顧客クレーム低減は先ず何をやる?
ある会社で顧客クレームが頻繁に発生していた。顧客からの信用は失墜しこのままでは受注に大きな影響が出ることは避けられない状況となっていた。
ところが顧客で不良を見つけてくれるので、幸い市場クレームには至っていなかった。工場幹部はこのことでもし不良を出しても顧客の検査で見つけてくれると考え、それに甘えているような節があった。
工場の現場責任者と品管部の責任者および関係幹部を集めて会議を開いた。会議の目的は工場のスタッフが今の顧客クレーム状況をどのように捉えているのか、そしてどのように対応しているのか、しようとしているのかを確かめることであった。
顧客クレームが発生していることは知っていたし、よくないこととは思っているようであったが、今すぐどうにかしなければいけないという想いは伝わってこなかった。
対応策もいろいろと話してくれたが、すべて発生原因に対するものばかりあった。また、その対策もすぐにできるものではなく、ある程度時間が必要なものであった。流出防止に関する話は出てこなかった。
今日のポイント
不良に対してその発生原因を究明して対策を行うことは当然のことであり、かつ重要なことだ。顧客クレームでもそれは同じだ。しかし、社内で見つけた不良と顧客クレームとの大きな違いは、社内の検査で見つかっているか、見つかっていないかである。そして顧客に大きな迷惑をかけているか、いなかである。
顧客に不良が流出するということは、社内の検査をスルーしていることであり、検査が機能していないといえる。顧客クレーム対応で先ずやらなければいけないことは、流出原因を究明してその対策の徹底を図ることである。これはわたしのポリシーでもある。
社内の不良発生の有無(多い少ない)は別として、顧客に不良品を納入しない体制を作ること、そして信頼の回復につなげていくことが必要である。不良は先に行けば行くほど大きなコスト損失になる。
ある文献によれば、工程内不良の損失=工数+材料費+管理費となり、いわゆる工場原価での損失となる。これが顧客クレームになるとその損失コストは工場原価の3倍となり、市場クレームとなるとその信用失墜コストは3のn乗倍といわれている。
このことからも不良の流出を防ぐことの重要さがわかると思う。不良の流出とは不良品を次工程に渡さないこと、そして顧客に渡さないことだ。
不良を流出させないためには、検査が機能していることが必要となってくる。不良がきちんと見つけられる検査方法を検討したり、場合によっては全数検査やダブルチェックなども必要になってくる。
補足
以前購買をやっていたのだが、ものを買っていた立場からすれば、取引先の社内不良はあってもとにかく不良品を納入してくれるなという想いがある。
もちろん自社でも取引先でも最終的には発生原因対策をして、不良そのものの発生をなくさなければならないことはいうまでもない。
この会議でもこの話をして、先ず不良の流出を絶対に止めようと話をした。