ソフトバンク、AIとRANを統合した低遅延ソリューション「AITRAS」を発表
この記事の内容をまとめると…
- ソフトバンクがAIとRANの統合ソリューション「AITRAS」を発表
- 低遅延かつ高品質な通信を実現するAI-RAN実証実験を実施
- 自動運転やLLMロボットのデモを通じてAITRASの実用性を検証
AIとRANの統合ソリューション「AITRAS(アイトラス)」を発表したソフトバンク株式会社は、同ソリューションによって低遅延で高度な処理を可能にするAI-RANの実証実験を慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパスで行った。実証では100台同時の動画再生、LLMロボット、自動運転技術などのデモを通じて、その通信性能とAIの活用力を示した。
AITRAS詳細
AITRASは、AIアプリケーションと無線アクセスネットワーク(RAN)を同一のNVIDIAアクセラレーテッドコンピューティングプラットフォーム上で統合し、エッジAIによって大規模なAI処理を低遅延で提供する統合ソリューションである。
同ソリューションは、単一基地局ごとの最適化ではなく、エリア全体をAIが俯瞰的にとらえ、基地局間の干渉を自動で調整することで通信品質の向上を図る。これにより、都市部における高トラフィック環境下でも、安定した通信の提供が可能になる。
また、AITRASは低遅延処理に優れ、基地局付近に構築されたGPUインフラを通じて、AIの処理遅延を数十ミリ秒に抑える。この特性を活かし、即時性が求められるAIアプリケーションへの適用も期待されている。
SFCに設けられた実証実験エリアでは、通信アンテナを都市部想定の間隔で設置し、NVIDIA GH200を搭載したサーバーがAIとRANの処理を担っている。AITRAS内のオーケストレーターにより、各サーバーは通信やAI処理の需要に応じて役割を動的に切り替えることが可能である。
どのように活用する?
AITRASを活用したデモンストレーションでは、以下のような事例が披露された。
- 高干渉エリアでの100台端末による動画同時再生において、パケ詰まりのない高品質通信を実現
- LLM(Large Language Models)を活用した四足歩行ロボットによる不審者の追跡では、0.1秒で制御情報を出力可能な処理性能を確認
- 交通理解マルチモーダルAIによる自動運転デモでは、死角の歩行者を想定したリスク予測と一時停止などの対応を実演
AITRASによってソフトバンクのネットワーク構築を刷新する取り組みが進行しており、将来的には高周波数帯域から低周波数帯域まで段階的な導入が予定されている。海外への展開についても言及があり、国内実証を通じた有用性の証明と、輸出モデルとしての展開を目指している。