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「わからない」と言えない技術者 

「わからない」と言えない技術者 

若手技術者育成において、「知っていることこそ正義」という専門性至上主義を捨てさせることが最初で最大の難関です。

この専門性至上主義を捨てさせるのに苦労する根本的原因の一つが、「わからない」と言えない技術者の性質です。

「わからない」と言わない若手技術者

色々話をしていくとわかっているような素振りを見せるので、わかっているかと思って仕事をやらせてみようとすると、全然わかっていない、というパターンを経験したことはないでしょうか。

このような場合、「知らないことはきちんと知らないと言え」と叱責したくなる技術者指導者層の方々の気持ちはよくわかりますが、叱責をすればするほど若手技術者は委縮し、自分のプライドを守るために、もっと「わからない」と言わなくなっていきます。

では、どうすればいいのでしょうか。

「わからない」と言わせるためには

1つの効果的なやり方として、事前にその業務を行うのに必要なスキルや知識に関する質問を投げかけることです。

目の前に質問を投げかけられても、様々な言い訳をして「わからない」と言わない若手技術者も多いと思いますが、その場合は最後の最後までヒントを与えながらも答えを教えずに考えさせ、そして考えたことを話させることで、質問の最終的な答えを頭の中にすりこませます。

すぐに答えを与えたり、知らないことをバカにしてはいけません。前者の場合は答えが知見としてみにつきにくく、後者の場合は委縮してしまいます。

「考える力」を養ってもらう

このように、知っている、知らないという議論ではなく、考えて導き出すという作業をさせることで、考える力を養ってもらうことが主眼となっています。

つまり、必要な知見について、質問形式の「コーチング」をベースにした「考えさせる」ということと、「話させる」というアウトプット中心の育成を通して必要な知見を精度よくみにつけさせるという育成の観点からのアプローチなのです。

さらにこの育成方法は、仕事を任せようとしている若手技術者がどこまで必要な知見を有しているのか、どのようなスキルをもっているのか、ということを事前確認できることになり、仕事のアウトプットの質低下を最小限に食い止める意味もあります。

 

技術者育成方法の一つとして実践してみてください。


技術者育成研究所所長・FRPコンサルタント。入社2~3年目までの製造業に従事する若手技術者に特化した法人向け人材育成プログラムを提供し、自ら課題を見つけそれを解決できる技術者育成サポートを行う。◎東京工業大学工学部高分子工学科卒業後、ドイツにある研究機関 Fraunhofer Institute での1年間のインターンシップを経て同大学大学院修士課程修了。その後、複数の大手メーカーにて技術者として勤務。専門外の企業に転職したときは周りの会話についていけないという苦境に陥るが、試行錯誤の末に活字を基本とした独自の思考法を確立、開発最前線で成果を積み上げたことにより最先端研究プロジェクトリーダーに昇格。また、自らの立ち直りに実践した思考法を応用した技術者育成法により、技術者人材育成に悩みを抱えていた事業部から、多くの自発的課題発見/解決型の技術者を輩出。当時評価の低かった若手技術者を事業部最年少海外駐在者として送り出すなど、技術者教育でも高い評価を得た。◎11年にわたる企業の技術者勤務の後、自らの専門性を生かし複数企業と直接顧問契約を結ぶFRPコンサルタントとして独立。川中から川下の企業の研究開発最前線での技術指導、サポートを行う中で多くの企業が技術者人材育成に苦労している実情に直面し、専門性を生かすも殺すも人材に大きく依存することを実感。さらに自らの技術者人材育成経験から技術者育成には一般的な人材育成と異なる技術者に特化した「技術者人材育成」が必要という考えに至った。その後、技術者に特化した人材育成プログラムがほとんど存在しないことに着目して「技術者人材育成研究所」を創業、FRPコンサルタントとしてFRPに関連する高い専門性の技術指導やサポートを行う一方、現場の技術者の人材育成にも精力的に取り組んでいる。◎主な著書に『CFRP~製品応用・実用化に向けた技術と実際~』(共著)など。◎Professional member of Society of Plastics Engineers( SPE; 米国プラスチック技術者協会)◎– 高分子学会(The Society of Polymer Science) 正会員◎– 繊維学会(The Society of Fiber Science/Technology)正会員◎– NPO インディペンデント・コントラクター協会(IC協会)正会員◎– 国立大学法人 福井大学 非常勤講師 http://engineer-development.jp/