協働ロボット 最新動向(2018年末版)トータルシステムとして活用拡大...

協働ロボット 最新動向(2018年末版)トータルシステムとして活用拡大段階にいたった協働ロボット

この1年で、協働ロボットは「やろうと思えば、たいていのことができる」と言っても過言でないほどに、「進化」「細分化」しています。もはや、協働ロボットは「人にぶつからない」「ぶつかっても怪我をしない」というレベルではなく、あらゆる場面で「人がやらざるを得なかった作業の代替」や「人の作業負荷の軽減」を行う存在になっています。

本ページでは2018年末現在の「協働ロボット 最新動向」を解説します。

「トータルシステム」としての整備が進み、各社の協働ロボットがさまざまな場面で使われるように

最近の変化としては、ロボット本体の「装置」先行型であったものが、アプリケーション、アクセサリ、協働ロボットシステムインテグレーション(ロボットSI)、ティーチングなどの「トータルシステム」としての整備が進み、さまざまな場面で利用ができるようになってきたということが挙げられます。

2017年はユニバーサルロボット社『eシリーズ』がシェア6割

ロボット本体に関しては、調査会社のBRA社によると2017年はユニバーサルロボット社のシンプルな多軸アーム型ロボット『eシリーズ』が6割のシェアを占めており、あまりバラエティに富んだ市場状況ではありませんでした。

一方で、片手で持ち運びできる重量わずか4kgの協働ロボット『COBOTTA』(デンソーウェーブ / 2017年)や可搬重量35kgの『CR-35iA』(ファナック / 2015年)など可搬サイズはバラエティに富み、肘のないロボット『CORO』(ライフロボティクス / 2016年)や7軸ロボット『LBR iiwa』(KUKA / 2015年)に見られるようにアームも進化。

加えて人型の双腕ロボット『NEXTAGE』(カワダロボティクス / 2011年)、『YuMi』(ABB / 2015年)といった人の作業の模写や人との連携ができるものなど、すでに多くの協働ロボットが存在していました。

AIを活用した画像認識技術やロボットハンドの進化が後押し

これからの協働ロボットの利用拡大の原動力として、人が主にあつかってきた「不定形」「柔らかいもの」「力を加えると壊れる・傷むもの」を正しく認識する「AIを活用した画像認識技術」や、適切にハンドリングする「新しいロボットハンドやグリッパー」などの新技術や新製品により、人がやらざるを得なかった作業を代替できるようになってきたことが挙げられます。

前述のユニバーサルロボット社も、ロボットハンドやグリッパーは積極的にパートナー企業を取り込んで差別化を図っています。

また不定形・柔らかい・壊れる・傷むワークに対する「画像認識技術」は、正解の3Dデータと比較するネジの識別や機械部品・製品の外観検査よりも難易度が高く、最近になってようやく実用レベルになってきました。

ロボットティーチングの簡易化やティーティレス化も前進

さらに協働ロボット向けのロボットSIのサービスも重要になってきています。

通常の産業用ロボットのラインと協働ロボット(と人)のラインでは、ラインを組む技術は同じでも、ノウハウは異なっている場合が多く、協働ロボット向けのロボットSIのサービスの発展は、協働ロボット市場拡大に不可欠なものといえます。

一方で、ロボットSI全般のリソースは不足しており、協働ロボットに強いロボットSIを見つけることは簡単ではありません。ロボットティーチングの簡易化やティーティレス化も、ロボットメーカーやロボットSIにより進んできています。

 

アペルザカタログの特集ページでは、上記の内容をイメージできるようなホワイトペーパーやカタログ、事例などを厳選して掲載しています。これらをきっかけに理解を深め、効果的な導入の検討の一助になれば幸いです。

特集ページをチェックする

1970年大阪府生まれ。神戸大学修了後、大手外資系コンサルティング会社で事業戦略、営業改革、技術戦略、製品開発改革、新規事業立ち上げなどを担当。2007年からITアドバイザリ企業ガートナー ジャパンのコンサルティング部門にて、AI/IoT/モバイル/クラウドなどの先端技術サービス立ち上げ、製造・流通・エネルギー・インフラ産業の統括責任者を経て、2017年アペルザ入社。2018年4月から『展示会速報取材レポート』主任記者として8ヶ月で1,000ブースのレポート作成。とにかく技術が好きでエッジ〜クラウド、ITとOTなんでもOK。趣味は模型製作