「見える化」とは機械仕掛け

「見える化」とは機械仕掛け

機械工場では、機械加工した部品を組付ラインで組付けて、アクスルとかミッションとかの大物部品を作る。

私がトヨタに入社する前の事例を紹介したい。

 

組付ラインの先頭で、これから作る種類が、指令室から指示される。

その指示に従い、最初の作業者が、移動していく作業台の横に、その種類が分かる「旗」を立てる。

その旗を見て、各工程の作業者が、その種類を認識し、必要な部品を選択する。

さらにその旗の軸にも、長短を付けて、それがリミットスイッチを打つか、打たないかで、自動部品供給装置などに指示を出す。

 

このような発想の上に、さらに、ポカヨケを付加していけば完璧だ。

私はこの事例は見たことがないが、このような現場を見たら、ディズニーランドを見ているようで楽しくなると思う。

 

多くの企業はこの「見える化」の発想から入っていく必要がある。

しかし、機械→電気→電子、と進むと見えなくなってしまうことに注意が必要だ。

 

旗なんと21種類も、旗で識別している。

この涙ぐましい努力を見て欲しい。

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軸旗の軸の長短で、機械に指示を与えるのだ。

ここもポカヨケで補完すれば完璧だ。

このようなカラクリの中で作業をしていれば、作業者自らも「もっとすごいカラクリを考えてやろう!」という気になる。

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単調な繰り返し作業でも、頭の中はいろいろ考えながらフル回転だ。

経営者、管理者、監督者は、このような方向へ動機付けをするのが、本当の使命だと思う。


豊田生産コンサルティング株式会社代表取締役社長◎略歴 昭和30年(1955) 愛知県豊橋市生まれ 昭和53年(1978) 早稲田大学商学部卒業トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車)入社 平成16年(2004) トヨタの基幹職チャレンジ・キャリヤ制度(他社への転出支援制度)によりトヨタを退職(退職時資格は課長級) オーエスジー株式会社オーエスジープロダクションシステム推進本部副本部長就任 消耗性工具(ドリル・タップ・エンドミル)専門メーカーで自動車関連以外の業種の現場改善活動に従事。 平成19年(2007) 豊田生産コンサルティング株式会社設立◎トヨタでの職歴(26年)人事部人事課海外関係人事 3年/財務部経理課輸出入経理、国内債権債務管理 3年/本社工場工務部原価グループ鍛造工場能率・製造予算管理、工場棚卸総括 3年/本社工場工務部生産管理室車体・塗装・組立工場生産管理 4年/米州事業部原価企画グループ北米事業体原価管理、北米生産車原価企画 3年/田原工場工務部原価グループ成形工場能率・製造予算管理、トヨタ生産方式部課長自主研 2年/田原工場工務部生産管理室エンジン・鋳物工場生産管理、トヨタ生産方式部課長自主研 8年◎本社部門(人事・財務・原価企画)9年、工場部門(本社工場・田原工場)17年と本社機能、工場機能のそれぞれを幅広く経験。特に工場では生産管理と原価管理という「石垣」づくりとトヨタ生産方式自主研メンバーとして「天守閣」づくりの両方に長年従事。