5S ものを探す時間をなくすことを目指せ
ある会社から5Sに取り組みたいのでアドバイスが欲しいとの依頼があった。
この会社の社長とは経営者セミナーで知り合い、その後の車座相談会でいろいろな話をして懇意になった。とてもしっかりしている方で自社の現状を率直に把握していた。
以前そのセミナーの後にその会社の工場見学をさせていただいたことがあり、その時にこちらも率直に感じたことを申し上げた。そんな縁もあって今回の5S実施のアドバイス依頼につながった。
この会社は板金加工がメインであるが、表面塗装も自社でやっている。一般的には板金は板金だけで表面塗装は外注に出すことが多い。この会社の場合、自社で表面塗装までやることで付加価値を高めるとともに品質の責任所在をすべて自社に持ってきている。
顧客からすれば不良が出た時に板金と表面塗装とどちらに原因があるのかでクレーム先が異なることになり面倒である。場合によっては、お互いに責任のなすりつけ合いになることもある。
自社で最後までやることで不良が出た時の責任はすべて自社となる。顧客にすれば面倒はなくなる。あとは社内の調査と対策となる。
今日のポイント
さて5Sはどこの会社でも形としてはやっている。しかし具体的な成果が見えずにとん挫することが多いのも事実である。結局は、片付けと清掃だけで5Sとしている。
そこでやり方の一つとしてものを探す時間ゼロを目指すことをお勧めする。多くの工場で工具、治具、部品などを使う時にそれらを探しているはずである。そしてその時間は馬鹿にならないくらい多いのが実態だ。
であればその探す時間をなくすことを目指すとよい。つまり整頓を徹底してやると言うことだ。ただし、整頓を徹底してやるには整理も徹底してやって余分なものを現場から取り除く必要が出てくるので、必然的に整理もやることになる。
実施効果・成果を見るために、実施前にものを探している時間がどのくらいあったのかをきちんと測定しておく。そして実施後それがどのくらいまで減ったのかをこれまたきちんと測定することだ。
この時点で探す時間がゼロになっていなくても、効果が大きいことが分かればさらに進めて(改善して)ゼロを目指すはずだ。
補足
この会社ではある一つの工程をモデル工程として実施することにしていた。そこでものを探す時間の削減にトライした。
この工場を最初に見た時の印象は、みなさん一生懸命作業しているのはよくわかった。
ただ、それぞれの工程で今何をやっていて、どれくらい進んでいて、いつ終わる予定なのかが全然見えなかった。