3Dビジョン 最新動向(2018年末版)ワークから工場内、地理環境まで可視化する3Dビジョン
今回は、「マシンビジョン」と言われる機械の目を通じて電子データ化し、各種処理を行う仕組みのうち、展示会でも目立つ展示が多かった立体のマシンビジョン=「3Dビジョン」を紹介します。3Dビジョンと一言で言っても、さまざまな用途分野がありますが、ここでは2つの用途分野を取り上げます。
3Dスキャン:マクロからミクロまで、リアルの形状把握とそれのデータ化
大きなものは数kmの地形やプラントから、工場内のレイアウトまで
光 / 電波 / 音波などを使って、リアルな物体をデジタルデータに変換するものです。
大きなものは数kmの地形やプラントから、工場内のレイアウト、また部品からリバースエンジニアリングして3DCADデータ化する用途などがあります。
今年のCEATECのメインテーマになった「サイバーフィジカルシステム(CPS)」や「デジタルツイン」など、製造業だけでなく政府の提唱する”Society 5.0″のような「未来社会の基礎技術」とも言えるものです。
主流の装置は
装置はLiDAR(Light Detection and Ranging)/ LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)といった光学的な3Dスキャンにより点群データを取得し、それらをソフトウェア処理して3DCADなどのデータにするものが主流です。
調査会社のMarketsandMarkets社のレポートによると、LiDAR市場規模は2018年の約9億ドルから2023年には約18億ドルに急成長する見込みで、自動運転が順調に進化すれば50億ドルになるという調査結果もあります。
3D測定:非接触型の3D画像計測・検査
工作精度がサブミクロン(0.1μm)からナノオーダー(0.001μm)に精細化されるなかで、タッチプローブを補完・代替する手段として、3D画像による計測や検査の技術がAIを含むソフトウェア処理も含めて成熟してきています。
近年、工作機械の高精度化は物理法則の限界に近づいてきています。今年のJIMTOFで複数の装置メーカーが”銅分子よりも小さい0.1nm分解能”の工作機械を展示し、サンプルワークは自由曲面への微細溝入れ加工で、平均粗さ(Ra)3nmのものがありました。
これまで非接触の3D画像計測ではノイズの影響が大きい、汚れと傷の判別がつきにくいなど、技術的に成熟しているタッチプローブと比べて劣っていましたが、レンズやセンサーなどのハードウェア精度の向上と、ソフトウェアによる解析や補正機能により欠点が克服されてきています。また非接触のため微細ワークに傷をつけることがない、形状と粗さ測定を一台に統合できる、測定スピードが速いなどのメリットを活かすことができるようになってきました。
3Dビジョンはハードウェアの進化とソフトウェアの進化が相まって、急速に実用性が高まってきており、さまざまな用途の補完や代替、新規用途の開拓が進んでいます。
アペルザカタログ特集ページでは、「【3Dスキャン】 マクロからミクロまで、リアルの形状把握とそれのデータ化」「【3D測定】 非接触型の3D画像計測・検査」について、参考になりそうなカタログを厳選して掲載しました。ここに掲載したものが全てではありませんが、これらをきっかけに理解を深め、効果的な導入の検討の一助になれば幸いです。