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「超スマート社会」を国家戦略で実現へ、エネルギーの流れ全体を最適化 (...

「超スマート社会」を国家戦略で実現へ、エネルギーの流れ全体を最適化 (石田雅也,[スマートジャパン])

 「第5期科学技術基本計画」は2016〜2020年度の5年間に推進する政策の基本方針と目標を定めたものだ。内閣が1月22日に閣議決定した。日本を「世界で最もイノベーションに適した国」へ発展させるために、政府・学界・産業界・国民を含めて共同で実行する計画として位置づけている。今後の科学技術分野の政策の指針になる。

 キャッチフレーズに掲げたのは「超スマート社会」の実現だ。基本計画による定義は「必要なもの・サービスを、必要な⼈に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる⼈が質の⾼いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、⾔語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」である。

 そうした超スマート社会を構成するうえで必要になる11分野のシステムを整備していく(図1)。いずれのシステムにも共通する基盤技術はIoT(Internet of Things、モノのインターネット)である。社会全体に分散する情報機器やセンサーから集まるデータをもとに、システムが最適な判断を下して処理を実行できる仕組みだ。

図1 「超スマート社会」を構成する11分野のシステム。出典:内閣府

 対象になる11分野のシステムで第1に挙がったのは「エネルギーバリューチェーン最適化」である。エネルギーの生産〜流通〜消費の流れ全体をIoTと省エネ技術を組み合わせて総合的に管理・制御できるようにする(図2)。再生可能エネルギーや水素エネルギーの拡大、次世代蓄電池や超電導送電の実用化、パワーエレクトロニクス分野の技術開発による省エネの推進などが主な実行項目になる。

図2 「エネルギーバリューチェーン最適化」の全体像(画像をクリックすると拡大)。出典:内閣府

 それぞれの実行項目に対して目標も設定した。再生可能エネルギーの分野では浮体式の洋上風力発電を2018年をめどに実用化することや、太陽光発電のコストを1kWh(キロワット時)あたり2020年に14円へ、さらに2030年に7円まで引き下げる。海洋エネルギーの発電コストも2020年代に40円まで低減させることが目標だ。内閣府を含めて7つの省庁が連携して推進していく。

第5の波を「Society5.0」で呼び起こす

 このほかの実行項目を含めて、従来から政府がエネルギー政策の目標として掲げていたものが多いが、改めて2020年度までの科学技術基本計画に盛り込んだ意義は大きい。政府は2030年に向けた「エネルギー革新戦略」を3月にも公表する方針で、その中で詳細な実行計画をとりまとめる予定だ(図3)。

図3 「エネルギー革新戦略」に盛り込む重点施策(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 11分野のシステムのうち、エネルギー関連でもう1つ重要なものが「地球環境情報プラットフォーム」の構築である。衛星・海洋・地上に設置したセンサーから観測データを収集して、温室効果ガスの増加に伴う気候変動を予測する一方、太陽光・風力・水力による発電量を予測して再生可能エネルギーの拡大に生かす(図4)。

図4 「地球環境情報プラットフォーム」の全体像(画像をクリックすると拡大)。出典:内閣府

 2020年までに10分単位の日照・風況を予測できるようにするほか、地球規模の気候変動を50年先まで長期に予測できる技術を開発することなどが目標になっている。地球環境情報プラットフォームの構築は文部科学省と環境省が中心になって推進していく。

 政府は超スマート社会を「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に次ぐ第5の波に位置づけて、実現するための取り組み全体を「Society5.0」と呼んでいる。ドイツを中心に全世界に広がり始めたIoTによる生産技術革新の取り組み「Industry4.0」を意識したものだ。キャッチフレーズにこだわり過ぎた印象は否めないが、科学技術の力で社会変革を推進する意気込みは十分に感じられる。


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