入社して初めて顧客へ提示した工程改善で私が学んだもの
この記事を読んで頂いている皆様には、新社会人の方から何十年も働いている方も多くいらっしゃると思います。
突然ですが、みなさんは、就職後、初めて自分でやった仕事というものが何だったか覚えていますか?
やはり、先ずは研修といったことが何か月か続いていたと思いますが、そこから少しずついろいろなことを挑戦していったのではないでしょうか。
今日は、少し私の思い出に残った初めての挑戦というものを記載したいと思います。
赴任してからとうとう研修も終わり、本格的な作業になると思っていた矢先、はじめての仕事は、工程の安定化でした。
つまり、今ある現状の工程をコストや品質を良くするために工程改善を実施すること。
そこで題材として選んだのは「2液性エポキシの自動攪拌」
内容としては、2つの液を混ぜて作る樹脂を手動ではなく自動で行うということ。
主な実験内容としては、2つの溶剤をある条件で自動攪拌後、樹脂を塗布したのちにチップキャパシターをダイボンディングし、硬化させる。
その後、ダイシェアー試験で強度比較し、以前の攪拌方法と比較した際に問題がないか確認をすることであった。
最初は、「なんだ、自動で混ぜて、最後にシェアー強度を取ればいいのか」という安易な考えだった。
いざ、着手した際に、はじめてデータ取得の多さに気が付いた。
先ず、最初に混ぜるのはいいが、手動で行っていたため細かい条件がない。
ひたすら攪拌条件の模索から始まった。混ぜては固め、ダイシェアーが続く……。
やっと攪拌条件が固定されたとおもえば今度は、ダイシェアー強度のバラつきが多いことに気付く。
主な原因は、塗布量が安定していないことに起因しており、それから、樹脂を混ぜては塗布し、チップへの這い上がり量の確認を何度も行い、条件出しをした。
ひーひー言いながら、2つの条件を固定し、手動での攪拌方法と比較した際に、安定した高い強度結果が得られる結果となった。
ここまでで、第一関門クリアーといったところだろうか……。
ここから、信頼性を確保する戦いが始まった……。
まずは、Cpkの安定化。手動で作製したモノと同等またはそれ以上に、どれだけ強度データをとっても強度が安定していることを確認する。
これも、樹脂を混ぜては、チップ付そしてダイシェアーが続いた……。
もう内心、「とほほ……。どんだけ~!!笑」(ちょっと古いですね……。)
次は、この攪拌方法で製造した際に品質に影響性のあるものはないかを考えた。
この結果、工程内でかかる温度でダイシェアーを行う事で樹脂の劣化データも取得し、自動攪拌による樹脂の品質も確認した。
やっとの思いで、データが取り揃い、工程変更によるリスクマネジメントを行い、レポートを顧客に提出した。
が……。
結果は内部会議の結果、工程変更は承認が落ちませんでした。
不採用理由についてはあやふやのまま終わってしまい、私もすっきりしない気持ちのままといった状態でした。
しかし、この経験がQAについて考えながら、技術者としてどのようにデータを取り揃えていくべきかを学びました。
そして、相手を納得させられるようなQAと技術的知識とデータを収集する大切さ、どんな質問が飛び交っても対応できる力と発想を身につける必要性を感じました。
それから2年ほどたちますが、あの時の思いと姿勢を今もう一度振り返る事も必要だなと今感じています。