国、日本では、発電量全体の伸びを上回って再生可能エネルギーの電力が拡大する見通しだ。日本では2021年までに1000億kWh近い電力が新たに再生可能エネルギーで生み出される。電源構成(エネルギーミックス)で10ポイント程度の上乗せが期待でき、2021年には発電量全体の20%以上に達する可能性が大きい。2030年の国の目標値(22〜24%程度)に早くも近づく。

 IEAによると、2015年の全世界の発電量のうち23%を再生可能エネルギーが占めて、石炭火力を抜いて最大の電源になった。さらに2021年には28%まで上昇すると予測している。2001年の時点と比較すると、再生可能エネルギーの発電量は2015年に約2倍に増えて、2021年には2.6倍以上の規模になる(図3)。その次に伸びるのは天然ガスで、CO2(二酸化炭素)の排出量が多い石炭火力は2021年まで微増の状況が続く。

図3 全世界の電源別の発電量の伸び(2001年を100とした)。緑:再生可能エネルギー、紫:天然ガス、茶:石炭、黒:全体。出典:IEA

太陽光の発電コストは2021年までに25%下がる

 IEAは再生可能エネルギーの種類別の発電量も比較している。2015年の時点では水力が71%を占めて圧倒的に多い。従来からの大規模な水力発電による電力を含んでいるためだ。次いで風力が15%、バイオマスが8%で、天候によって発電量が変動する太陽光は4%にとどまる(図4)。

図4 再生可能エネルギーの種類別の発電量比率(2015年)。上から時計回りに、水力、バイオマス、風力、太陽光、その他。出典:IEA

 この比率が2021年になると大きく変わる。水力が59%まで低下する一方、風力が21%に、太陽光も9%に上昇する(図5)。再生可能エネルギーによる発電量は2015年から2021年のあいだに7兆6000億kWh以上も増加する見込みで、そのうちの約3分の2を風力と太陽光がもたらす。

図5 再生可能エネルギーの種類別の発電量比率(2021年、予測)。上から時計回りに、水力、バイオマス、風力、太陽光、その他。出典:IEA

 世界各地で風力と太陽光が伸びる最大の要因は発電コストの低下にある。事業用の太陽光発電のコストは2011年の時点では1kWhあたり30〜50円の水準だったが、2015年には15円前後まで下がった。さらに2021年までに25%のコストダウンによって10円前後の水準になる(図6)。

図6 事業用の太陽光発電のコストと主要国の入札価格。単位:米ドル/メガワット時(=約0.1円/キロワット時)。出典:IEA

 日本では現時点で世界の水準を上回る20円程度だが、同様のコストダウンを実現できれば2021年には15円程度まで下がる。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が太陽光発電の長期ロードマップで掲げている2020年の発電コスト14円と同等になる。海外では入札制度によって発電コストの低下が加速する可能性もある。日本でも2017年度に太陽光発電の入札制度を開始することから、コストダウンの効果が注目される。

 IEAは風力発電のコストも2015年から2021年に15%低下すると予測している。洋上風力ではヨーロッパの先進国を中心に40〜50%のコストダウンが期待できる。ただし太陽光・風力ともに各国の政策や金融市場の支援が続くことを前提にしたポジティブな予測である。


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