現場に負ける生産管理!?

現場に負ける生産管理!?

現場に負ける生産管理!?

今回も日本国内のある工場での話だ。

金融危機による影響で生産量が激減している製造業であるが、特に地方においてはその落ち方は半端ではない。

何ヶ月か前の生産量(受注量)の7割、8割減となっている。ある会社では9割減という話も聞いた。

 

そんな中この工場も例外ではなく、受注量の急減に苦しんでいた。

毎週金曜日は帰休とし、木曜日は隔週で帰休としていた。

1部工程では出勤時間の調整を行い、一種のワークシェアリングを行っていた。

 

それでも顧客からの発注予定では、4月からメイン機種の数量が25%増えるとの情報が入ってきた(それでもピーク時の1/3程度だが)。

一筋の光明であるが、帰休を止めるまでの数量ではない。

減った稼働日の中でいかに効率よく生産をするか生産管理担当者の腕の見せ所だ。

 

ところがその生産管理担当者は頭を抱えていた。

人のやりくりがつかず受注数を満たせないというのだ。

ただ、腹の中では出勤日を増やせば対応できると思っている節があるのがわかった。

 

メイン機種のある加工工程がネックとなっているのだった。

その工程は作業者が機械を使って加工するもので、作業者によりその速さが違う。

スピード速い作業者が2人いてその2人に存分に活躍してもらうことが必要だ。

 

ところが生産管理担当者は、そのような手配を組んでいなかったし、組もうとしていなかった。

理由を聞くと、2人のうちの1人はその加工工程のリーダーなので、何かあった時に対応できるように通常作業はやらせないで欲しいという品管担当者の要望を素直に呑んでいたのだ。

今日のポイント

品管担当者の要望も理解できない訳ではない。

リスクマネジメントと言う点からはそれがベターかも知れない。

問題は会社としての優先順位をどこに置くかが当事者間で話し合われていないことだ。

 

顧客の納期は絶対である、特にこの時期は。

それに経営的に見た時に簡単に帰休を解除するわけにもいかない。

ではどうすればよいのか。リーダーが作業に入った場合に起こり得る問題点は何か?それは周りのスタッフでカバーできないのか(実際はまったく問題なくカバーできる)。

 

関係者とどうすべきかを話し合って欲しかった。

品管担当者とて状況を説明すれば協力してくれるはずだ。実は他にもう1人あてにできる作業者(スタッフ)がいる。

その人はどうかと聞いたら、別にやることがあるので当てするわけにはいかないと言う。

 

別にやることとは何か、これを聞いたところ必要な作業であることには違いないが、毎日決まった時間にやらなければならない仕事は一つだけで、それ以外は逆に空いた時間でやってもよい作業であった。

これもその作業者本人にそう言われて、すごすごと引き下がったのである。

置かれた状況でベストの対応は何か。関係者と打合せればよい考えが出てくるはずだ。場合によっては、他の部門担当者と戦って欲しいものだ。

補足

周りの会社が人員削減をしている中、この会社の社長は何とか従業員の雇用を守りたいとぎりぎりのところで頑張っている。

従業員も他の会社で人員削減による解雇が行われていることは知っている。

が、この雇用を何とか守り抜きたいと言う社長の思いが従業員に伝わっていないような態度が一部見られとても残念であった。社長にはその思いを従業員に伝えることをすすめた。

出典:中国工場での品質管理・品質改善


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/