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【回転パルス検出センサと位相基準センサ】vol.1 渦電流式変位センサ...

【回転パルス検出センサと位相基準センサ】vol.1 渦電流式変位センサの適用

これまで回転機械の軸振動や軸位置計測用途として使用される渦電流式変位センサに関して説明してきましたが、今回は同じ渦電流式変位センサを回転パルスや位相基準パルスの検出にも適用できることを説明します。

回転パルス/位相基準パルス検出への渦電流式変位センサ適用方法

渦電流式変位センサはターゲットとなる金属面とセンサトップとの距離(ギャップ)を測定するセンサであり、軸位置などの変位測定は勿論、通常10kHz程度までの応答性があるため非接触の振動計測にも適用できることはこれまでに述べてきた通りです。

さて、渦電流式変位センサで回転パルスを検出するためには、図1(c)に示すように、矩形または台形の歯形を持つ金属製の回転パルス検出歯車に対向して渦電流式変位センサを取り付けます。

検出歯車が回転すると、それに応じてセンサ対向部は検出歯車の山の部分と谷の部分を繰り返すこととなり、ギャップ大(谷の部分)とギャップ小(山の部分)を繰り返すため、図1(a)の静特性を反映して、図1(b)のようなパルス状の信号を出力することになります。(※1)

 

このパルス列の繰り返し周波数は回転数に比例しますので、TSIモニタの回転モニタで波形整形、パルスカウント、周期計測などの信号処理を行なって、回転数を計測します。

渦電流式変位センサはDC(つまり静止しているギャップ測定)から10kHz程度の高い周波数まで応答するため、極めて低い回転数から非常に高い回転数まで同じ電圧レベルの回転パルスを検出することができるという特徴を持っています。

これにより、回転体がほとんど回転していない状態であると判断するゼロスピード検知用のセンサとしても適用することができます(ゼロスピード検知に関しては今後予定しているTSIモニタの解説の中で説明したいと思います)。

 

振動解析や偏心計測に適用される位相基準パルス(フェーズマーカ)の検出は、図1(c)のような複数の歯数を持つ検出歯車ではなく、1回転に1箇所のキー溝状の切り欠きや突起を設けることにより、1パルス/1回転の信号を検出します。

これは、図1(c)の検出歯車の1つの歯を残して、それ以外全て山(キー溝状ターゲットの場合:図2(iii)のイメージ)とした状態、または全て谷(突起状ターゲットの場合:図2(ii)のイメージ)とした状態とすれば、原理的には上記の回転パルス検出と同様に考えることができます。

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※1.図1(c)のイメージのように検出歯車の山と谷の部分の幅が十分に広く、谷の深さも十分にある場合、図1(b)に示すように谷の部分が飽和電圧となり山の部分もセットギャップ電圧で一部平坦となるような矩形に近い波形を出力することになります。

しかし、検出歯車の山と谷の幅が狭い場合、谷の部分は飽和電圧まで到達せず、山の部分もギャップ電圧まで到達しない正弦波に近い波形となります。

 

ここで、回転パルス検出に適用する場合の渦電流式変位センサに必要となる条件について以下に述べます。

 

(1)大振幅のパルス状波形に対して、高い周波数応答を有する

軸振動計測の場合、かなり振動値が大きな場合でも数百μmp-pで、出力電圧の振幅は1~2Vp-p程度であり、その周波数も回転同期成分が主となるのが一般的です。

しかし、回転パルス検出の場合、図1(b)のように10Vp-p前後の大振幅となるのが普通であり、かつ通常歯数60枚の検出歯車を適用することが多いため、その繰り返し周波数は回転同期周波数の60倍ということになります。

したがって、大振幅の信号波形に対して高い周波数応答特性を持っていることが必要となります。

 

(2)センサおよび延長ケーブル断線時、出力電圧はゼロボルト側(ギャップ過小に相当)となる

軸振動モニタの場合、入力電圧に正常範囲としての上下限範囲を設定して、変位計出力電圧の過大および過小をセンサ断線などの入力異常として判断しています。

しかし、回転パルス検出の場合、図1(b)のように正常に計測している状態においても谷の部分で飽和電圧(出力電圧過大)となることが普通であるため、回転モニタの入力異常検知は電圧過小側(ゼロボルト側)でのみ判断することになります。

したがって、センサおよび延長ケーブル断線を検知するために、断線時の出力電圧はゼロボルト側となることが必要となります。

 

新川電機のFK-202Fトランスデューサは上記条件を満足しており、軸振動計、軸位置計用センサとしてだけでなく、回転パルス検出センサおよび位相基準センサ(フェーズマーカ)としても適用することができます。

なお、FK-202Fの一世代前の機種であるVK-202Aトランスデューサは大振幅信号での高域周波数特性の減衰があることと、センサ断線時に出力が飽和電圧側となることから上記条件を満足していませんでした。

そのため、従来は同じ渦電流式センサで振動や変位計測のための精度はないけれども、上記の条件に特化したRD-05Aタコドライバを回転パルス検出専用として適用していました。

 

最後に、参考として図2にFK-202Fトランスデューサを回転パルス検出に適用する場合の推奨検出歯型の寸法を示します。

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次回は、大型回転機械の回転パルス検出に渦電流センサと並んでよく適用される電磁ピックアップについて説明、および両者の比較について説明する予定です。

 

出典:『技術コラム 回転機械の状態監視や解析診断』新川電機株式会社


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