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【2016年現代の名工】金属材料製造 14人のマイスターたち

【2016年現代の名工】金属材料製造 14人のマイスターたち

厚生労働省から、2016年度の「現代の名工」160人が発表されました。今回は金属材料製造部門の名工の受章者をご紹介します。

現代の名工は、卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者を表彰するもので、技術者にとっての名誉であり、若手技術者のお手本です。

★ものづくりニュースでは、そんな名工の皆様への敬意と、若手技術者の皆様への目標の提示、日本の製造業が持つ優れた技術と技術者の努力をより多くの人に知っていただきたいとの思いから、「現代の名工」受章者の皆さまをご紹介いたします。

石垣雄二(いしがきゆうじ)さん

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・新日鐵住金(株)鹿島製鐵所
・茨城県 59歳
・製銑工
 入社以来、溶鋼炉に供給する焼結鉱の製造に従事している。電気集塵装置のダスト回収装置の開発にあたっては、問題解決のためガス清掃装置の稼働中にダストを連続的に回収できる装置を考案し、操業安定化・環境汚染防止に大きく貢献した。
 また、工場の安全専門委員として、ベテラン・若手に対する安全指導を行うほか、現場設備でリスクの高いベルトコンベア安全対策にも積極的に取り組んでいる。

参考:新日鐵住金、『黄綬褒章』 『現代の名工』 受章(賞)

時松元信(ときまつもとのぶ)さん

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・茨城県 56歳
・製鋼工
・新日鐵住金(株)鹿島製鐵所
入社以来、製鋼工程の連続鋳造業務に従事している。連続鋳造の自動化技術開発にあたっては、鋳造スタートから終了までの一〇〇%を自動制御にしたことにより、エネルギー使用量を九〇%削減し、操業安定化・生産性向上・品質改善に大きく貢献した。
 また、若手オペレーターが短期間で実操業することを可能にするため、作業用シミュレーターの開発を行うなど、後進の育成にも貢献している。

参考:新日鐵住金、『黄綬褒章』 『現代の名工』 受章(賞)

安田信一(やすだしんいち)さん

・栃木県 53歳
・非鉄金属溶解炉工
・(株)神戸製鋼所真岡製造所
 アルミ板製造工程の溶解工程に長年従事し、直接目で確認することができない溶融炉内の状態を長年培われた知識や経験から、正確に把握し的確に管理することが出来る。このことにより、従来不可能と言われていた、六九五℃から七〇五℃という低温かつ僅か一〇℃という幅での正確な炉内の温度管理を可能にすることで、アルミ板の鋳塊品質異常の一つである樅の木組織異常を撲滅し、所全体の生産性の向上に多大な貢献を果たしている。

永瀨勇(ながせいさむ)さん

・埼玉県 69歳
・機械込造型工
・(株)永瀬留十郎工場
 鋳造の難しいセラミック粉末を含む複合材料合金鋳物をはじめ、炭素含有量が極めて少ない極低熱膨張合金鋳物に関し、製品の不良発生を防ぎながら極めて高い精度を保つ卓越した技能を有し、半導体露光装置の構造体や石炭火力発電所に使用される集塵装置用薄物鋳物などの製造を行った。
 また、優れた技能、知識をもとに業界団体の講習会の講師を務め、後進育成にも貢献している。

川澄巖(かわすみいわお)さん

・東京都 84歳
・手かじ(鍛造)工
・(有)国治刃物工芸製作所
華道用の鋏の製作に長年従事し、先代(父)の「國治」を継承し、「切る音が違う」「刃先が指先になる」「刃先に目がついている」などと評される。良く切れる、折れず、曲がらず、且つ機能美をつくるため、工程を細分化し、約八十工程(通常四十~四五工程)の殆どを一人で手仕事で行う数少ない職人の一人である。「國治」の銘は華道、盆栽、園芸、植木などの世界のみならず、刃物の特産地である三条、播州、堺でも名高い。

池田慶郎(いけだよしろう)さん

・新潟県 75歳
・自由鍛造工
・池田鑿製作所
 鑿(のみ)鍛冶として自由鍛造技術によって加工する素材に適した鋼を地金に鍛接する卓越した技能を有し、その製品は宮大工に愛用されている。また、(独)国際協力機構の技術協力専門家としてインドネシアで技術指導を行い、刃物製品の製造技術の普及と生産能力の向上に貢献している。また、伝統技術を伝承する「三条鍛冶道場」の師範として後進の指導にあたっている

参考:新潟県、池田 慶郎 (Yoshiro Ikeda) 伝統的鍛冶技術(のみ・打刃物製造)マイスター
参考:TBS、がっちりマンデー!!大工さんに欠かせない道具を作るスゴイ人!

鳥山芳雄(とりやまよしお)さん

・愛知県 65歳)
・鋳込工
・(株)ジェイテクト岡崎工場
 鋳物工(鋳込工)として、自動車部品の鋳鉄鋳物部品の製造に携わり、また、生砂を使用した手込み造型による少量小型鋳物鋳造を手がけ、水分や砂抗圧力の判定や溶湯温度の目視判定ができる卓越した技能の持ち主であると
ともに、新工法の開発にも積極的に取り組み、現在では、鋳造部の安全の責任者として社内外の技能者の安全・技能指導に従事し後進の育成に携わっている

里村昌彦(さとむらまさひこ)さん

・京都府 76歳
・手かじ(鍛造)工
・金谷五良三郎
 寛永年間(十七世紀前半)から続く金属加工の名門である金谷五良三郎を襲名し、鎚起、鍛金等による金属の立体造形と着色法に優れている。鎚起や鍛金の技法のほか、初代・五良三郎から秘伝として伝わる金属の着色法「五良三色」を継承している。伊勢神宮式年遷宮にあたり作品製作を依頼される等、我が国の伝統文化の維持に貢献する貴重な技能者である。

川崎利春(かわさきとしはる)さん

・大阪府 58歳
・貴金属材料加工工
・(独)造幣局
 貴金属貨幣製造の作業全般に精通し、様々な技術的課題を克服する技能を有している。鏡面光沢を持つ貨幣の製造においては、後工程に影響の大きい円形洗浄工程での酸濃度と洗浄時間条件を最適化し、良好な表面状態を得る作業法を確立した。
また、貨幣へのカラー印刷の導入においては、レーザー光を用いての印刷位置合わせの精度向上を図った。これらの方法は標準化され、現在に至るまでの品質向上に大いに寄与している

中村哲次郎(なかむらてつじろう)さん

・兵庫県 54歳
・自由鍛造工
・(株)神戸製鋼所高砂製作所
 世界最大級の力量を有する一三〇〇〇トン自由鍛造プレスのオペレーターとして、一〇〇トンを超える製品をミリ単位の寸法精度で鍛造する卓越した技能を有し、主に船舶用のディーゼルエンジンの組立型クランク軸や舵取り装置の一部である弓形ラダーストックといった部品の製造を担当した。
 現在は、大型鍛鋼品製造部門の係長として品質・コスト・安全の改善業務に携わりつつ、自らの技能を次世代に継承すべく若手育成にも尽力している。

参考:日刊工業新聞、卓越―現代の名工/自由鍛造工−神戸製鋼所・中村哲次郎氏、総合的指導者育てたい

吉本守雄(よしもともりお)さん

・兵庫県 57歳
・鋳物仕上工
・(株)クボタ阪神工場
 ダクタイル鋳鉄管の加工・仕上げ部門に従事し、新製品の開発に努めてきた。加工・仕上げ作業は高度な技能が必要となるため、従来、量産ラインの機械化は困難であるとされてきた。しかし、製造ラインをビデオ等で分析を繰り返し、油空圧、電子制御技術等を導入することで、職人同等の研削仕上げ精度で形状が複雑な部分の加工・仕上げの機械化に日本で初めて成功し、業界の発展に大きく貢献した

藤村敦志(ふじむらあつし)さん

・広島県 56歳
・冷間圧延工
・(独)造幣局広島支局
貨幣製造業務での圧延作業工程においては圧延板の厚さを均一に保つことが絶対条件であり、〇.〇〇一㎜単位で制御する卓越した技能を有している。圧延板製造工程の広島支局集約及び交替制勤務導入の際には、設備の改良に率先して取り組み、また、クーラントフィルター交換において、二名で行っていた交換作業を一名で安全に実施できるようにするなど、安全性と作業効率の向上にかかる業務改善等を通して、大きく貢献した

平井正則(ひらいまさのり)さん

・大分県 63歳
・圧延ロール整備工
・新日鐵住金(株)大分製鐵所
 厚板工場ロール整備業務に長年従事し、ロール表面の損傷状態を目視や非破壊検査により適切に把握し、必要最小限の研削量で健全な状態にする技能を有している。国内最大級のロールを三五年使用し続け、世界で初めてロールの使用限界まで使い切るという偉業を達成した。
 また、自身の技能を技量マップに整理し、個々人の技量に応じた育成プログラムを作成する等、後進の育成にも貢献している

参考:大分合同新聞、「現代の名工」県内5人  平井正則さん(新日鉄住金)

浅田義彦(あさだよしひこ)さん

・兵庫県 55歳
・製鋼工
・(株)神戸製鋼所高砂製作所
 電気炉製鋼の溶解・精錬および造塊作業に三五年の長きにわたり従事し、高度な製鋼技能を有している。その技能により、溶解作業では、炉前での防熱板を利用した暑熱作業の改善、また、下注ぎ造塊作業では治具を用いた注入管内部の継ぎ目チェック方法の改善により漏鋼を防止するなど、多くの改善を行ってきた。
 現在も後進の指導に励み、技能継承、品質・コストの改善に優れた実績を上げ、同社へ多大な貢献をしている。

受章者の皆さま、おめでとうございます!

参考:厚生労働省、平成28年度 卓越した技能者(現代の名工)を決定しました


1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイト「イプロス」で編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ