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【状態監視モニタ】vol.2 振動モニタの種類

【状態監視モニタ】vol.2 振動モニタの種類

前号で振動モニタのおおよその機能と処理の流れを理解していただけるよう、非接触変位センサを入力とする軸振動モニタを例にとって、そのブロック図と各部分の機能を説明しましたが、今回は、その他のセンサを入力とする振動モニタに関して説明します。

2011年4月号と2011年5月号で接触式の速度センサと加速度センサについて、また、2011年6月号と2011年7月号で振動の3種類の測定パラメータ「変位」「速度」「加速度」の関係、適用範囲などについて説明し、その中で、変位を微分すると速度に、速度を微分すると加速度になることを、逆に、加速度を積分すると速度に、速度を積分すると変位になることを説明しました。

そこで、振動測定において振動センサの測定パラメータと振動モニタの測定パラメータが必ずしも一致していなくても、モニタ内部での微分または積分処理により希望する振動パラメータの測定が可能であることが想像できます。

 

現実的には、入力された信号を微分処理することは、ノイズなどの不要成分を増幅する要因となるため、モニタ内部での微分処理は行なっていませんが、モニタ内部での波形信号の積分処理は実際に行なわれています。

つまり、速度センサ入力の振動変位モニタや加速度センサ入力の振動速度モニタが存在するということです。

上記のようにモニタ内部で積分処理を行なうものと、センサとモニタの測定パラメータが一致していてモニタ内部での積分処理が必要ないものを含めて、実用的に使用されている振動計測におけるセンサとモニタの測定パラメータの組合せを表1に示します。

 

この中で示されているモニタ内部での積分が必要なケースでは、前号の図1に示したブロック図の④「HPF(ハイパスフィルタ)/LPF(ローパスフィルタ)」と⑤「検波/平滑」の間に積分回路が入ることになります。

このイメージを図2に示します。

スクリーンショット 2017-02-27 13.58.44

表1に示す組合せNo.(1)は大型回転機械の軸振動計測に最もよく使用されている非接触変位センサと振動モニタの組合せで、前号の説明がこの組合せをベースにしています。

この組合せの備考欄に相対振動と書いていますが、これは非接触変位センサによる軸振動計測が、測定対象である回転軸とセンサを固定している軸受(またはケーシング)との相対的な動き(振動)を計測していることから相対振動と呼ばれています。

組合せNo.(2)は、測定対象の回転軸に対して、先端にフッ素樹脂などの接触端を持つ伝振ロッドを直接押し当て、伝振ロッドの反対側に取り付けられた速度センサで軸振動を測定するもので、オンシャフト式と呼ばれるタイプの軸振動計です。

 

このタイプで計測する振動は回転軸の絶対的な動き(振動)を検知しますので、絶対振動と呼ばれます。

また、軸振動は変位で管理されますので、速度センサで検知した波形信号をモニタ内部で積分処理する必要があります。

 

【参考】ISO 7919-1規格による定義(同等規格JIS B 0910の表現を示す)

相対振動:軸及び軸受箱又は機械のケーシングのような適切な構造部分との間の振動変位。

絶対振動:慣性座標系に対する振動変位。

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※1.記号 ○:モニタ内部での波形信号の積分が必要。 ―:モニタ内部での波形信号の積分が不要。

※2.センサおよびモニタの機種は一例であり、その他の機種が使用されることがあります。

また、VM-7シリーズの場合、VM-701Bに対して各組合せのセンサ機種および測定パラメータを設定することで、上記組合せ全てにVM-701Bが適用可能となり比較しにくいので、入力センサの測定パラメータ毎に型式の異なるVM-5シリーズを例として記載しています。

 

ここまで見ると、軸振動計測において非接触式の相対振動と接触式(オンシャフト)の絶対振動はあるが、非接触式の絶対振動計測はないのかという疑問を持たれるかもしれません。

実はISO規格(ISO 7919-1)では軸振動計測の方式として、非接触変位センサによる相対振動、オンシャフト振動計による絶対振動と非接触センサと速度センサを組合せた非接触の絶対振動の3種類が示されています。

これに対応するモニタとしては、VM-5シリーズの場合VM-55振動モニタ、VM-7シリーズの場合VM-702B絶対振動モニタがあります。

 

この軸振動計測における3種類の方式に関しては別の機会にもう少し詳しく説明します。

組合せNo.(3)は、速度センサで振動速度を計測しますので、モニタ内部での積分処理は必要ありません。

これに対して組合せNo.(4)は、加速度センサで振動速度を計測しますので、モニタ内部での積分処理が必要となります。

 

これらはいずれもケーシングに振動センサを取り付けてベアリングを通して伝わってくる振動を計測する接触式の振動計で、ケーシング部分の絶対振動計測になります。

これらは通常転がり軸受で支持された回転機械のアンバランスやミスアライメントなど、回転軸に起因する異常の検知に有効です。

また、組合せNo.(5)は、加速度センサで振動加速度を計測しますので、モニタ内部での積分処理は必要ありません。

 

この場合もNo.(3)やNo.(4)と同様に接触式センサによるケーシング部分の絶対振動計測になりますが、通常転がり軸受自体の異常検知に有効です。

最後に、組合せNo.(6)ですが、これは1つのセンサに対して積分処理を行なう回路と積分処理を行なわない回路の2系統の処理を行なう振動モニタを使うケースで、このようなモニタをデュアルパスモニタと呼んでいます。

これはNo.(4)とNo.(5)の複合型で、1つの加速度センサで回転軸に起因する異常検知と転がり軸受自体の異常検知の両方に有効な振動監視装置と言えます。

 

出典:『技術コラム 回転機械の状態監視や解析診断』新川電機株式会社

 


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