通訳の退職の理由は??
通訳の退職の理由は??
駐在員だった時は通訳を雇ってもらっていた。
通常工場の現場に赴任したスタッフには通訳は付けていない。
それ故に現場の日本人は中国語を必死で覚えていたし、上達するのも早かった。
わたしは購買部門で購入部材の品質管理を担当していた。
購買担当ではないが値段の話をすることもあるし、製造上の細かい話をすることも通訳がいないと仕事にならない。
加えて、スタッフを育成するという役割も担っていたので、教育を行う際にも必要であった。
わたしに付いた通訳は大学を出たばかりの女の子であった。
大学で日本語検定の一級も取っていて、優秀な部類であった。
この子が優秀だと言うのは後で、他の通訳と比べてみて初めて分かったことで、最初来た時はとてもそうは思えなかった。
彼女は非常に勉強熱心で、自分で日本のアニメのDVDを買って生の日本語に触れようとしていた(DVDはその辺のDVD屋さんで1枚6元くらいのもちろん海賊版だ)。
わたしも彼女には、仕事に対する考え方ややり方など日本的なことをずいぶん教えたつもりだ。
2年が経とうとしていた時に突然彼女から退職願いが出された。まったく予期していなかったので非常にびっくりしたのと同時にショックだった。
日本語の能力も入社した時に比べアップしていたし、何より我々の仕事の内容をよくわかっているので何かを頼む時もとてもスムーズにできていたからだ。
心の中では、また一からやり直しとなる部分も覚悟した。
今日のポイント
翻意することはないだろうと思いながら彼女に話を聞いた。
突然どうしたの?
理由は何なの?
仕事がやになったの?
この会社がやになったの?
人間関係で問題でもあるの?
そのどれでもなかった。どうも話を聞いていくと広州で働きたいと思っていたようだ。
うちの工場は東莞にあり広州の隣だが、東莞は田舎というイメージがあるようだ。
大学の時から広州で働きたいと思っていたとのこと。最初の就職活動ではその夢は叶わず、今の東莞の工場に来た。
彼女は湖南省の出身だが、その辺りの子から見ると広州は大都会で憧れの町となっているようだ。
日本でも地方の子が東京に憧れて出てきたけど、勤め先は千葉県という感じなんでしょう。
これでは地元の友達に東京で働いているとは言えませんしね。
次に働くところは決まっているのかと聞くとまだ何も決まっていませんとのこと。
広州であれば仕事も見つけやすいと本人は言っていた。
思うに彼女は2年間わたしの下で働いてくれた。その間に日本語能力がアップしたと書いたが彼女自身もそう思い自分の日本語に自信を持ったのではないだろうか。
補足
工場の中で通訳の流動性が一番高い。これはどこの工場でも同じであろう。
多くの通訳がうちの工場でスキルアップをして、より給料の高いところへ移っていくのをたくさん見てきた。
中国の人たちはネットワークを大事にするので、転職した先でどのくらいの給料をもらっているかなどの情報はすぐに元の職場の仲間に伝わってくる。