ものづくりニュース by aperza

これからの技能と技術【1】

これからの技能と技術【1】

その昔は電子計算機と呼ばれ「高速ソロバン」であったコンピューターですが、この頃は進化して人工知能(A.I.)レベルになって、人間の仕事を奪うかもしれない……といった議論も出ています。

私も次々と新しい情報が入る中でこれから一体どうなっていくのだろうと期待したり心配したりを繰り返しておりました。

その中で、先日私の指導先のB社でそのことに関する素晴らしい改善に出会いました。

 

B社ではプレス金型を作っているのですが、最近はプレスされる金属の性能がより軽くより強くなっており、スプリングバックというのですが、せっかく曲げてもまたもとに戻ってしまいやすくなっているのです。

その結果、金型設計も複雑で難しくなっています。

そこでB社ではスプリングバックなどの複雑な変化をシミュレーションできるソフトを購入しました。

 

ここまでは特別なことではないのですが、B社ではコンピューターは苦手といっていた60歳のS工場長が、若い人に教わりながら勉強してこのソフトを使えるようになったのです。

ものすごい経験と技能を持っているS工場長がものすごい技術のソフトを使いこなせるようになると何が起きるのか? S工場長に聞いてみました。

すると、

 

「いやー、このソフトはすごいね、今まで何度も行ったり来たりしていた作業が一発だよ! おかげで生産能力は上がるし若手とのコミュニケーションは進むし……秘密だけど今度●●●●にチャレンジするんだ、こんなこと普通考えられないだろ!」

 

技能を自動化するのではなく、自動化を使って技能をさらに上げるということです。コンピューターはやはり使うものであって使われるものではないと考えるのだと改めて思いました。

kaizen

◎現場改善No.1コンサルタント。大手自動車メーカーにて、一貫して生産効率改善(IE)を担当し、その改善手腕を見込まれて、社命にてスタンフォード大学大学院に留学。帰国後、若くしてIE責任者として、全国の主力工場を指導、抜群の成績をあげる。 ◎現在、 柿内幸夫技術士事務所の所長 として、自動車、家電、食品、IT関連メーカーなどを指導。「現場で、全社員が一緒に改善する実勢指導」という独自のノウハウで、社長・工場長はもとより、現場の人たちから絶大な信頼をよせられる。中小企業のドロ臭さと、最新鋭の工場ラインの双方を熟知した手腕に、国内だけでなく欧米、中国、アジアの工場の指導に東奔西走する毎日である。 ◎1951年東京生まれ。東京工業大学工学部経営工学科卒業、スタンフォード大学修士課程修了、慶応大学にて工学博士号取得。 ◎著書「最強のモノづくり」(御沓佳美 共著)「“KZ法”工場改善」「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「5Sでつくる高収益工場ビデオ」「図解でわかる生産の実務 現場改善」「現場改善入門」「現場の問題解決マニュアル」他多数。平成16年日本経営工学会経営システム賞受賞。工学博士、技術士(経営工学)。