オススメする理由
「もう一度頑張ろう」という気持ちにさせてくれる
著者の松下幸之助は、言わずと知れたパナソニックの創業者にして一代で世界的企業に育て上げ、「経営の神様」とも言われた人です。人づくりや社会問題にも大きな関心を寄せ、単なる一経営者に留まらない活躍をされました。
大企業の経営者の身でありながら日本全国の「まちの電器屋さん」を訪ね歩いて現場の声を聞き、最盛期の1980年代には2万6000店を超える系列店ネットワークを作り上げました。さらに、家電商品を売るだけではなく、お客様と密着してお困りごとを解決する電器屋さん特有の手厚いサービスビジネスを構築し、自社の社員だけでなく、多くの取引先や販売店、お客様を魅了し、愛され、尊敬されました。
そんな松下幸之助が、組織に生きる社会人の心得を示したのが、この「社員心得帖」です。新入社員、中堅社員、幹部社員の各ステージにおける心がまえを説明した内容となっています。
私は自己啓発書が好きではないのですが、ビジネスの成功者であり、何百何千万人という人に大きな影響を与えた「経営の神様」松下幸之助が、社会人に対してどのようなメッセージを発しているのかに興味があって10数年前に手に取って以来、迷った時に基本に立ち返るための大切な一冊です。
全体を通じて、社会人に高いレベルでの自己への厳しさや清廉潔白さ、素直さを求めつつ、根底に流れる慈愛や優しさが所々からにじみ出ており、読み返すごとに「そうだったなー。もう一度頑張ろう」という気持ちにさせてくれます。
発行元のPHP研究所による解説では、
五月に一挙に六冊文庫化された「心得帖シリーズ」の三作目である。本書はタイトルどおり、企業に身を置き、一社員として働くことの意義を、新入社員、中堅社員、幹部社員に向けて説いたものである。
しかし、読者の中には違和感を持つ人があるだろう。なぜなら、松下幸之助自身は、丁稚奉公と電灯会社に勤めたわずかな期間以外は、常に経営者として社員を遣ってきた立場の人物だからだ。
ところが本書で述べられている、それぞれに経験の異なる“社員としての心構え”の根底にあるのは、松下電器を大きくするための要求ではない。企業で働くことを通して、ビジネスマンとしての、いや人間としての幸せと成功を感得するには、こう考えたらいい、こういう生き方がよいということを説いているのである。
今、若者は働き甲斐を見出せず、中堅・幹部はリストラを恐れている。社員として働くとはどういうことか、いま一度、原点に返って考えてみるのに絶好の一冊である
としています。
初版は2001年なので15年以上も前の本ですが、本質を突いているのでまったく色あせることなく、若い人にも参考になると思います。戦後という未曽有の大混乱期を生き浮き、事業を大きく成長させた松下幸之助の考え方は、時代は変われど、変革期を迎えている今に通じるものが必ずあります。
Amazonのレビューでも
「定期的に自分を振り返るときの鏡のような本」
「反感を感じる人もいるかもしれないが、 会社員として縦や横との関係を強化する上で効果的なのは確か。」
「新社会人は是非ご一読あれ。」
など評価は高め。
ぜひ一度読んでみて下さいね。
製造業の若手・新入社員に向けたメッセージ
社会を影で支える功労者
製造業の多くの企業は、社会の裏方です。
でも、どんなに小さな部品でも、製品はそれがなければ動きません。
皆さんが作った、販売した製品は、必ず誰かの役に立っています。
表には出てこないかもしれないし、誰も知らないけど、
実は自分が頑張っているから社会は動いているんだぜ(ニヤリ)
製造業にはそんな玄人の楽しみ方があります。
社会を影で支える功労者、そんな皆様を私は応援します!
#製造業愛
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剱持 知久
株式会社アペルザ ものづくりニュース編集部 編集長
1975年群馬県生まれ。明治大学院修了後、エレクトロニクス業界専門紙・電波新聞社入社。名古屋支局、北陸支局長を経て、2007年日本最大の製造業ポータルサイトで編集長を務める。2015年3月〜「オートメーション新聞」編集長(現職)。2016年5月〜「ものづくりニュース by aperza」編集長兼任。 趣味は釣りとダーツ