中国工場・通訳を介した伝言ゲームに注意!!

中国工場・通訳を介した伝言ゲームに注意!!

前回、中国工場での指示が伝言ゲームになっていると書いたところ、読者の方から自社で実際に起きた事例をメールしてくれました。この会社では通訳を介した伝言ゲームで工場が大混乱に陥ったことがあったそうです。

中国に初めて工場を立ち上げた同社は、総経理と工場長には日本人を就かせました。中国工場の総経理や工場長は、日本で考えている以上に忙しい仕事です。加えて同社の場合、日本本社から日々の報告を義務付けられており輪をかけた忙しさとなっていました。

現場で問題が起きたときでも本来であれば、総経理や工場長が自ら現場に出向きその場で(通訳に訳させて)指示をするのが、あるべき姿です。しかし、あまりの忙しさに問題の報告を受けても現場に駆けつけず、自分の部屋から通訳に「これこれこういう指示をしておけ」とやったのです。

指示を出した本人にすれば日本でもやる方法だし問題ないと思っていました。ところが、現場のスタッフからすると総経理ではなく通訳から指示されている感覚です。中国人の副工場長も通訳が総経理や工場長の名をかたって指示していると感じました。

結果、このような指示が続くと、通訳に指示されていると感じた中国人スタッフは面白くないので、その指示に従わなくなり、ものごとが進まず大混乱に陥りました。

これは伝言ゲームの側面もありますが、通訳を使うときに気を付けなければならない事例です。

他にも総経理や工場長などの通訳をしていると、他では知ることのできない情報も知ることができることがあります。

そうなると、通訳は他の中国人が知らない情報を自分が知っているので、自分が偉くなったと勘違いすることがあります。

また、この会社の通訳の場合どうだったかわかりませんが、総経理の指示を自分がするので、やはり偉くなったと思ってしまうことがよく起きます。

そのうちに通訳が勝手に中国人に指示を出すようになってしまい、指揮命令系統がおかしくなってきます。

これは通訳を使う日本人の側にも問題があります。日本語が出来ると優秀だと思いがちで、特別扱いをしてしまうことが少なくないからです。中には通訳に相談する人もいます。通訳をしている中国人の役割を今一度確認してみてはどうですか。

 

出典:中国工場・通訳を介した伝言ゲームに注意!!


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/