香港系梱包材メーカー!

香港系梱包材メーカー!

今回は、香港系梱包材メーカーです。梱包材といっても紙ではなく、発泡スチロールの方です。

今回は、この会社の業容拡大のために新工場を建設したので、その新工場のお披露目を兼ねて、不足点のアドバイスをするという役割でした。新工場の概要とアドバイスしたポイントをご紹介します。

工場は標準工場ではなく、すべて自前で設計し、施工も自ら手配していました。建屋は2棟あり、高さとしてみれば3階建てと同じくらいありますが、構造的には平屋です。大きな建屋が2棟あります。

 

1棟が生産工場で、もう1棟は倉庫という区分でした。他に敷地内に作業者の寮がありました。

工程としては、原料であるスチレンを発泡させ、それを成形機で成形した後、乾燥となります。

ポイントとしては、

 

1. 発泡させるときに製品により、発泡倍率が異なりますので、その管理

2. 金型の出来によるところも大きいですが、成形品の成形不具合による形状不良

3. お客さんによっては、水分を嫌いますから十分な乾燥の管理

 

発泡スチロールの成形では、スチームを使うので製品に水分が含まれています。成形工程も水浸しとまではいきませんが、水がでています。

この工場のスタート時の従業員は、60人。最大で120人を予定しているとのことでした。発泡機とボイラーは各2台、成形機は約15台ありました。

工場の管理ですが、次のような状況でした。

 

1. 発泡工程の管理状況は、良好でした

この工程が基本ですから、ここがきちんとできていないとまともな製品は作れないことになります。実際は、機械が自動生産するので、所定の設定どおりに行われているか、発泡倍率により条件が異なりますので、その条件表が整備され間違えないようになっているかがひとつ。あとはできた材料を確認して、所定のものになっているかをみました。

2. 成形工程

金型は自社で製作しています。立ち上げたばかりで、数台が稼動している状態でした。成形は自動で行なわれますが、排出された製品の目視外観検査と整列を兼ねて人が1人付いています。

 

3. 乾燥工程

乾燥炉は、1つの部屋のような大きなものです。この温度管理が十分ではありませんでした。乾燥は、温度と時間の管理ですが、乾燥炉内の場所による温度のバラツキが把握されていませんでした。これでは、製品がおかれる位置によって、乾燥状態が違ってくる可能性があります。

炉自体が乾燥室のように大きなものなので、考え方としてある程度バラツキが出るのは止むを得ないと割り切る。ただし、一番温度が低くなるところでも所定の温度になるようにすることが大事です。

工程での管理状況以外に不十分なことがありましたので、指導しました。

 

それは、既存工場で発生している不良の対策が、この新工場に展開されていませんでした。

この横展開は、この会社に限らずできている会社は少ないのが実状です。

ではまた次回をお楽しみに。

出典:中国工場での品質管理・品質改善


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/