ワイヤレス充電に関する Q&A

ワイヤレス充電に関する Q&A

1. ワイヤレス充電技術が実現してから数年経ちますが、それを導入した市販のスマートフォンや電子製品の数が少ない理由は何ですか?

ワイヤレス・パワー技術は、実際は非常に古い技術ですが、それを現代のエレクトロニクス・デバイス向けに最適化して電力伝達の効率性を向上させることは1つの課題です。

実際にワイヤレス充電を採用している製品は、数多く市販されています。

IHSによると、2015年、1億4400万台のワイヤレス充電対応デバイスが出荷されています。

 

ワイヤレス充電機能のもう1つの側面は、インフラ、つまり送電器ですが、こちらも家具、自動車、多くの民生機器などさまざまなアプリケーションで導入されつつあります。

この技術が市場で採用されるためには、受電器を備えた携帯型エレクトロニクス・デバイスと、あらゆる場所で利用できる送電器が必要です。

しかし、この技術に関わるすべての人の活気が高まっていることは朗報であり、2017年にはワイヤレス充電を標準の組み込み機能として搭載した製品を目にすることになるでしょう。

2. 業界では、デバイスを長距離充電できると同時に複数のデバイスを充電できる磁気共鳴がワイヤレス充電を担うと考えられています。しかし、主流のソリューションは、今でも電磁誘導です。今後、どちらの技術に将来性があると思いますか?

私たちは、世界のあらゆる場所、そしてすべてのバッテリ式の製品においてワイヤレス充電を推進する方向にあり、磁気共鳴技術は将来のワイヤレス充電技術として有利な立場にあります。

たとえば、さまざまなパワー要件、複数のデバイス、そして異なる充電面での充電をサポートすることができ、その意味で磁気共鳴は電磁誘導よりも有利です。

しかし、電磁誘導は、現時点で最大のマーケットシェアを持っており、OEMおよび設計者は、高い効率性、技術の成熟度、インフラの普及、利便性など多くの理由でそれを選択しています。

 

磁気共鳴は新しい技術であり、少しずつ採用されつつあり、効率性とインフラの最適化は今後進むでしょう。

OEM、設計者、および消費者は、磁気共鳴を導入し、それを理解し、その利点を実際に感じ始めるでしょう。

電磁誘導は、いわゆる第1世代のワイヤレス充電であり、磁気共鳴は、第2世代です。

 

磁気共鳴が市場で主流となるのは、自然な流れであり、時間の問題です。

その過程で、ユーザーが携帯端末の充電にいずれかの技術を選択できるマルチモード・ソリューション(電磁誘導と磁気共鳴の組み合わせ)がつなぎとして導入される可能性は高いです。

この移行段階は、この技術の採用に水を差すようなマイナスのユーザー体験や混乱を引き起こすことなく電磁誘導から磁気共鳴へ消費者をシームレスに移行させるために重要です。

3. マルチモードワイヤレス充電ソリューションは、移行期間だけのものですか? その場合、移行後、磁気共鳴は市場で主流のソリューションとなりますか?

市場でどの技術が採用されるかに関しては2つの視点があります。

1つは、将来、どの技術を消費者が使用するかです。

先に述べたように、マルチモードは電磁誘導から磁気共鳴へのつなぎの段階であり、その期間の長さは、磁気共鳴技術をサポートするインフラの構築にどの程度の時間がかかるかにより決まります。

 

ユーザーは、それぞれの技術の使い勝手さえ分かっていれば、どちらの技術であってもワイヤレス充電を使用できます。

マルチモードの受電器の使用が市場で普及すれば、電磁誘導式の送電器から、この将来の技術をサポートした磁気共鳴式の送電器へとシフトし始めるでしょう。

もう1つの視点は、携帯端末にどの技術が導入されるかです。

 

スマートフォンなど多くのアプリケーションにおいて、マルチモードは、将来、標準として導入される可能性があり、磁気共鳴と電磁誘導の両方が無期限にサポートされ続けるでしょう。

その理由は、システムに磁気共鳴が導入されていれば、電磁誘導のサポートの追加は、さほど困難ではないからです。

したがって、ワイヤレス充電器能を備えた実質的にすべてのスマートフォンは、マルチモード・ソリューションを採用するでしょう。

 

ただし、ウェアラブル端末やコンピュータなどの製品は、マルチモードをサポートしない可能性があります。

たとえば、ノートPCや2-in-1 PCなどのコンピュータ機器では、より多くの充電および電力伝達が必要であり、電磁誘導はそれに対応できないため、磁気共鳴だけが使用されるでしょう。

ウェアラブル端末は、その物理的な形状とパワー要件により、電磁誘導をサポートし続けるかもしれません。

 

ただし、完全なワイヤレス充電のエコシステムが求められれば、磁気共鳴もサポートする必要があります。

ウェアラブル端末向けの磁気共鳴の課題の1つは、そのパワー要件が他のデバイスよりもはるかに低く、複数のデバイスを1つの磁気共鳴パッドで使用した場合、ウェアラブル端末に対して必要以上の大きな電力がかかり、故障する可能性があることです。

オン・セミコンダクターの「ダイナミック・パワー・チューニング」を使用することで、ウェアラブル端末は、回路を損傷させることなく、送電器から受け取る電力を調整できます。

 

この場合、ウェアラブル端末は、パワー要件の大きい他のデバイスと一緒に同じ充電パッドで充電可能となり、最適なワイヤレス充電を実現できます。

当社は、スマートフォンと同時に同じ磁気共鳴式の送受電器パッドでワイヤレス充電できる補聴器およびデバイス向けに、この機能を実証しています。

4. 現在、ワイヤレス充電業界は、スマートフォンで成り立っていますが、将来、どのエレクトロニクス・デバイスが標準機能としてワイヤレス充電を採用しますか?

消費者側から見ると、コンピュータ市場もワイヤレス充電器能を推進していくでしょう。

当社は、2017年にノートPC、コンバーチブルPC、および2-in-1タブレットPCのワイヤレス充電市場で磁気共鳴ワイヤレス・ソリューションが導入されると期待しています。

また、ウェアラブル端末も主な充電方法としてワイヤレス充電を採用するでしょう。

 

ユーザーは、ワイヤレス充電を使用することで、エレクトロニクス・デバイスを移動しながら簡単に充電できるようになります。

ワイヤレス充電の主な利点の1つは、製品のコネクタが不要となり、デバイスを完全に密閉して、コードなしに完全に充電できることです。

これは、医療分野の多くのレベルにおいて大きな利点です。利用者や患者にとっては、生活の質(QoL)の向上につながります。

 

たとえば、補聴器の利用者は、シャワー中も水泳中も、どこでも使用できます。

また、ワイヤレス充電によりバッテリの交換も不要となります。

バッテリ交換のために非常に小さな機械式の蓋を開く行為は、補聴器の故障または返品の主な理由となっています。

 

もう1つの例は、バッテリ式の医療用パッチおよび埋め込み式デバイスです。

この種の製品は、いずれバッテリの交換が必要になり、手術が必要な場合もあるため、ワイヤレス充電が実現されれば、この処置が不要となります。

医療分野におけるもう片方の側面は、医療処置で使用される器具です。

 

この種の器具は、医療処置が施されるごとに充電して消毒する必要があります。

ワイヤレス充電を使用することで、それを密閉することができ、より素早く簡単に低コストで処置できるようになります。

5. ワイヤレス充電に関するオン・セミコンダクターの主要な製品は何ですか、どのような機能を備えていますか?

オン・セミコンダクターは、磁気共鳴のアーキテクチャをサポートした製品を用意しており、すべてのワイヤレス充電技術、つまりマルチモード・ソリューションをサポートするポートフォリオが揃いつつあります。

当社の製品は、ワイヤレス充電システムに不可欠な構成要素であり、パワーマネージメント機能および充電分野で使用されています。

当社は、壁コンセント電源から送電器の送電コイルや共鳴装置への電力伝達、および受電コイルや共鳴装置から受電器のバッテリへの電力伝達を網羅したトータル・ソリューションとしてのパワーマネージメント機能を提供しています。

 

送電側で言うと、2W〜50W以上のパワー要件に対応したPMIC磁気共鳴ワイヤレス充電用の当社の高度な統合パワーマネージメント機能は、市販されている唯一のソリューションです。

このソリューションにより、送電側では、設計者に対して2チップ・ソリューションを提供しています(通信および制御用のPMIC&BLE IC)。

受電側では、システムのパワー要件に応じて、ワイヤレス充電器能を1つのSoCに統合しています。

出典:『ワイヤレス充電に関する Q&A』オン・セミコンダクター


ものづくりニュース編集部です。日本の製造業、ものづくりの活性化を目指し、日々がんばっています。