設計検証する力がない中国企業?!

設計検証する力がない中国企業?!

福建省にある中国企業では、自社で開発設計した製品を自社工場で生産しています。国外向けでは、欧米、オーストラリアにも販売していますが、日本向けが一番大きな比重を占めていました。

当然のことながら設計は中国人の技術者がやっています。設計者というのは、特に中国人設計者は、設計において自分の能力を見せたいと思う傾向があります。そのために難しい形状や複雑な機構にした設計をしがちです。

そうした設計の場合、必要となる部品も複雑な形状になります。ある設計品で複雑な形状をした部品図を書いたのですが、その図面を読み取るのが非常に難しい、難解な図面となっていました。

案の定、その部品を作るメーカーで図面から設計者の意図が読み取れず、不良が発生し顧客で大きな問題となりました。

ひとつは、図面に生産上必要な指示が記されていませんでした。そのために作る側で勝手に解釈して、意図したものと違うものになってしまいました。

また、出来た部品をどうやって検査するかも設計者が図面を引いたときに考えなくてはなりません。それも出来ていなかったので、出来た部品を正しく検査することができず、不良品が顧客にまで渡ってしまいました。

設計部門が自分たちで図面の不備や検査方法などを検証して、不備を事前に見つけることが必要ですが、そうしたことをできるレベルの設計者はいません。品管部も検査をどうするかという検証が十分ではありませんでした。やっていなかったというより、こちらも確認する能力を持っていないのです。

新製品開発においては、設計審査の仕組みを持っていますが、他の部門も図面を検証する能力がなく、出された図面を承認するのみです。

中国人設計者にも優秀な人はいますが、なんと言っても経験が足りません。また、部品や製品の作り方の知識も足りないので、無理な設計になってしまいます。設計に関する基礎から指導することが必要です。

これだけを読むとダメな企業のように思われたかもしれませんが、そんなことはなくしっかり利益は出しています。ちょっと特殊な顧客の要望を具現化するときに、設計者の力不足が露呈してしまうのです。

これが中国製造業の実態の一面です。

 

出典:設計検証する力がない中国企業?!


KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント◎電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導及び品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走 ◎東京都/千葉県商工会連合会専門エキスパート(品質管理、製造業指導) GCS認定コーチ◎日本生産性本部経営アカデミー講師 名古屋外国語大学非常勤講師 セミナー/企業研修講師多数◎中国工場コンサルティング実績 日系中国工場品質改善及び管理体制の見直し(広東省)、中国企業品質管理体制の構築(福建省1社)、中国企業労務人事管理監査対応指導(パートナーコンサルタントと共同で実施:広東省1社)、米国D社の労務人事監査指摘事項への対応を指導、中国工場品質管理体制の構築(広東、大連など2社)、中国工場運営管理支援(広東1社)、外観検査の精度向上指導(広東1社)、中国生産委託先工場監査代行(広東1社) 国内工場管理の見直し及び製品コストダウン、外灯製造会社の5S指導、金属加工会社の品質管理・改善、生産性向上指導(1社)、金属加工会社の組織再構築、経営改革指導(1社)、板金塗装会社の5S指導(1社)、環境関連企業の新工場立ち上げ支援(1社)◎製造業向け社員研修実績 中国人管理者教育(広東、大連、厦門など3社)、コーチング研修(2社)、来日した中国企業スタッフ研修、中国赴任前研修(パソナ様)、若手社員向け中国工場の問題点と対処法(和歌山県工業技術センター様)、中国工場品質管理講座&異文化コミュニケーション(富士通テレコムネットワークス様)、仕入先様品質管理勉強会 テーマ:中国工場での品質管理の進め方(株式会社オートバックスセブン様)、中国への生産委託に伴う工程/品質管理のポイント(N社様、I社様) ◎著書 こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善<虎の巻>(日刊工業新聞社)、雑誌「標準化と品質管理」2012年8月号特集記事執筆(日本規格協会)、外観検査の不良見逃し・ばらつき低減(技術情報協会・共同執筆)、通信教育講座「外観目視検査の進め方と留意点」担当講師(テキスト執筆、添削指導) ◎KPIマネジメント http://www.prestoimprove.com/index.html ブログ「中国工場での品質管理・品質改善」https://ameblo.jp/prestoimprove/