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ボトムアップ方式は経営改善の全てか?

ボトムアップ方式は経営改善の全てか?

海外の企業にセミナ-に招待されると、熱心に日本の手法の勉強がなされている企業を拝見します。

また時には、フィーバーに似たお話と共に「○○活動でこのような成果が出た!」というお話を聞くことがあり、このような企業では、小集団活動、TQM、TPM、5S、カイゼン、CI(ContinuousImprovement)、JIT……という手法が各社で取り入れられ、「ボトムアップでこのように企業が変わった!」というお話です。

 

日本における生産方式が高く評価されていることに有り難い感をもつわけですが、時々、このような手法が欧米やアジア諸国で取り入れた背景を日本企業の方々は正しく評価する必要があります。

その理由は、日本の事情とは多少異なる点、欧米やアジアでこれらのボトムアップ方式を取り入れた内容には次のような事情があるからです。

 

1)階級制度のなごりを改善したい

かつてはトップとスタッフが現場の管理を切り回してきた企業にこの例を見ることが多い状況です。過去、海外の多くの企業では、現場に働くものは上の指示で働くことが義務づけられてきた文化です。

奴隷制度のなごりとはまでは言いませんが、言われた内容を忠実に守ることが現場で働く作業者の責務だった風土が、もし、提案をすれば、その内容の是非はともかく、管理者やスタッフのやり方を中傷する扱いを恐れる実情です。

しかし、経営トップやスタッフの方々がボトムアップの提案を見ると、スタッフが逆立ちしても気づかない内容が提案されることに、多くの企業トップが始めて気づく、そうなると、従来の管理方式に反省が起き、日本式改善方式を重要視する例です。

2)離職率の低減をはかるため

海外においては定着率がレイオフと同じ位に常識的になっています。しかし、国内外を問わず「優秀な人は定着率をあげたい」という要求は同じです。

そこで、この対策にボトムアップの討論や改善の取り組みを行った結果、大きな効果があがると、小集団討論形式を重要視するわけです。

このようなニーズを持つ企業に日本の方が訪問すると、必ずといって良いほど、「企業への愛社心の醸成にボトムアップ方式が役立っている」と自慢話をされます。

3)経営への影響を考えて

「ボトムアップを行っている企業は儲かる。日本の企業は皆ボトムアップをやっているから儲かっている!」という話が、どこかの先生方や企業指導者からもたらされる例が多数あります。

そこで、成果があがった企業へ行くと、壁の周りにビラと写真、改善への標語と共に、お祭りさながらの表示がなされ、その企業のトップは顔を真っ赤にして、ボトムアップの効果を語る例です。

 

本当に効果があがっている内容より、企業の宣伝が主体と見た方が良いが、過剰な程にボトムアップの効果を強調される状況です。

日系企業の影響を受けた企業、過去、日本で小集団活動を手がけておられた方が経営トップ層に入って活動する企業にこの傾向は強いようです。

また、日系企業から注文を取るための手段にボトムアップを活用している例もあります。

4)日本では喰えない? コンサルタントのグロ-バル展開力を借りて

日本国内では、ボトムアップの手法は既に盛りを過ぎた状況です。

このため、かつて企業を指導してきた先生方も、営業規模が日本では低下の傾向です。

そこで、グロ-バル化の名のもと、海外への展開を考えた方が多くおられます。

 

この種の仕事をしてきた先生方は「海外展開にはエクセラントな事例が必要である」ということで宣伝します。

すると、今まで管理技術は導入していなかったが、いよいよ人件費問題が経営負担になりつつある企業や、製造技術や特徴ある製品で飯を喰ってきた企業が、経営的に力が落ちてきた時期を見て改善手法を探すわけです。

このような企業はぬれ雑巾ザバザバといった状況で改善の種が転がっています。

 

丁度かつて、日本の一部に見られた、中小のメ-カ-が管理手法を導入した内容と同じ条件ですが、そこへ日本では古くなった改善手法を投入すると、革命的という迄の効果が出るわけです。

また、このような内容を現地企業が宣伝すると、関連地区企業は手法導入に大きな興味を持ち、これが、雪だるま式にある地区で広まり有名になるケースです。

その結果、その地区では「新手法導入!」ということでフィーバー状態になるわけです。

5)トップの交代が早いので早く効果をあげたい

一般論ですが、「欧米のトップの人気は短い」「ヘッドハンタ-制度もある」「時のトップは自分の任期中に成果をあげなければ、地位を剥奪される」という話しがあります。

ここで、短期交代した経営トップ全てが改善に堪能である人ばかりではないわけです。

そのような状況では、他社で、自分の考えと合ったような改善手法があり、効果があがっているのを聞くと、即、導入の行動となるケースです。

 

短期決戦が条件です。

また、できるだけ見栄えがする方式が良いわけです。

そうなると、ボトムアップ方式は金がかからず、見栄えは抜群という要素を多数持っています。

 

スタッフを駆使しても出てこない泥臭いが有効なアイデアや、ボランティアによる改善には、金が掛からず、従業員満足も得られること、人の改善意欲と顧客満足志向の徹底が図れる効果は金に変えがたい内容という局面を持つ小集団活動は、この対策にうってつけと、短期で活動する経営トップは考えるわけです。

このため、勢い、自分の名をあげるため、この種の手法の導入を派手に行うわけです。

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以上の内容の一部は日本で培ってきた小集団活動の内容の一部を現地事情に合わせて活用した例です。

国とニ-ズが違っても、いくつかの要素が現地で適用可能な内容が多いため広まった例ですが、日本との条件や扱いの違いは見逃すべきではないと考えます。

そこで、このような条件を知りつつ活動したK氏談から、品質改善に対するテーマを中心に、海外で行ったボトムアップ方式に対する指導内容を紹介することにします。

 

なお、要点はボトムアップ一辺倒では限界をきたす! というのが論点です。

反面教師とは言いませんが、海外で仕事をされる方々や、この面で、国内で企業体質改善に当たられている方々の参考になれば幸いです。

 

「当社ではボトムアップ方式を入れてから企業が大きく発展しました」

「それは良いですね!」

「日本ではボトムアップはいかがですか?」

 

「そう、日本では1970年代は確かにフィーバー状況でした」

「今はいかがですか?」

 

「今は定着し、沈静化しています。このために、多くの企業では昔のように毎月2時間程度の時間を設けて、小集団活動を集中的に行う企業は少なくなりました。

人も少なくなり、生産も多忙、そのような条件もあって時間が取れないためです。今、考えると、昔の小集団活動は、今の時代を想定した練習だったかもしれません。

生産しながら、少しの時間を利用して改善をスピーディーに進める企業が多い状況です。

 

でも、発表会の内容を見ると、業務と一体化した内容が各所で発表され、質はどんどんとあがっているように思います。

私も企業にいた頃は小集団活動の指導を担当してきました。しかし、私の指導は経営側からテ-マを出し、小集団活動は自由にやってもらう方式でした。

グル-プをつくり、テ-マを自主的に考え、改善を進める方式とはだいぶちがっていたように思います。でも、他社や他職場ではそのような方式でも効果をあげていたようですよ!」

 

「やはり、日本は進んでいますね!我々は30年ほど日本から遅れているように思います」

「そうですか? そうでもないように思いますよ。現場に出ていた改善の内容を見せていただくと、日本とは差がないように思いましたが……」

「いや、まだまだです」

 

「貴社はどこでこのように素晴らしい改善方法を習われましたか?」

「日本のS先生のご指導です。ご存じですかS先生?」

 

「いや、JMAだけでも500名以上の指導者がいますが、ほとんど名を知りません。また、S先生はJMAグループの先生ではないようですね。

世の中で有名な方は別ですが、それ以外は、仕事で会うことも、話をする機会もありませんので、申し訳ありませんが、そのS先生は存知あげません」

 

「そう、確かにS先生はJMA所属ではありません。C社というこちらの会社の方です。

聞くところによると、有名な自動車会社を退職されコンサルタントとしてこちらにこられたそうです。書か何か発行されていますか?」

 

「いえ、ノウハウは書に書けない。だから、直接指導するということでした」

「では、なぜ? 私に今回の改善指導を頼まれたのですか?」

 

「それにはわけがあります。実は、現場の改善はこのように活性化しているのですが、改善効果をまとめると、何と、経営に対して1%にもならないのです。

日本ではボトムアップ効果が出ていると言うのに、なぜ? わが社ではそのような効果が出ないのでしょうか?

それをお聞きしようと思って、我が社にご訪問願ったわけですが、もう、5年もボトムアップ改善方式を続けています。

 

最初の年は放っておいても、面白い位に効果が出ました。

以降、改善活動は活発になるのですが、このところ改善効果が落ちてくる一方です。

S先生によると、『本物になるのに数年は掛かります』というご指導でしたが、このままでは、やがて、この活動の是非が経営上の問題になります」

 

「そうですか? 種が尽きたわけですね!」

「ハイ! 私にはそう思えます。S先生はもっと時間を掛け、真剣にやれ! と小集団の意義とムダの見方を指導する研修を企画したり、他社見学のアレンジなどを計画されているようです。

S先生には内緒ですが、それで効果があがるのでしょうか?」

 

「申し分けない。私にはわかりません。冷たいようですが、S先生に詳しくお聞きになることが懸命であるように思います。

ただ、一つ助言ですが、S先生に経営分析をお願いされてはいかがでしょうか?

私達の方法は経営分析のデ-タと共に、貴社の改善の要点がどこにあり、小集団のテ-マをどのようにつなげて、どのようにやれば効果につながるか? という解析です」

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「その後、S先生が計画しておられる作戦に経営目標を定めて行動されてはいかがでしょうか?」

「なるほど、それなら、素人目にも改善の内容と経営効果の結びつきがわかりますね?」

「そうです。トップダウンとボトムアップの結びつきです。トップは予算を持っていますよね?」

 

「ハイ、厳しい内容です。我々は、その達成がタスクであり、給与に関係します」

「そのような内容に対して、提案や小集団活動のテ-マがどのように、どこに関係していますか?」

「いや、ただ一生懸命やっていれば、効果につながると思ってやっていました」

 

「それでは、だめです。一般に、小集団を組むと、やさしいテ-マをやります。導入期はそれでも良いわけです。効果も出ます。しかし、改善の方向はバラバラのはずです」

「その通りです。K先生に見透かされているみたいですね、われわれの活動を!」

「そのようなノウハウを私は持ち合わせていません。自分の企業における経験からお話しているわけです」

 

「そうですか!」

「ハイ、このような例がありました。ある企業でTQC研修を進めた時のことでした。全社で最もQCに詳しい方が研修を担当したわけです。

その方が研修を担当していた時のことでした。初年度は効果が出ました。

発表会が盛んに行われました。その当時、私は、その研修には関係していませんでした。

 

その社のトップは大喜びでした。そこで、更に研修を広げるように指示したわけです。

しかし、品質意識と活動、発表会のテクニックは腕をあげたのですが、効果は落ちる一方でした。しかも、事前検討で防げるはずの簡単なミスが再発するわけでした。

トップは『QC研修の指導者が悪いのか? 内容が悪いのか? それとも、受けた受講性の理解・実施程度が悪いのか? を調べて欲しい!』と、私に要請してきたわけでした。

 

このトップの方の行動は素晴らしいと私は思いました。私はまず、研修の内容を見ました。担当者を責めるつもりはありませんでした。

どこの企業でも同じ様にQC研修がなされていて、内容にそれ程の差異はないことは、既に判っていたからでした。

そこで、私は、システムそのものに疑問を感じたから調査をお受けしたわけでした。

 

第一、担当者には内緒でも、その方の批判は失礼ですから! 調査の結果ですが、問題は3点ありました。

第1点目は品質改善の7つ道具は結果をまとめる内容であることが判った点です。

下の図に示したように、デ-タという結果をまとめてから、統計処理して傾向を見る方式ですが、この方式は1980年代末に欧米から否定されました。

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その理由は、火事を起こしてから火消しをする内容であり、火事を出さない予防が勝るわけです。

当然、問題が発生していることは現場におられる方々は知っています。それをまとめてから、行動する方式は問題です。

問題の発生を認める統計手法利用は世界に存在すべきではないのですが、一部の日本企業ではやっていたわけです。

 

効果があがったのは、デ-タを纏める前に問題となる原因を現場の方々がつかんでいたからです。

ですから、『3日で改善、資料づくりに2ヶ月』という奇妙な活動になるわけですが、この種のことを中間管理者が現場に強要していたことが問題だったわけです。

事実、現場関係者に本音を聞くと『わかっていたが会社のイベントなので……』ということでした。

 

第2点目は3現主義と7つ道具の活用が何も関係づけされていなかった点です。

要は、不良を認める手法を勉強したわけですから、下の図に示したT社のJITにおける発生時点にラインを作業者が止め、問題発生時点に現場で対策するストップひもの考えも、新郷先生が打ち出したポカヨケの考えもそこにはなかったわけでした。

研修を受けた生徒さん方は、研修で教えられたQCのセンスを駆使すれば良かったわけでしたが、それはやらず、丁度、自動車教習所で初心者が取る行動を、プロの免許取得者が現場で行っていただけでした。

 

研修をやればやる程、基本をやる。

したがって、簡単に効果が出るものでも時間をかけて効果を出すようになったわけでした。

つまり効果は少なくなっていった状況です。

 

本来、問題解決というものは、基本の応用でなければ題は解けないのに、その活動も少なくなっていた状況でした。

碁でもチェスでもそうですね? 定石を知っているのは基本。しかし、定石では勝負に勝てないわけです。

このようになった原因は、第3番目の内容が関係していました。

 

この企業を指導する先生が、7つ道具を現場で活用して次々と問題を解く行動を取っていなかった(お手本を示す行動を取っていなかった)点です。

要は、畳の上で水泳を教えるだけ、畳の上で泳ぐ教育を行い、生徒も満足していたわけでした。

これは、剣道の先生の心得ですが、先生のランクは次のようになるそうです。

 

▼JITにおけるストップひもシステム
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  • 凡庸な教師はよく喋る
  • 良い教師は説得する
  • 優れた教師は示す
  • 偉大な教師は火をつける
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私が、このような基準を使って、今回、先の指導法を評価して行った結果、品質改善のプログラムに次のような欠陥があることがわかりました。

品質改善の研修をする。実態は研修で習ったことは何も使っていない。

しかし、発表会で皆がデ-タを整理するのに7つ道具を使っている。

 

トップの方はその問題に気づかない。このため、実際の不良対策は別の方法で対策されているのに、効果があがる手法を使っている! と信じてしまったわけでした。

表をご覧下さい。データ解析と討論や会議だけでは不良撲滅ができない注意です。この問題は、トップ自身にはご経験がない内容だと思います。

不良撲滅の方法に見た目、何も問題が無いように見えるからです。

 

ましてや、多忙な企業トップの方々が、ご自身から現場に出て解析するという行動、すなわち、中身に立ち入るハズも立場でもないわけでした。

したがって、悪意はないが、不良改善活動をストップさせていたわけです。

当時、この報告をしても、この企業の方々は、最初、ポカンとしていたし、私の言を誰も信じませんでした。

 

ところが、幸いなことに、新郷先生とJITの成果を示した各社の“工程で品質を造り込め!”“問題は3現主義、発生時点で捕らえよ!”“死亡診断書をつくるな!”という内容が、実践事例と共に持っておられたので、その対策の要点と、新郷先生のポカヨケの書の中から『死亡診断対策の禁止』という内容を見せました。

すると、皆さんの顔色が変わってきました。想像ですが、皆様は、そこまでは読んでいなかったようです。

JIT対策は全て現場主義です。現場で事実を見ながら対策する方法です。

 

部屋に集まり、想定原因をあげて大きなビラに項目を書くより、現場、現物で問題の要因を探り、現場で手を打つ対策の方がはるかに効果的です。

まず、このような取り組みが出発点です。しかし、ある企業でこの変革を行った時、かつての教育のクセを取るのには大変な時間が掛かってしまいました。

机上での説明、現場へ行っても、ビラによる説明よりも、現象を発生する設備や人の手順を細かくみる(観る。看る。監る)ことに重点を置くべきです。そうしないと、説明する程度のどうでも良い教師に止まってしまうからです」

 

「そうですか? そう言えば、S先生は現場へほとんど行くことはありません。行ってもビラを見て話を聞く程度です」

「なるほど、では、私がやっているように、事例を基にもう少し会社に残ってもらってお手本を作っていただいてはいかがでしょうか?」

「しかし、S先生は私と違います。したがって、そのような手間のかかることはしないで問題を解く方法をご存じかも知れませんので、私が「やれ!」と言った、などとは決しておっしゃらないで下さい」

 

「当然です。私が貴方に相談をかけていること事態話してはいけない秘密と考えている位ですから……」

「そのお話をお聞きして安心しました。さらに、話を続けたいと思います。

今のQCのお話は、経営課題の一つの例です。

同じ話は生産性向上対策のIEについても、また、納期短縮をテ-マとするJITにも、5Sにもあります。

 

要は、論理が先行して、形が走り、本質が何だかわからないまま行動してしまい、手法の完成に努力するわりには効果が出ない現象です。

その最大の内容が、トップダウンがないままで、ボトムアップの改善に頼る現象です。

JMAではトップダウンとボトムアップの結びつきにTP展開図を活用しています。

 

この図を使って1件づつ不良ゼロ対策を図った例を示すので、ご参考ください。企業には多くの課題がありますが、その中で、重要課題を決めてトップが示すことが重要です。

そして、目標値と貢献値を示した上で施策をボトムアップで求める方式です。

一般に、現場から出てくる提案やテ-マを個々に見ていくと、1件1件は実に良い内容です。

 

しかし、今、会社がやらなければならない重要課題と直接的に関係しているのでしょうか?

また、ボトブアップで提案されてくる案以外に、もっと効果のある案を請求すべきでは無い場合はどのようにそのテ-マを評価するのでしょうか?

企業は限られた時間と資源で目標を達成してゆかなければなりませんから、アイデアは貯金箱に入れておくことにして、丁度、貯金箱をダムとすると、方針に従って、目標達成に必要な内容だけを蛇口から抽出することが必要ではないかと思います。

 

このようにしてトップの要求とボトムアップで提案されたものを結びつける活動は、単に、ボトムアップで活動する場合とは大きな差が出ます。

 

▼A社における不良対策? 管理グラフと改善後の取り組み結果
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次の例ですが、これは改善を総合的に取り組んだ例です。

なお、ある企業で自由放任式の小集団活動とトップ指導による経営直結型小集団活動(一種の予算直結型プロジェクト形態の改善活動)の比較を実験的に行った内容です。

まるで、人体実験のような内容なのでデ-タは全く公開されていませんが。

 

4万人規模の大企業、N社で大勢が働く、同じ人員、同じライン構成の職場で4,000人を対象に次のような実験がなされました。

 

A:ボトムアップだけで自由に改善を進める方式

B:トップの目標を明確化した上でボトムアップの提案を受ける方式

 

当然のことですが、今期の目標に関与しないテ-マは貯金箱に残しました。不足の部分は、目標達成までのアイデアを皆から求めました。

また、そのようにして選ばれたテ-マは達成に最も適任と思われる人を募集、選出して全員にテ-マを割り付け、時には、職制や職場に関係なく、チームを編成して対処してもらいました。

 

A方式は極めて活発に小集団活動が行われたそうです。

活動はワイワイ、ガヤガヤ、時にはボランティアの活動もあり、大変に活発だったそうです。

B方式も似た活動内容でした。

 

活動上の差異はなかったかに見えました。しかし、結果は大きく違っていました。

品質・生産性・納期すべての内容を総合指標として比較したわけですが、A方式はたった3%の改善結果に対して、B方式は経営目標に定めた20%達成を見事にしていたからです。

もし、この実験内容を従業員の方々に紹介したら、パニックになると思います。

 

しかし、この数字は事実です。他にも、同種の実験をした企業が数社あります。

当然のことですが、企業名もデ-タも極秘です。

でも、事実ですから、この内容を信じてください。

 

「私はKさんのお話を信じます。そうですか? ボトムアップ万能論を信じていましたが、言われてみれば当たり前ですね。

皆には力がある。一生懸命やる。しかし、チームとして勝てない。

その内容はサッカーやラグビーのチームが勝利する内容に似ています。作戦に従って、力を発揮するか否か? ですね」

 

「さすが、良いたとえを話されますね」

「なぜ、そのような簡単なことに今までわが社は気がつかなかったのであるろうか?」

 

「多分、S先生の説明と他社の事例をお聞きになって、努力が足りない! もっと研修を受けなければ、と思われたせいかもしれませんね!

S先生が極秘技を教えてくれるまで頑張らなければ、と思われたのではないでしょうか?」

 

「そう思います。あれ? さっきの品質改善の話と同じですね、これは!」

「そのようになるようですね! でも、御社はボトムアップの形態がシッカリできておられます。あとは、トップダウンの目標を従業員の方々に上手に示される点を補強されるだけで、大きな進展が期待できるのではないでしょうか?」

 

……というわけで、今までの方法を大きく変えて不良対策に当たってから4ヶ月、見事、過去発生していた不良はゼロとなりました」という指導内容です。

 

コメント

不良対策は物理現象です。原因を除去しなければ、当然、再発します。

全員が知恵を集め、わいわいがやがやと行う会議より、3現主義:現場へ出て、現物・現象をみて、現地で対策することが重要です。

 

ISO9000の8大原則の7番目に「事実に基づく意志決定」が記載され、不良の原因除去を進めることを基本にすべき行動様式が出ていますが、この実践が第一歩です。

ましてや、ISO9001:1994にあった「統計の扱いの明確化要求」とは、「統計は、問題が起きた内容を1件づつ集めるべきではない」という注意であり、「問題が起きなければ統計不要の品質マネジメント・システムになることを意味する」わけです。

本来、統計は事前検討に使うべきツールです。

 

要は「新製品開発段階から不良を出さない証明を図る」ということが基本なのですが、不良が出るのを待って対策する。

わいわいがやがやと不良統計を基に討論する……といった方式は世界に存在すべきではないのに、誰かが教えて日本に広まっています。

この種の会議は事実に基づかないので、“怪疑”という文字を使うべきと筆者は教えられました。

 

皆様にも、下の図を参考に、問題を現場、現物で事実でとらえる。

問題発生予備軍であるヒヤット段階で問題をとらえ防止する、という活動をお願い致します。要は、「火のないところに煙は立たぬ!」という下図を利用され、原因除去をお願いしたいわけです。

 

▼3現主義に使うべき“みる”という行動様式
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加えて、わいわいガヤガヤ式を推奨する改善活動と、経営課題を直結して進める方式の差は大きく、この対策には下に示したような考えでボトムアップテーマとトップダウン課題を融合して示すことをお勧めします。

要は、国内外に関係なく、「テーマ先にありき」の改善と「事実に基づき現場、現物で行う」改善が改善の基本であり、後はウエイトづけと経営との関連明確化がマネジメントの基本となるからです。

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昭和45年から平成2年まで、日立金属㈱にて、全社CIM構築、各工場レイアウト新設・改善プロジェクトリーダー、新製品開発パテントMAP手法開発に従事。うち3年は米国AAP St-Mary社に赴任する。平成2年、一般社団法人日本能率協会専任講師、TP賞審査委員を担当を歴任する。(有)QCD革新研究所を開設して活動(2016年有限会社はクローズ、業務はそのままQCD革新研究所へ移行)。 http://www.qcd.jp/