香港系焼結部品工場の監査!
今回は、焼結部品の会社です。この会社は香港系の会社で、場所は広東省にあります。もともとは、香港に工場がありましたが、中国に移した会社です。以前は、日本の企業と提携をしていましたが、今は解消しています。
また、日本人技術者がいました。この技術者は、年配の方で他の中国企業でも技術指導をしたことがあります。正直申し上げると、持っている技術は昔の技術であって最新のものではありません。したがって、この会社にも最新の技術は、導入されていませんでした。
中国では、日本の会社の定年近くまたは、定年になった技術者を雇っているのを見かけますが、人によって持っている技術力は違いますから、日本人技術者なら誰でも役に立つわけではありません。誤解されては困りますが、この会社の日本人技術者の方が、役に立っていないと言ってはいません。この会社では、まだまだ指導的役割を果たしていました。
さて工場のことに話を戻します。工場は、2つあり若干種類の違うものを作っています。位置的には、車で10〜15分くらいの距離のところにあります。メインの工場の方は、さらに4つの工場からなっています。
1. 原料工場‐その原料も自社で造っていました
2. 焼結部品-1
3. 焼結部品-2
4. 焼結とは、まったく関係のない部品
全部合わせると1000人以上の従業員が働いていました。全体にいえますが、粉を原料とする焼結部品ですから、現場はきれいとはいえません。特に原料工場と成形工程は、白いYシャツを着ていくのは避けたいところでした。
工場の管理としては、それなりに検査もしていますし、その記録も取れていました。よくよく見るとその記録に、工程の管理値から外れた記録が記載されていることがありました。正直に記録している点は、評価できます。
問題だったのは、管理値から外れた時のものの処置と生産に対する処置がなされていたか? です。その工程の責任者が言うには、製品は選別し、機械は調整したとのことですが、それを示すもの、証明する記録が一切ありませんでした。となるとこの責任者の言うことを信じるしかありませんが、規格外品の処置は、非常に重要なポイントですので、処置システムをしっかり確立しておくことが大事です。
この工場は、敷地的にもゆとりがあり、緑も十分に配置されており建屋の外から見る分には、非常にいい工場です。もう1つの車で15分くらいところにある工場は、やや奥まったところにあり、1つの建屋の中に加工工程がすべてあり、非常に手狭な中で作業をしていました。
今日のポイント
この会社に改善指導したポイントは、次の3点です。
1. 規格外品が発生したときの処置システムの構築と運用の徹底
これは、文中に述べた通り、管理値外になったものが発生した時に、どうするかを明確にしました。
2. 検査サンプルの処置
この会社では、検査したサンプルを戻して、出荷していました。これは問題ないようですが、わたしはこのサンプルは、廃棄または保管サンプルとするように指導しています。なぜなら、過去に検査サンプルの戻しミスで、混入不良となった事例を何度も見ているからです。お客様からクレームされ、その処理に費やす時間や労力を考えたら、よほどの数量のサンプルでない限り、戻すことは止めるべきと指導していいます。
3. 客先クレームの原因と対策の追求
お客様からのクレームファイルを見ていたら、その真の原因が掴めていないものがありました。書類上は、あやふやなまま完結していました。技術的に難易度の高い問題ということは理解できましたが、技術的課題として継続して取り組むようにしてもらいました。
→こうすることにより、技術力UPしていくものと考えたからです。