何かを創り出すとき、人に何かを伝えるとき、必ず最初に考えなければならない“WHY”を身につける

WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う

サイモン・シネック

オススメする理由

見失いがちな“WHY”について、事例を通してやさしく学べる

何かを創り出そうとするとき、仕事に行き詰まって一人悩むとき、上司や同僚の助けを借りたいとき、将来リーダーとして部下に何かを伝えるとき、最初に考えなければならないことがある。

それがWHY(なぜそれをするのかという理由)である。

その先に、それを実現するためのHOW(手法)があり、その結果としてのWHAT(していること、実現した物)がある。

 

WHATやHOWは言葉にしやすい。WHATであれば「他社製品にはない素晴らしい機能、他には類を見ない性能」など、HOWであれば「最新の生産技術と品質管理体制」など、表現する言葉は見つけられる。

しかしWHYは理念や信条にあたるものなので、言葉にすることが難しい。それゆえに伝えることは難しい。

しかし、伝えられれば相手の心に響き、相手を動かすことができる。

 

問題は、WHYを自分でも見失いがちになることである。「自分はなぜこれをしているのか、なぜこれを作っているのか」を常に意識することにより、仕事に意味が生じ、その結果は価値を生む。

本書は、この単純でかつ人生にとって本質的なことを、ライト兄弟やスティーブ・ジョブズなどのよく知られた人物や、トヨタやサウスウエスト航空などの知られた企業の事例を使って分かり易く述べている。

人生において、本書で書かれた内容が役立つ局面が何度かあると思う。そんなときにぜひ読み返してもらいたい。

 

原著は2009年に書かれ、翻訳が日本で出版されてから5年以上が経つが事例は色あせていない。版を重ね、今なお多くの人に読まれている。

製造業の若手・新入社員に向けたメッセージ

技術者が価値を生み出していくためには「自分の頭で考える」ことが重要

AIやIOTなどの新技術の発展で、技術者の仕事は大きく変化していくでしょう。

一方、働く期間も現在より10年、20年延びていくと思われます。そのような状況の中で価値を生み出していくためには、「自分の頭で考える」ことが最も重要です。

仕事の意味を考え、課題を自ら見つけ出し、解決策を考える、といったことを続けることで、新技術は(脅威ではなく)強力な武器となります。将来に目を向けて、自分の武器を増やしながら歩み続けてください。


私がオススメします

石田 厚子

石田厚子技術士事務所 代表

1948年東京生まれ 石田厚子技術士事務所代表 東京電機大学情報環境学部特別専任教授 技術士(情報工学部門) 工学博士

東京大学理学部数学科卒業後、日立製作所入社。コンパイラ作成のための治工具の開発からキャリアを始める。5年後に日立を退職し、その後14年間に5回の転職を繰り返しながら、SEなどの経験を通じてITのスキルを身に着ける。その間、33歳で技術士(情報工学部門)取得

1991年、ソフトウエア開発の生産性向上技術の必要性を訴えて日立製作所に経験者採用。生産技術の開発者、コンサルタントとして国内外にサービスを提供

1999年 企画部門に異動し、ビジネス企画、経営品質、人材育成を担当。57歳で「高い顧客満足を得る商品開発への影響要因とその制御」論文で工学博士取得

2007〜13年、日立コンサルティングでコンサルタント育成に従事。「技術者の市場価値を高める」ことを目的とした研修を社外に実施

2013年 65歳で日立コンサルティングを定年退職し、石田厚子技術士事務所を開業。技術者の市場価値を高めるためのコンサルティングと研修を実施

2014年 東京電機大学情報環境学部の特別専任教授に就任