質の高いアウトプットを出すために、「生産性」の考え方をインプットする

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

伊賀 泰代

オススメの理由

仕事をする上でマストとなる“生産性”の上げ方について書かれている

本書は、世界的なコンサルティングファームのマッキンゼー日本支社にて採用担当をされていた伊賀泰代さんの二冊目の著作です。

タイトルの「生産性」という言葉は、工場の稼働率というようなイメージで、どちらかと言うと製造の場でよく聞かれる言葉ですが、最近ではより広い意味での働き方や仕事の効率を表すようになっています。

生産性は、非常に単純に言うと、インプットに対するアウトプットによって計られます。本書では、「『成果物』と、その成果物を獲得するために『投入された資源量』の比率」と定義されています。

この定義からも明らかなように、生産性を高めるには、インプットを最適化し、アウトプットの質・量を最大化することが求められます。本書を通じて、仕事をする上でマストとなる「生産性」の上げ方を理解することができます。

製造業の若手・新入社員に向けたメッセージ

生産性の考え方をインプットして、業務におけるアウトプットとして発揮してください

学校での勉強と社会での仕事における根本的な違いは、その評価がインプットではなくアウトプットによってなされるという点です。

学校の勉強では、インプットの状態が評価基準でした。つまり、ある物事をどれだけ理解しているか(=インプットの状態)が試験によって計られ、それが一定程度を満たしていることが求められました。

 

一方、仕事では、インプットの時間や量ではなく、会社の業績に貢献するアウトプットをどれだけ出せるか、が求められます。

アウトプットは、会社内での役割によって異なりますが、直接の売上、担当業務の効率的な遂行、作業効率の改善、革新的なアイデア創出など様々です。

会社に貢献し、社会人として成長していくためには、自分に求められる役割に応じて生産性を高め続けることが非常に重要になります。

 
国が進める働き方改革においても、生産性は一つのキーワードになっています。

生産性の改善は、特に日本と他の先進国を比べた際に、非常に深刻な課題です。

日本はGDPの規模ではアメリカ、中国に次ぎ世界3位ですが、これを一人当たりさらに労働時間当たりの数字で見てみると他の先進国に大きく後れをとっています。

 
例えばドイツは日本の約1.5倍(日本が40数ドルであるの対して、ドイツは60ドル以上)です。なぜこれほど大きな差があるかについては、色々な議論がありますが、私は一つには「生産性」に対する考え方の違いが大きく影響していると考えています。

日本企業は、インプットやプロセス(長い労働時間、精緻すぎる市場分析、たくさんの承認プロセス)を過剰に重視する傾向があるのに対して、外資系企業はより生産性(インプットとアウトプットの最適化)にフォーカスしているという違いです。

今後、日本企業がグローバルの競争で生き残っていくためには、この「生産性」という考え方は絶対に避けて通れません。

是非、本書を通じて「生産性」の考え方をインプットして頂き、それを業務におけるアウトプットとして発揮して頂ければと思います。


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神澤 太郎

シーメンス株式会社 プロセス&ドライブ事業本部 プロセスオートメーション部 部長