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カイゼンで絶対に必要な標準化が注目する3つの項目

カイゼンで絶対に必要な標準化が注目する3つの項目

標準化で注目するのは作業時間、作業の流れ、仕掛品の3つである、という話です。

標準化すべき項目はハッキリしていますか?

サイクルタイム、作業順序、標準手待ちの3つを見える化します。

 

サイクルタイムは生産計画のために、

作業手順は問題対策のために、

標準手待ちは全体最適のために、

 

それぞれ必要です。

見える化した標準は、管理のために、現場でドンドン使います。

1.標準化は生産計画の精度を上げるために必要である

販売計画は、会社に利益をもたらす機会の計画です。

そして、販売計画の裏付けになっているのが、需要予測です。

お客様が見えているか、見えていないかの違いはありますが、見込生産でも受注生産でも、予測された需要を基に販売計画を立てます。

 

多くの経営者の方はこの販売計画を自ら検討されています。

会社にとっては販売こそがお金を手にすることができる唯一の機会であると考えているからです。

需要予測の精度が低いと、当然、販売計画の精度も低くなります。

 

したがって、需要予測の精度を上げる工夫を重ねる必要があります。

一方、工場運営にとっては生産計画が生産活動のキッカケです。

ですから、販売計画と同様、精度が高い生産計画を立てることに知恵を絞ります。

 

トヨタではジャストインタイムを維持するため製販上げて必死になって生産計画の精度向上を図っています。

生産計画の精度を上げることは、もうかり続ける工場経営で欠かせません。

では、生産計画の裏付けになっているのは何でしょう?

 

販売計画にとっての「需要予測」に相当するモノです。

それは、工場の「生産能力」です。

生産計画の裏付けになっているのは生産能力です。

 

この設備は1時間に○○個の加工ができる。

このラインは1日に○○個の塗装ができる。

この工場はひと月に○○台の製品を組み立てられる。

 

こうした数値情報に基づいて立てられるのが、生産計画です。

販売計画において需要予測の精度を高めねばならないのと同様に、生産計画においては生産能力評価の精度を向上させる必要があります。

そして、生産能力評価の精度を高めるために絶対に必要なのが標準化です。

 

またまた、標準化が出てきました。

標準作業、標準時間から生産能力を評価します。

精度の高い標準時間があって、初めて精度の高い生産計画が立てられます。当然と言えば当然です。

 

ですから、こうした標準が無い現場での生産計画は、過去の実績を基にした「どんぶり勘定」計画になります。

現場が知恵を絞って生産リードタイムを短縮しても、その頑張りを上司は評価できません。

と言うか、そもそも基準が無いので、頑張ったこと自体に気が付きません。

 

そのような現場は、納期さえ守っていればイイわけですから。

現場の頑張りが報われない、残念な工場になってしまいます。

標準化(standardization)は生産活動の柱です。

 

標準化なしでは、多品種を求める市場相手に事業は継続できません。

現場のやる気が引き出されないからです。

2.標準化で管理すべき3つのコト

標準化の話は工場運営の中で頻繁に出てきます。

工場運営業務のほとんどは「管理」です。

生産管理、原価管理、品質管理、労務管理……。

 

そして「管理」は現状と基準を比較するところから始まります。

現状が基準より劣っていないかを判断するためです。

劣っていたら、さっそく手を打って基準に戻すことを実行します。

 

これが管理です。

ですから基準に相当するモノがなければ「管理」はあり得ません。

その基準に相当するものが標準です。

 

『KAIZEN』の著者である今井正明氏が断言している言葉を再掲します。

標準のないところにカイゼンはない

いかなるカイゼンも、その出発点は、現在の立脚点である。

あらゆる作業者、あらゆる機械、あらゆる工程に適用される正確な測定基準が必要である。

 

現場の生産活動を「見える化」します。

現場の暗黙知を形式知へ変換するとも表現されます。

ですから、標準とは「現時点でそうありたい姿」と解釈できます。

 

そして、通常3つの項目で構成されます。

 

(1)サイクル・タイム
(2)作業順序
(3)標準手持ち

 

これは「トヨタ生産方式」の著者大野耐一氏〔元トヨタ自動車工業(株)副社長〕が同著の中で説明していることです。

シンプルでわかり易いです。この3つは、業種、業態にかかわらず、管理すべき事項です。

問題が発生する前に、変化に気付くべき項目です。

 

2-1.サイクルタイム

ここで設定されたサイクルタイムが標準時間であり、生産計画の裏付けです。

生産形態によって注目点は異なります。

製品別レイアウトで一貫ラインのような生産形態では、その生産ラインタクト内に入るように標準時間を決め、管理します。

 

各工程が同期していて、ライン全体の生産タクトが決まっている場合、その工程のサイクルタイムは早すぎても、遅すぎてもダメ。

生産ラインタクトに合わせた仕事量を設定し、維持するよう管理します。

機能別レイアウトのような生産形態では、常にボトルネック工程のサイクルタイムを監視し、工場全体での生産性を落とさないようにします。

 

このボトルネック工程のサイクルタイムを短縮することが工場全体の生産量を増やすことに直結します。

ボトルネック工程のサイクルタイムを短縮するカイゼン意識を持ち続けます。

 

2-2.作業順序

不良品が発生した、品質クレームが起きた、納期が遅れた。

生産活動に起因したトラブルへ、淡々と対応するためには何が必要でしょうか?

現時点で最も効率的で良いと考えている仕事のやり方、仕事の流れです。

 

それを見える化した文書です。

トラブルが発生した時に、比較するための判断基準です。

ところで、自社の工場内で上記のようなトラブルが発生した時、現場の管理者はどうしていますか。

 

まず、引っ張り出すのは対象業務の標準作業書であり作業マニュアルです。

決して対象業務を担当していた現場作業者ではありません。

トラブルの原因は、仕事の仕方であって、人ではありません。

 

トラブルの発生を未然に防ぐことができなかった仕組みが悪かった。

焦点はそこへ当てます。

ですから、トラブルが発生したら、まず対象業務の標準作業、作業順序を確認して、“今”を把握します。

問題になりそうなことはなかったかということを整理してから、現場リーダーや各工程のキーマンとのやりとりを始めます。

 

現時点で最も効率的で良いと考えている仕事のやり方、仕事の流れでも問題が発生したのです。

管理の仕方が悪かったのか?

あるいは何か以前と比べて変化したことがあったのか?

 

このような標準作業等との比較判断にしたがって問題を解決する姿勢を促します。

責めるのは従来の標準作業であり、仕組みです。

現場の作業者ではありません。

 

作業者はその標準作業や仕組みに従って仕事をしているだけです。

作業者を個別に責めても現場へは何も蓄積されません。

自社工場に蓄積されていく経営資源は、あくまで標準作業であり、仕組みの方です。

 

このあたり、大きな心得違いをしている方がたまに見受けられます。

したがって、現場に標準作業が設定されていない場合、現場を責めるのは論外です。

問題(トラブル)は仕組みを通じて未然に防ぐものですから。

 

2-3.標準手待ち

作業手順に従って作業をするために必要な工程内、および工程間の仕掛品の数です。

中間仕掛を限りなくゼロにしたいです。

ただ現実的には、それはムリです。

 

ですから、限りなく最小化の状態を維持するよう管理します。

大規模な生産ラインでは、中間仕掛品の数は生産計画の中でもしっかりと決められ管理されています。

なにせ規模が大きいです。

 

仕掛品が無管理状態になると、製品の流れが目に見えて悪化します。

その結果、付加価値とは無関係ない作業が増えます。

滞りない効率よい生産活動を継続するために標準手待ちの重要性は高まります。

 

しかしながら中小工場で仕掛管理をやっている現場は少ないと感じます。

生産量も品種数量も、そこそこの規模なので、中間仕掛品で混乱する事態に陥る場面はそれほど多くないというのが現状と推測されます。

ですが、工場のスマート化を目指すならば、今から仕掛管理を意識します。

 

中間仕掛品の管理ができる現場は、目線も意識も高いです。

部分最適に加えて、全体最適の視点も持ち合わせているからです。

スマート化など、次のステップへ上昇するポテンシャルがあります。

3.標準化を見える化して使い倒す

標準化は管理の基本です。

測定基準であり、判断基準です。

床の間に飾っておくものではなく、使ってなんぼのものです。

 

体裁はどんなでもイイです。

整備した標準作業票は管理のために使い倒します。

様式を決め、先の3項目を柱に、現場の作業のキモを示した文書を、まず1枚作ります。

 

標準化を見える化します。

そして、それを基にして「管理」を始めます。

「管理」はこうして始まります。

 

ところで、機械加工を主業とする現場の管理者をやっていた時のことです。

ある時、品質クレームが発生しました。

現場に作業マニュアル(標準作業票)を出してくるように指示したら、そのような文書はない、との話。

 

業務を引き継いだとき、それまでの管理者から作成済ダヨ、と聞いていたので探してみると……ありました。

棚の上段にファイルされて立て掛けられていました。

現場の実態を踏まえた文書が整備されていました。

 

素晴らしい標準作業書が準備されていたのに、現場では活用されていなかった……。

確認してみると、品質マネジメントシステムISO9001(当時は2008年版)に対応するために準備したものでした。

品質マネジメントシステムが、中小モノづくり現場へどのような効果をもたらしているかは別として、様々な理由で、継続して認証を受けている工場は多いです。

 

そこではかならず、現場作業の標準化が求められます。

こうした機会に作成した文書を大いに活用します。

「管理」には、見える化された標準が欠かせません。

 

なお、先の機械加工を主業とする現場では、作成済の標準作業書から管理ポイントを抽出して、作業のキモとなるところをA3サイズでまとめ、対象設備に掲示しました。

まとめ。

サイクルタイム、作業順序、標準手待ちの3つを見える化する。

 

サイクルタイムは生産計画のために、

作業手順は問題対策のために、

標準手待ちは全体最適のために、

 

それぞれ必要である。

 

見える化した標準は、管理のために、現場でドンドン使う。

標準化で注目するのは作業時間、作業の流れ、仕掛品の3つである。


製造業専門の工場経営コンサルタント。金属工学の専門家で製造/生産技術、生産管理、IEにも詳しい。エンジニアの視点で課題を設定して結果を出し、工場で儲ける仕組みを定着させることを得意とする。コア技術の見極めに重点を置いている。 大手特殊鋼メーカーで20年近く、一貫して工場勤務。その間、エンジニア、管理者としての腕を磨く。売上高数十億円規模の新規事業の柱となる新技術、新製品開発を主導し成功させる。技術開発の集大成として多数の特許を取得した。 その後、家族の事情で転職し、6年間にわたり複数の中小ものづくり現場の管理者を実地で経験した。 大手企業と中小現場の違いを肌で理解しているのが強み、人財育成の重要性も強調する技術系コンサルタントである。 技術立国日本と地域のために、前向きで活力ある中小製造企業を増やしたいとの一念で、中小製造業専門の指導機関・株式会社工場経営研究所を設立。現在、同社代表取締役社長。1964年生まれ、名古屋大学大学院工学研究科前期課程修了。技術士(金属部門)