製造業で働くための土台づくりの一歩として、ものづくりの哲学「トヨタ生産方式」を理解する

トヨタ プロダクションシステム―その理論と体系

門田 安弘

オススメする理由

トヨタ生産方式について、きちんと全体をとらえたうえで、構成要素についても具体的、論理的に書かれている稀有な本

流行りものを解説している本は世の中にあふれかえっているが、その類の本を読んだとしてもブームが去ってしまえば、また次の流行りの本を読むことになるだけで、表層的なレイヤーの話に詳しくなるかもしれないが、本質的な理解が進むわけではない。

やはり最初は基本的な知識、考え方を身に着け、職業人としての土台を作ることが、その後30年、40年かけ高い建物を建てていくためには大事なことだと思う。

この本は製造業で働く人にとっては土台を作るために読むべき本の一つであると思う。

 

日本のものづくりが全てにおいて優れているわけではないが。「トヨタ生産方式」は世界中の製造豪に大きな影響を与えた方式であることは間違いない。

世の中には相対するものとして、「MRP」によるものづくりがある。

(正確に言えば、両社には重なる部分もあるし、100%対照的なものというわけではないがここででは話を簡単にするために相対するものとして扱う)

 

財務パフォーマンスで言えば、どちらの方式をどう採用するかにより、重要な経営指標が10倍近くまで異なることもあるほど、製造業の経営に対する影響度合、重要さは大きい。

両方式を理解し、相違点を人に説明することができるようになれば、生産管理に対しての基本的な素養は十分身に着けたということになる。

そのためには両者の本を読む必要があるが、まずはトヨタ生産方式から学んでもらうということで小生はこの本を推薦する。

 

トヨタ自動車が日本を代表する製造業の一つであるということもあり、トヨタ生産方式の名前が付いた本は巷にあふれているが、定性的な話や、全体の一部を切り取っただけを解説している場合も多く、そんな本を何冊も読んでも全体は見えてこないし論理的な理解が進むわけでもない。

より哲学的なものはトヨタ生産方式の創始者である大野耐一氏の本を読めばよいが、製造現場の知識がまだまだ少ない若い人には、いきなり哲学的な本を読むよりも、具体的なことが書かれているものを読むほうが理解しやすいのではないかと思う。

この本はトヨタ生産方式について、きちんと全体をとらえたうえで、構成要素についても具体的、論理的に書かれている稀有な本である。

 

まずはこの本に書かれていることが理解できるようになり(わからないところは他の書籍で調べながら周辺知識も増やし)そのうえで、大野耐一氏などの本を通して本質をとらえるとともに「MRP」についての本も読み進めていくことがよいと思う。

製造業の若手・新入社員に向けたメッセージ

入社3年後までにこの本の内容をきちんと理解できるようになれば立派!

製造業で働くのであれば営業部門だろうが、技術部門だろうがものづくりの基本は理解しておくことで仕事の幅と深さは広がるはずである。

製造業の基本的なことがまだ理解できていない若手にとってはこの本は少し難しいかもしれない。書いてある内容をきちんと理解するためにはこの本以外からも知識を得ながら読み進める必要があると思う。

だからこそこの本を読み、理解できるようになることを強く薦めたい。

 

入社3年後までにこの本の内容をきちんと理解できるようになれば立派なものである。

10年後、20年後に振り返った時にきっと、あの本を通して勉強したことが今の自分の骨格を作っているのだなと思える一冊になる。

将来の製造業を背負うべく精進してください。


私がオススメします

清 威人

エイムネクスト株式会社 代表取締役社長

1963年生まれ 53歳

トヨタ自動車、アクセンチュア、コムテックを経て2001年よりエイムネクスト株式会社を創立し、同社代表取締役社長 虎ノ門大学院 MBA 客員教授(製造業、サービス業をメインの対象に、コンサルティングからシステム開発、製品開発、共同でのビジネス開発などを独自のソリューションを取り入れながら提供)

同社は現在、中国、ベトナム、シンガポール、インドネシアで事業展開しており、中南米へも進出を計画中。製品開発、SCM、生産管理などを専門とする。

2010年、世界に先駆け著書『スマートファクトリー』(英治出版)を出版し、IoTを活用した工場マネジメント改革、ビジネスモデル改革を提唱。