シンギュラリティーを機会とする

シンギュラリティーを機会とする

IoTデバイスは自社に無関係だと考えていませんか?

1.技術的シンギュラリティー

技術的シンギュラリティーという言葉があります。

技術的特異点。

米国シンギュラリティー大学上級フェローのジョナサン・ノウルズ氏は次のように説明しています。

シンギュラリティー(技術的特異点)とは物理学の世界で「次に何が起こるのかわからない」という文脈で使った概念だ。

テクノロジーの進歩が加速し、理解可能だった世界に代わり、不可解で複雑な世界がやってくる。

シンギュラリティーはいつか。

言えることは「明日は今日とは違う」。

その方向に進んでいることは間違いなく、スピードは日々加速している。

自動運転の技術が現実のものになり、1999年に27億ドルかかった遺伝子解析は原愛えは100ドルだ。

人工知能(AI)は97年にチェスのプロに勝利すると、直近ではさらに複雑で難しい囲碁の王者に勝利した。

レンブラントの絵画の技法を解析したAIがレンブラント風の絵を描いたり、音楽を作曲したりする。

論理をつかさどる左脳の役割を代替してきたコンピュータ処理は、創造性をつかさどる右脳側にも入ってこようとしている。

テクロロジーの進化は直線的ではなく指数関数的だ。

一方、大昔から人間の脳の働きは直線的だ。

(出典:日本経済新聞2018年6月25日)

最近では、AIの将来を語るのに、しばしば、このシンギュラリティーという表現が使われているようですね。

 

AI(人工知能)の能力が人間の知能を超えること。

 

AIの能力が人間の能力を上回る時代、つまりシンギュラリティーがくると予言され、それは2045年頃だとされています。

私達は、ノウルズ氏が指数関数的に進化すると指摘しているテクノロジーの世界で戦っていることを改めて思い出したいです。

日々の生産活動に追われ、焦点が“納期”にのみ当たっている現場であっても事情は変わりません。

会社の規模の如何にかかわらず、製造業は“技術”で飯を食っています。

 

ですから、競合他社、業界の技術動向には目を光らせていないとならないのです。

旧態依然の仕事のやり方に安住し、気が付いたら取り残されていた……。

こうした事態は絶対に避けなければなりません。

その意味で、ノウルズ氏の説明は示唆的です。

技術の進化は指数関数的であるという説明を、自社に置き換えて理解する必要があります。

自社の思い込みで良かれと考えているスピードでは、競合や業界に後れを取る懸念があるのです。

2.指数関数的進化

ノウルズ氏は、指数関数的進化のスピード感を次のような問いかけで説明しています。

人の1歩は約1m。

人は自らの努力で30歩進んだら30mだけ先へ進む。

一方、1歩ごとに2倍になる進化を遂げてから、30歩進むとする。

つまり、1歩目は1歩、2歩目は2歩、3歩目は4歩、4歩目は8歩……。

このようにして進むと30歩目ではどこまで行くか?

というのが、ノウルズ氏の問いかけです。

どこまで進むか、想像がつきますか?

 

答えは……、地球26周分です。

30歩目は2の30乗mとなります。

 

電卓で2×2×……と30回キーを叩いてみて下さい。

10億mに達します。

尻上がりでドンドン増える状況を感覚的に理解できるのではないでしょうか。

 

インダストリー4.0といわれるモノづくりでの革命が、まさにこの勢いで、今後進むことに留意したいです。

3.シンギュラリティーがやってくる

現場や設備に設置されている各種センサー、いわゆるIoTデバイスは2015年時点、世界に150億個あると言われています。

これが、今後、10年で、つまり2025年時点で、5倍に増えるとも予想されています。

3割増しとか5割増しという水準ではありません。

5倍です。

こうなると、これはもうトレンドと捉える必要がありそうです。

 

製造現場に身を置く立場では、AIの進化を表現したシンギュラリティーを、いまいち、実感を伴って理解することができないかもしれませんが。

現場で多様なセンシング技術を導入して予知保全体制や高生産性体制を築く、と考えれば、少しは身近に感じられるのではないでしょうか?

 

製造現場のシンギュラリティーがIOTの活用で引き起こされる……。

ただ、IoTのイメージがまだまだ曖昧模糊としていて、なんとなく重要な技術であることは理解できるけど、具体的には何かよくわからんというところでしょう。

革新的な道具というのは出始めはそんなものです。

 

ここで、スマートフォンを思い浮かべて下さい。

若手のみならず、経営者の皆さんもスマホはもう仕事上、手放せないという方々が多いのではないでしょうか?

仕事の関係で移動することが多い伊藤も同じです。

今やプライベートでも、仕事上でも、手放せなくなったスマホですが、製品が世に出てきた当時はどうだったでしょうか?

ご存知のように、国内でスマホが広く認知され、使われ始めたのはアップル社のiphoneがきっかけだったと言われています。

タッチパネル式の携帯電話という感じで登場でしましたが、当時の評判は必ずしも芳しいものではなかったようです。

2007年、今から10年ほど前のことですね。

 

好奇心旺盛な方なら、さっそく使ってみた、となりますが、多くの人は”様子見”からだったのではないでしょか?

それが、今や国内普及率が80%に迫る勢いです。

ちなみに総務省の統計によれば、

スマホの国内普及率は2010年からデータ集計されています。

2010年  9.7%

2011年 29.3%

2012年 49.5%

2013年 62.6%

2014年 64.2%

2015年 72.0%

2010年に約10%だったのが、5年後の2015年には7倍の70%へ急激に増えています。

“爆発的普及”です。

(出典:総務省 通信利用動向調査)

 

革新的な道具というのは、市場へ出たばかりの頃、“?”から始まり、“これは便利だ”となると一気に普及する……。

 

スマホ普及のプロセスはそんなことを語っています。

そして、IoTデバイスセンサーの今後の数量予測の増加の仕方は、まさにスマホのそれと相似形です。

 

IoTは、現時点で、“?”であっても、便利さが認知されると、一気に普及するポテンシャルがあるのではないでしょうか。

IoTによる製造業でのシンギュラリティーがやってきそうです。

そうしたことを見通して、私達は現場で準備を進める必要があります。

4.IOTデバイスの現場導入を先駆けて検討する

リードタイムを短縮し、生産性を高めるのが、生産現場が生き残るための課題です。

だから、私たちは、これらを実現させる”道具”として、IoTを現場へ導入し、使いこなすことを目指します。

技術進化のお陰で、安価で高性能な道具を手にできる時代にもなりました。

 

何のために“道具”を使うのか、その目的を今からしっかり考えておく必要があります。

“その時”になって、即、行動へ移すためです。

 

セミナーなどで申し上げていますが、積極的な社長はもう、始めています。

ご支援中の現場でも、すでに導入して、活用しているところもあります。

 

スマホと同様な普及が予測されるIoTデバイスの現場へ導入の仕方を、今から考えてみましょう。

競合や業界に先駆け、今から、自社独自の活用の仕方を考え、強みの強化を図ります。

技術の進化は指数関数的であることを忘れず、先手、先手でコア技術の深耕と強化に取り組み、モノづくり力を高め、確固たる経営基盤を構築するのです。

 

シンギュラリティーを、脅威ではなく、機会として下さい。

競合や業界に先駆けて検討すれば、導入して失敗を経験することも含め、先行者としてのノウハウを手にできます。

ただし、そのためには、現場での事前準備が必要であることも忘れてはなりません。

リードタイム短縮、生産性向上を目的としたIOTの現場導入の仕方を考えませんか?

 

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製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)