シーケンス制御講座「データレジスタ」
基礎からはじめるシーケンス制御講座
中級:データレジスタ
データレジスタとは数値データが扱えるワードデバイスです。初級編で説明した「M0」のようなビットデバイスはONかOFFしかありません。
それに対してデータレジスタは、例えば「D0」の中に「10」という数値を保存したりできます。そのため「D0」がON、みたいな動作はありません。
※条件をつけて接点のように動作させることは可能。
例えば[MOV K10 D0]とすれば、「D0」に10進数で10を書き込みます。
10進数とは10で桁が上がる数値、つまり普通の数値です。
K10が10進数で10の値です。H10とすれば16進数で10の値となります。普通はKを使います。
この10という数値が入った「D0」はどのように使うのでしょうか? 例えばタイマに使えます。
(T10 D0)で使えます。この場合1秒タイマになります。
このようにしておけば、「X10」か「X11」が入れば「M100」で自己保持をかけます。
そして自己保持を解除する「T10」があります。この「T10」の時間を変更しているのです。
つまり「X10」で「M100」をONするのと、「X11」で「M100」をONするのでは、切れるまでの時間が変わってきます。
後で説明しますが、プログラムの順序に注意してください。上の例では[MOV]命令を最後に持っていくと、へんな動きをすると思います。
データレジスタでは数値を扱えますが制限があります。値が「−32768〜32767」の範囲でしか使用が出来ません。
理由は、データレジスタは16個のビットで成り立っているからです。
もっと簡単に説明すると、データレジスタは16個のコイルで成り立っています。
そしてそのON、OFFの組み合わせで数値と認識しています。
そして一番左のビットは、正か負をあらわしています。
しかし、この範囲以上の値を使用したいときがあります。その時は「ダブルワード」で使用します。
ダブルワードはデータレジスタ2個を1セットとして32ビットで使用します。
ダブルワードで使用すると、−2147483648〜2147483647までの値が使用できます。 使用方法も簡単で、命令の前に「D」をつけるだけです。
[DMOV K100 D0]
これで「D0」と「D1」の2個のデータレジスタをダブルワードで使用します。
注意しないといけないのは、ダブルワードといっても、指定した命令の部分だけがダブルワードになるだけです。
元の「D0」と「D1」というデバイスが合体するわけではありません。元のデータレジスタの組み合わせでそのように表示させているだけです。
そのためダブルワードで指定したら、そのデータレジスタは今後ダブルワードで使用する必要があります。
※ダブルワードで指定して0~32767の範囲であればシングルに戻しても問題はありません。記号の位置が変わるので、マイナス値は記号がなくなります。またダブルワードからシングルワードに変換する命令もあります。
次はデータの比較でデータレジスタを使用してみます。
このように書けば「D0」の値が5以上になれば「M100」がONしますし、10より小さい場合は「M101」がONします。
「D1」の内容と比較したりもできます。上の回路のように等符号を使用して書くと、接点のように動作させることもできます。
先頭に書いてある「M8000」は特殊な接点で、シーケンサーがRUN状態のときは常にONしています(FXシリーズのシーケンサー)。
そのため特に書く必要はないのですが、プログラムを組む人にもよります。
私は書きます。同じ動作をまとめたりもできます。まあ見た目の問題ですが。
最後にデータレジスタの内容を変化させて見ましょう。
特に何でもない回路です。何かの動作をするわけでもありませんが、説明用に作ってみました。
まず「M8013」なのですが、これも特殊な接点で1秒周期でON、OFFを繰り返します。
このようにシーケンサーには最初からある特殊なリレーがたくさんあります。
簡単に使用できますし、ぜひ使ってみてください。メニューの「ヘルプ」→「特殊リレー/レジスタ」から表示できます。
上のイラストでは「M8013」が1秒周期でONしたりOFFしたりします。
その後の「INCP」は値を1ずつ追加する命令です。「INCP」の最後の「P」はパルスです。
つまり「INC」命令が実行された一回のみ「D10」に値を追加しています。この「P」がないと、パルスとして実行しないため、毎スキャン1を追加してしまいます。
シーケンサー内でプログラムが回転するだけ値を追加するということです。 0.5秒実行しても、かなりの数を追加すると思います。
その次は、「D10」の値が100になったら「MOV K0 D10」となっています。これは0の値をD10に書き込むということです。
つまり「D10」の値が100になると、「D10」の値を0に戻して再びカウントを行うということです。
ここで重要なのは、「D10」の値が100になると動作を実行すればいいのに、100以上とプログラムはかいてあります。
この規模のプログラムなら特に問題はないのですが、大規模なプログラムになると、ほかの要因やプログラムミスで「D10」の値が突然100を超えるかも知れません。
100=D10という条件であれば、「D10」の値が100を超えてしまったら復帰することができなくなります。 そのため100以上という条件にしています。
また、プログラムの仕様にもよりますが、この場合のMOV命令はパルス化しないほうがいいと思います。
プログラムには必ずバグや予想外の動きが発生します。そのときの逃げ道を作ることも大切なのです。
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