料理研究家・小林カツ代のレシピ本からカイゼンの指針やヒントを得る

小林カツ代のおいしいがいちばん! ~カツ代さんが愛したレシピ51~

小林カツ代

オススメする理由

ものづくりという観点では工場も台所も同じ

現場改善とはまるで関係のない話に見えますが、ものづくりという観点では工場も台所も同じ。

・どうしたら美味しくなるか → どうしたら品質が良くなるか
・どうしたら時間をかけず楽に作れるか → どうしたら効率よくなるか
・どうしたらみんなに喜んでもらえるか → どうしたらお客様に満足していただけるか

……等々、基本的な考え方は全く変わりません。

 

 

様々に工夫を凝らしたレシピや手順はあたかも工場での改善提案を見るようで、その合理的・独創的な見方・考え方に感心させられることしきりです。

それは、かつてテーラーやギルブレスが、昔ながらの伝統的なものづくりに科学的なものの見方を取り入れて、生産現場に革命を起こした歴史を思い起こさせます。

興味深いことに著者の小林カツ代さん自身が「料理は科学」と言っています。改善を難しく考えている人、やり方がわからないと迷っている人には、改善の指針や良いヒントを教えてくれるでしょう。

小林カツ代さんはこれ以外にも多くの著書を出していて、いずれも単なるレシピ本としてだけでなく、改善の参考書としても手に取って楽しいオススメ本です。

カイゼンに取り組む人へのメッセージ

解決できるならばやり方は自由

問題解決に取り組む場合、権威あるセミナーや教科書通りにやらないといけないと思い込んでいる人を見かけます。よくあるのは、一生懸命に勉強した改善手法を使うことが目的になって、肝心の問題が何だったのか見失うことです。

改善活動で大事なポイントの一つは、取り組む問題を正しく捉えることで、それを解決できるならばどんなやり方でも自由なのです。

 

もちろん我流だけで良いとも言い切れません。類型化した問題なら手法を使って効率的に解決できるでしょう。

しかし、現実の問題というのは、過去の類型に当てはまらないから難しく、実際思いもよらぬところから問題解決の突破口を見出すことが少なくありません。

例えば料理なんて自分の仕事とは全く別世界の話でしょうが、思いもよらぬ突破口はそんな無関係なところで出合います。会社の中しか見ない現場バカや、手法にこだわるマニアルバカには難しい注文なのです。

 

改善に取り組んでいる人は、広い視野と柔軟な発想を持つこと。そのために色々なことに興味を持って欲しいと願っています。


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おもしろがり

経営コンサルタント/イラストレーター

東京都出身。神奈川県在住。
『面白狩り(おもしろがり)』(http://www.omoshirogari.com/)編集長