20%人員削減大作戦!?
以前ある会社のスペース1/2化大作戦を紹介した。今回は別の会社で行なっている工場人員20%削減大作戦を紹介する。この作戦、実は2008年の夏ごろにお聞きしたものだ。
この会社は広東省に5000人規模の工場を2つ持っている。これだけの人員がいるとここ数年の最低賃金の大幅な引き上げが大きな負担となった。たちまち経営危機に陥ることはないが、それなりのインパクトを与えたのは確かだ。
そこでこの会社では、人件費高騰の影響を最小限にするために工場人員の削減を行なうことを決めた。具体的には、2009年末までに工場人員の20%を削減する。
もちろんただ減らすだけではない。現状の生産能力をキープすることが大前提だ。そのために人に代わって機械/設備を導入することも視野に入れている。当然、工程改善による人員削減も施策の一つだ。
今日のポイント
人件費の安い中国とはいえ、ここ数年の最低賃金上昇率は尋常ではない。今後も同様の上昇率が続くか先行きは不透明だ。この会社では今後低い率で落ち着くとは考えにくいと判断し、人員削減を図ることにした。
20%もの人員削減は容易ではない。単純な工程改善では到底達成はできない。そこでこの会社では、人の代わりに機械/設備を導入することにした。今までの中国では、機械/設備の代わりに人が作業をすることを優先していたが、今回は逆の発想をしている。
どのくらいの機械/設備が必要かシュミレーションをしている最中とのこと。また、設備にかけられる費用も人件費から逆算して算出しているようだ。
賃金の上昇は、この会社だけのことではなく、他社にも同じように課せられている問題だ。他社も同じだから仕方ないという発想をしている経営者はいないと思うが、問題を深刻に受止めていち早く対応を始めたいものだ。
それが競争力を高めることにつながる。
補足
この会社の目標である2009年末は、実際には非常に厳しい納期と思われた。しかし、それを達成するという意思が重要だ。しかも経営層だけでなく実務を司るスタッフ全員が同じ意思を持つことが。