技術者は冒険するべき?守るべき?新しい技術・製品に取り組む際の心構えを養う

悲劇の発動機「誉」―天才設計者中川良一の苦闘

前間 孝則

オススメする理由

技術開発で起こりうる課題が詳細な技術解説とともに

第二次世界大戦時、アメリカ軍に匹敵する2,000馬力の出力を持ち、アメリカ軍に比べて小型化を実現した画期的なエンジンである中島飛行機の「誉エンジン」開発物語。

一方、性能を追求したために設計にゆとりがなく、実戦でのトラブルが多発、さらに生産技術の未熟さもあり生産数が上がらずアメリカ軍に数で負ける原因になりました。そのため「悲劇のエンジン」と呼ばれました。

この本には、技術的な冒険と実戦での使いやすさ、高性能と量産のしやすさのトレードオフ、そして技術者として冒険的な面と保守的な面のバランスという技術開発で起こりうる多くの課題が、詳細な技術解説と共に書かれています。

新しい技術や製品に取り組む人には、とても参考になります。しかも物語形式でどんどん引き込まれ最後まで一気に読める本です。

製造業の若手・新入社員に向けたメッセージ

小さな冒険と小さな失敗・達成を積み重ねて一流の技術者に

開発の仕事に慣れてくると、上司から難しいテーマや課題を与えられます。

リスクを嫌って確実なやり方では目標はクリアできず、自らの成長もありません。かといって大きな冒険をすれば、時には大きな問題が発生し多くの人を巻き込んでしまいます。

一流の技術者は、どの技術を使い、どの程度冒険すれば目標を達成できるのか、その読みに非常に長けています。

ぜひ小さな冒険を積み重ね、小さな失敗と達成を積み重ねて一流の技術者を目指してください。


私がオススメします

照井 清一

株式会社アイリンク 代表取締役

豊田工業高等専門学校 機械工学科卒業後、工作機械・電子部品組立機メーカー〔富士機械製造(株)〕で24年間、製品企画、設計、生産技術、品質保証を行い、多くの新機種の開発に携わるとともに、取引先の中小企業の品質改善や生産性向上の指導を行う。

2011年独立し、株式会社アイリンク 代表取締役として、中小企業の原価計算、利益改善、新技術開発支援などのコンサルティングを行っている。

中小企業診断士。